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役員インタビュー

代表取締役 大石 良

サーバーワークスとは

—まず最初に、サーバーワークスとは何をする会社なのでしょうか。

難しいITの技術を、お客さんに難しさを感じさせずに「サービス」という形でお客さんにデリバリーする会社です。

—なるほど。それでは、起業された理由というのは?

もともと、起業していた父親の影響もあり、大変なんだけど起業するということが楽しいのだろうなという思いがまずありました。

実際にサラリーマンとして5年間働いてみて、やはり自分で新しいサービスを立ち上げるとか、自分の判断の下で仕事を進めるということをやってみたいという思いが非常に強くなったのと、「こういうサービスをやったら売れるんじゃないか」という思いとが融合して、じゃあこのサービスを元に会社を立ち上げようという判断に至った、というのが理由です。

—タイミングとしてもベストだったと。

はい。

仕事とは

—では、前職で働かれていた時は仕事というものをどのように捉えていましたか?

「仕事とは?」とひと言で言われると、答えはちゃんぽんかなと。

現代に生きる我々にとって、仕事というのは生きるか死ぬかという命を懸けた戦争ではありません。でも、完全にバーチャルなゲームかと言われると、実際には競争相手と死に物狂いで戦わなければいけない場面もある。

また、仕事そのものが自己実現の場所のようでもありますし、自己実現とは全然関係なく上司から「とにかくやれ」と理不尽に命令されることもある。

そういった、リアルな戦いとバーチャルなゲーム性、自己実現と価値を見いだせない作業、そういうものが全部ごっちゃになっているというのが、私自身の仕事観です。

また、これは仕事観だけでなく、人生とか価値観とか全部にいえることですが、極端な物言いが好きではありません。例えば「仕事とはゲームである」とか、そういうことを言うと聞こえはいいですが、それは物事のある一面はすごくよく照らしているけれど、そうでない面はまったく照らしていない。キャッチーだけど本質ではないなと思いますね。

—そのような認識を持つようになったタイミングはいつ頃ですか?

若い頃は仕事の大部分をゲームのように思っていましたね。

やっぱり、サラリーマンでやるからには…、特に前の会社は大きい会社だったので、出世しなければ意味はないと思っていましたし、出世ゲームの勝者はどういう人かということも観察していましたし。

—より広い視野で仕事を捉えるようになったのは、起業された頃ですか?

そうですね。

それまでは完全にバーチャルな世界、ゲームだったものが、実際に起業して何ヶ月か経ち、お金がどんどん無くなって家と会社のお金を全部あわせて10万円を切ったことがあって、そうすると急にお金にリアリティがわいてきて。

仕事って、バーチャルなゲームという部分もあるのですが、やっぱり成果を上げていかないと明日ご飯が食べられないかもしれない。そういう危機感みたいなものは、会社を辞めて初めて思ったかもしれないですね。

—それは、お金の流れがより見えるようになったから、というところもありますか?

お金とか、仕事とかにより実感がわくようになったのは間違いないですね。

—それは、起業して良かった点でもありますね。

はい。それはよかったと思います。

—なるほど。では、前職ではどんな仕事をされてたのですか?

インターネットサービスプロバイダの営業なんですけど、単に売り歩くよりは、いわゆる企画営業というもので、どうやったら沢山売れるかとか。例えば、量販店に行ったら沢山売れそうですよね。でも、そのまま量販店に持って行っても相手にしてもらえないので、例えばPCとセットにするとか。もしくはプロバイダーそのものをメーカーにOEM提供して、PCにバンドルして販売するとか、そういったものを企画してやっていました。

—やはり、そういう仕組みを考えて、っていう仕事は面白かったですか。

面白かったですね。仕組みを作って売るというのは面白かったけど、もっともっと自分でやってみたいと。ゼロからチャレンジしたいと。

前の会社では、社会的な信用とかベースがあっての仕事なので、門前払いってなかったんですよ。基本的に。

—はい。

でも、そういう会社の看板を取っ払って、自分で勝負したときにはどうなんだろうと。

—それを試したくなったと。

はい。

日々の仕事

—今、代表取締役としてはどのような仕事をされていますか?

短期、中期、長期それぞれのスパンで、どうやったら成果が一番出るのだろうということを考えて、それに必要なリソースの手当をする、ということが中心です。ものによっては自分でやったり、他の人にアサインしたりしています。

—仕事に対してはどのような面白さを感じていますか?

やっぱり、優秀な人と一緒に仕事をするのが一番面白いですね。

最初から優秀だった人もいるし、サーバーワークスという会社の中でどんどん能力を高めていった人もいますし。そういう人と一緒に、先ほどの短期・中期・長期の色々な視点で、いろいろな仕事をやっていくというのには一番面白さを感じますね。

—日々の仕事で心がけていること、工夫していることはありますか。

これは私の持論なのですが、成果を出すためには、成果を導くために必要な情報を記憶しておく必要があると思っています。

結局、頭がいいということは「抽象思考」と「具体思考」を行ったり来たりできるということだ、と。これはプログラミングでも同じで、コードという具体的な事象と抽象的なモデリングとの間を行ったり来たりします。ビジネスも同じで、具体的な事象は覚えていなければ役に立たない。

そういう具体的な事象を単に覚えておくだけではなくて、それらをより抽象化して、自分たちのビジネスの解決策に落とし込んでいく。これには、プログラマーも経営者もまったく同じ能力が必要だと思います。

私は、記憶を定着させるために重要度のピラミッドを作り、その中で情報を管理しています。入り口はTwitterとかGoogleリーダーのような、情報がワーッと来るもの。新聞や雑誌もそうですね。

その中で1ランクアップさせたものが、GoogleリーダーのスターとInstapaper(※1)。そこが2段階目で、これを1回読み直してみて、もっともっと一般化して自分の知識に落としていきたいとなるとEvernote(※2)にいきます。

Evernoteに貯めていって、今は2ヶ月に1回くらい全部見直して、それらの中でもさらに自分の人生の糧にしたいとか座右の銘にしたいとかそういうものを記憶として定着させるようにしています。

具体的な情報のインプットを記憶に定着させて、抽象化してビジネスのデザインパターンにする、ということは定期的にやっていますね。

—ご自分でもそういう作業が好きだなあと実感したりしますか。

大好きですね。でも、インプットとアウトプットのバランスが大事ですから、そのバランスは気をつけていますね。

—社会人として働き始めたときから仕事のやりがいを感じられていたということですが、その後、働くということの認識はどのように変わってきましたか。

最初に大きかったのは、先ほどの10万円切る事件。

バーチャルなものだった仕事やお金に急に実感がわくようになったというのがひとつ。もう1つは、会社立ち上げ当初は自分で手を動かすのが大切だという思いがあり、自分でもコーディングをしていたのですが、会社の中でエンジニアが育ってきて優秀な人が出てくると、かえって自分が手を動かしていることがボトルネックになるようなことが出始めて。それからは、経営者として先ほどのような短期・中期・長期のビジョンを考えて、という方向に変わってきましたね。

—今は、舵取りをするようになったと。

そうです。

サーバーワークスの将来

—では、これからサーバーワークスで実現していきたいことは?

やはり、もっともっと世に知られるサービスを意識してつくりたいなと思っています。

もっと破壊力があるというか、世に知られるサービスを狙ってつくっていかないと。良くも悪くも10万円切る事件から、そういったものに慎重になりすぎていたところが反省としてあるので、もう少しミドルリスク・ミドルリターンというか。「世に知られる存在になる」、それが経営者としての自分の自己実現でもあるし、働いている人にとってもよりモチベーションを増す原動力になるんじゃないかなと感じています。

—今後、どのような人と仕事をしていきたいですか?

それはもうホームページにある人材の価値観に共感して実践できる人、というひと言に尽きると思っています。

—どんな人ならサーバーワークスで活躍していけますか?

もちろん価値観は大事なのですが、そこにはない資質が何かひとつ必要だと考えたら…、たぶん、尊敬できる心かなと。

例えば、私自身が社員を尊敬しているから、それぞれのいい所を活かして舵取りできるようなことを考えていく。社員のそれぞれみんなが素晴らしい光るものを持っているので、それを尊敬して、そのパワーをみんなのために活かせる、それが必要なんじゃないかなと。

これは(取締役の)鈴木さんに聞いた話ですが、日本人はそういったことが苦手で、全体を見て善し悪しを決めてしまうところがあるらしいですね。人間はやっぱり良くないところもあったりするものですが、そういう部分が少しでもあるとすぐにダメという評価を下してしまうようです。でも、会社は完璧な人の集まりではないので、各自の部分的に優れている所にフォーカスして会社のパワーに替えていくところが大切で、それをできる人だったら、お互いに自分には無い相手のいい所にフォーカスして、いい仕事ができるんじゃないかと思います。

—なるほど。それでは、最後に一言お願いします。

先日、就職情報サイトに掲載する動画の取材を受けた際に「大切にしているものは何ですか?」と訊かれて、「身のまわりのすべてのものです」という言葉がすぐに出てきました。

これは本当にそう思っていて、優秀なメンバーと出会えたこととか、サーバーワークスという会社が色んな人たちの支援を受けて成立しているので、そういう環境すべてのものに感謝したいなと素直に思っていますね。

我ながらいいことを言ったなという気持ちも半分ありつつ(笑)、でもそれは本当にそう思っています。

(2009年9月)

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