Claude Platform on AWSとは?Amazon Bedrock経由でClaudeを使う場合との違いを解説
Claude Platform on AWSは、AnthropicのClaude PlatformをAWSアカウント経由で利用できるサービスです。Claude ConsoleやClaude Codeなどの開発体験を、AWS請求やAWS Identity and Access Management(IAM)、AWS CloudTrailなどの管理機能と組み合わせて扱えます。
一方で、Claude Platform on AWSはAmazon Bedrockの一機能ではありません。Amazon Bedrock経由でClaudeモデルを利用する場合とは、サービスの位置づけ、運用主体、データ処理範囲が異なります。
本記事では、Claude Platform on AWSの概要、Amazon Bedrock経由でClaudeを利用する場合との違い、企業利用時に確認すべきデータ処理範囲・コンプライアンス・運用上の注意点、用途別の選び方を解説します。
Claude Platform on AWSとは
Claude Platform on AWSは、ClaudeをAWS環境から利用する選択肢の一つです。ただし、Amazon Bedrockとは役割が異なります。ここでは、Claude Platform on AWSの位置づけと、利用できる主な機能を整理します。
Amazon Bedrockの一機能ではなく、AnthropicのClaude PlatformをAWS経由で使うサービス
Claude Platform on AWSは、Amazon Bedrockの一機能ではありません。Amazon BedrockがAWSの生成AI基盤としてClaudeモデルを利用するサービスであるのに対し、Claude Platform on AWSはAnthropicのClaude PlatformをAWSアカウント経由で利用する選択肢です。
Claude Platform on AWSは、2026年5月に一般提供が開始されました。執筆時点では、東京リージョンを含む世界17リージョンで利用できます。ただし、利用リージョンにかかわらず推論や顧客データはAWSのセキュリティ境界の外で処理されます。
AWSアカウント経由で利用できるため、AWS請求や一部の権限管理、監査ログをAWS側の管理プロセスと組み合わせられます。一方で、サービス自体はAnthropicが運用します。AWSアカウント経由で使えることと、Amazon Bedrockと同じ範囲で管理・監査できることは別です。
Claude Platform on AWSで利用できる主な機能
Claude Platform on AWSでは、Claude Console、Workspace、Messages API、Claude Codeなどを利用できます。Claude Consoleは、Claudeの動作確認やプロンプト検証に使う開発環境です。Workspaceは、組織やプロジェクトごとに利用環境を管理するための枠組みです。
Messages APIを使えば、Claudeを自社のアプリケーションや開発環境に組み込めます。Claude Codeは、コードの調査、修正、生成、リファクタリングなど、開発作業の支援に活用できます。
Claude Platform on AWSとAmazon Bedrock上のClaude利用の違い
Claude Platform on AWSとAmazon Bedrockは、どちらもAWS環境からClaudeを利用する方法です。ただし、位置づけ、運用主体、データ処理範囲、利用できる機能は異なります。主な違いは以下のとおりです。
Claude Platform on AWSとAmazon Bedrock経由でClaudeを利用する方法の比較表
| 項目 | Claude Platform on AWS | Amazon Bedrock経由で Claudeを利用する方法 |
|---|---|---|
| サービスの位置づけ | AnthropicのClaude PlatformをAWSアカウント経由で利用するサービス | Amazon Bedrock上でClaudeモデルやClaude関連ツールを利用する方法 |
| 主な用途 | Claude Console、Messages API、Claude Code、Agent Skills、code executionなどAnthropicネイティブ機能の利用 | Claudeモデルの業務システム組み込み、またはClaude CodeやClaude DesktopなどのAmazon Bedrock経由での利用 |
| 運用主体 | Anthropic | AWS |
| データ処理範囲 | 推論や顧客データはAWSのセキュリティ境界外で処理される | 通常、モデルプロバイダーは顧客のプロンプトや応答にアクセスしない。ただし、対象モデル、提供モード、データ保持設定、推論方式の確認が必要 |
| AWS管理機能との連携 | IAM、AWS請求、AWS CloudTrailなどと連携。ただし、すべての操作をAWS側だけで統制できるわけではない | Amazon BedrockのIAM、AWS CloudTrail、AWS PrivateLinkなどを使い、既存のAWS統制に組み込みやすい |
| 向いているケース | Anthropicのネイティブ機能や早期アクセスを重視する場合 | 既存AWS環境への組み込み、閉域接続、運用統制、またはAmazon Bedrock経由でClaude CodeやClaude Desktopを利用したい場合 |
| 確認すべき点 | 利用条件、Anthropic側の運用範囲、AWS CloudTrailで取得できるログ範囲 | 利用リージョン、対象モデル、クロスリージョン推論の有無、利用するClaude関連ツールとの対応状況、既存AWS設計との整合性 |
Amazon Bedrock経由でClaudeを利用する方法は、業務システムからClaudeモデルを呼び出す用途に限られません。Claude CodeやClaude DesktopなどをAmazon Bedrock経由で利用する構成もあります。
そのため、比較する際は、AnthropicのClaude PlatformをAWSアカウント経由で使うのか、Amazon Bedrockを推論基盤としてClaude関連ツールから利用するのかを分けて考えます。
開発体験を重視するか、AWS基盤への組み込みを重視するか
Claude Platform on AWSは、AnthropicのClaude Platformに近い開発体験を重視する場合に向いています。Claude Console、Messages API、Claude Codeに加え、Agent Skills、Code execution、Beta featuresなど、Anthropic側で提供される機能をAWSアカウント経由で使える点が判断材料になります。
Amazon Bedrockは、ClaudeモデルをAWS上の生成AI基盤として業務システムに組み込む場合に向いています。AWS Lambda、Amazon API Gateway、Amazon S3、Amazon OpenSearch Service、Amazon Bedrock Knowledge Bases、Amazon Bedrock Agents、Amazon Bedrock Guardrailsなどと組み合わせて設計できます。
Claude Platform on AWSとAmazon Bedrockは、優劣ではなく用途で選びます。開発体験を重視するのか、既存AWS環境への組み込みや運用統制を重視するのかで判断します。
企業利用で確認すべきセキュリティ・運用上の注意点
Claude Platform on AWSを企業で利用する場合は、開発機能だけでなく、データ処理範囲、権限管理、監査ログ、請求管理、運用監視を確認します。AWSアカウント経由で利用できることと、AWS内で処理が完結することは別です。社内のセキュリティ要件に照らし、利用できる業務と入力できるデータを先に決めます。
データ処理範囲とリージョン要件を確認する
Claude Platform on AWSで確認すべき点は、AWS請求にまとめられるかどうかだけではありません。どのサービス基盤で推論が処理され、どのネットワーク経路で接続するかを分けて確認します。
Amazon Bedrockでは、AWS PrivateLinkを使い、VPCからAmazon Bedrockへプライベート接続する構成を選べます。Claude Platform on AWSも、AWS PrivateLinkを使ってVPCからエンドポイントへプライベート接続する構成自体は可能です。
ただし、接続経路を閉域化しても、推論処理自体はAnthropicが運用するClaude Platform側で行われ、顧客データはAWSのセキュリティ境界の外で処理されます。閉域接続の可否ではなく、接続経路とデータ処理範囲を分けて確認する必要があります。
社内データ、顧客情報、個人情報、ソースコードを扱う業務では、入力可能なデータの範囲を明確にします。国内リージョンやデータレジデンシー要件がある場合は、対象モデル、利用リージョン、推論方式、接続経路を確認したうえで判断します。
AWSのコンプライアンスプログラムの適用範囲を確認する
Claude Platform on AWSはAnthropicが提供するサードパーティサービスです。そのため、SOC、ISO、HIPAA eligibilityなど、標準的なAWSコンプライアンスプログラム、認証、監査レポートの対象には含まれません。
医療、金融、公共、法務など規制要件のある業務で利用する場合は、AWSの認証や監査レポートだけでは判断できません。Anthropic側の認証取得状況、契約条件、データ処理条件を確認し、自社の規制要件を満たせるかを評価します。
AWSを唯一のデータ処理主体にしたい場合や、AWSコンプライアンスプログラムの適用を前提にしたい場合は、Amazon Bedrock経由でClaudeを利用する方法を優先して検討します。
権限管理、監査ログ、請求管理の範囲を確認する
Claude Platform on AWSは、IAM、AWS CloudTrail、AWS請求などと連携できます。推論呼び出しやバッチ処理といったAPI操作は、Workspace単位でIAMポリシーによる許可・拒否制御が可能で、この点はAmazon Bedrockと大きくは変わりません。
一方で、Workspaceメンバーの追加・削除やAPIキーの発行は、Claude Console側ではなくAWSコンソール側の操作になるなど、管理系の機能の一部はAmazon Bedrockと異なる範囲・手順になります。
企業利用では、IAMで統制できる範囲(API操作の許可・拒否)と、AWSコンソール側の操作が必要になる範囲(Workspaceメンバー管理、APIキー発行など)を分けて整理します。
本番利用では運用監視、利用上限、コスト管理も設計する
Claude Platform on AWSを本番利用する場合は、セキュリティ要件だけでなく、運用監視、利用上限、コスト管理も設計します。利用者や対象業務が広がるほど、想定外の利用拡大やコスト増加が起こりやすくなります。
コスト管理では、AWS請求にまとめるだけでなく、AWS BudgetsやAWS Cost Anomaly Detectionなどを使い、予算超過や異常なコスト増加を検知します。部門、プロジェクト、用途ごとに予算や利用上限を分け、費用の責任範囲を明確にします。
業務システムや開発環境に組み込む場合は、障害時のフォールバック、ログ確認、問い合わせ対応、運用責任の範囲も決めます。Claude Platform on AWSを利用するかどうかは、機能の多さではなく、扱うデータ、コンプライアンス要件、運用体制に合わせて判断します。
Claude Platform on AWS、Amazon Bedrock、Claude for Enterpriseの選び方
選び方の軸は、Claudeを誰が、どの用途で使うかです。開発者がAPIやClaude Codeを使うのか、業務システムにClaudeモデルを組み込むのか、社内ユーザー向けにClaudeを提供するのかで整理します。
Anthropicのネイティブ機能・最新機能を重視するならClaude Platform on AWS
Claude Platform on AWSは、AnthropicのClaude Platformに近い環境で開発・検証を進めたい場合に向いています。単にプロンプト検証をしやすいからではなく、Claude Console、Messages API、Claude Codeに加え、Anthropic側で提供されるBeta features、Code execution、Agent SkillsなどをAWSアカウント経由で利用できる点が判断材料になります。
Amazon BedrockにもプレイグラウンドやConverse APIがあるため、開発用途だけでClaude Platform on AWSを選ぶとは限りません。既存AWS環境への組み込みや運用統制を重視するならAmazon Bedrock、Anthropicのネイティブ機能や早期アクセスを重視するならClaude Platform on AWSを検討します。
業務システムへの組み込みならAmazon Bedrock
Amazon Bedrockは、Claudeモデルを業務システムやAWSサービスに組み込む場合に適しています。AWS Lambda、Amazon API Gateway、Amazon S3、Amazon OpenSearch Service、Amazon Bedrock Knowledge Bases、Amazon Bedrock Agents、Amazon Bedrock Guardrailsなどと組み合わせて設計できます。
また、Amazon Bedrock経由でClaude CodeやClaude Desktopを利用する方法もあります。業務システムにClaudeモデルを組み込むだけでなく、開発者や社内ユーザーが使うClaude関連ツールの推論基盤としてAmazon Bedrockを選ぶ形です。
アプリケーションからClaudeモデルを呼び出す場合は、モデル横断で利用できるConverse APIも選択肢になります。既存のAWSアーキテクチャ、ネットワーク、ログ管理、監視、ガバナンス設計と合わせて生成AI基盤を構築する場合は、Amazon Bedrockを軸に考えます。
AWS PrivateLinkによるプライベート接続や、AWS側のセキュリティ・プライバシー管理を重視する場合も、Amazon Bedrockを優先して検討します。
社内ユーザー向け利用ならClaude for Enterprise
Claude for Enterpriseは、従業員がClaudeやClaude Codeを日常業務で使う場合に比較します。API開発や業務システムへの組み込みではなく、社内文書の要約、資料作成、調査、文章作成、コード支援などを部門単位または全社で使う用途です。
Claude Platform on AWSやAmazon Bedrockとは、利用者、契約形態、管理方法が異なります。開発基盤やシステム連携ではなく、社内ユーザー向けのSaaS利用として分けて整理します。
Claude Platform on AWS、Amazon Bedrock経由でのClaude利用、Claude for Enterpriseの選定に迷う場合は、サーバーワークスの「Claude導入・活用支援サービス」で詳細をご確認ください。製品ごとの違い、導入時の課題、PoC支援、ガバナンス設計、運用最適化まで一貫して支援しています。
既存のAmazon Bedrock利用企業は移行すべきか
すでにAmazon Bedrockを利用している企業が、Claude Platform on AWSへ全面的に移行すべきとは限りません。両者は運用主体とデータ処理の前提が異なるため、既存環境を置き換えるかどうかは、フェーズではなく要件で判断します。
具体的には、データがAWSのセキュリティ境界外で処理されてよいか、AWSコンプライアンスプログラムの適用が必要か、Anthropicのネイティブ機能が必要か、の3点です。
置き換えではなく用途別に併用する
Claude Platform on AWSは、Amazon Bedrockの置き換えとして考えるより、用途別に併用するほうが自然です。既存のAmazon Bedrock環境を維持しながら、Anthropicネイティブ機能が必要な業務ではClaude Platform on AWSを組み合わせる、という使い分けが考えられます。
たとえば、AWS-operated inference、AWS PrivateLinkによるプライベート接続、AWSコンプライアンスプログラム、既存のIAM・監査・運用設計との整合性を重視する業務では、Amazon Bedrock経由でClaudeを利用する方法を優先します。
一方、Agent Skills、Code execution、Beta featuresなどAnthropic側の機能を重視し、データ処理範囲やコンプライアンス要件を満たせる業務では、Claude Platform on AWSを検討します。
Amazon Bedrockの本番環境は維持し、Claude Platform on AWSは評価から始める
Amazon Bedrockを前提に権限管理、ログ管理、監視、コスト管理を構築済みの企業では、本番環境はAmazon Bedrockを維持し、Claude Platform on AWSは新機能の評価やClaude Codeの検証から始める方法があります。既存のAWS設計を前提に運用している場合、Claude Platform on AWSへ移すことでデータ処理範囲や運用管理の前提が変わる可能性があります。
Claude Platform on AWSでは、Claude Console、Messages API、Claude Code、Agent Skills、Code executionなどを使い、Anthropicネイティブ機能が自社の業務要件に合うかを確認できます。評価段階であっても、ソースコード、顧客情報、認証情報、社内仕様などを扱う場合は、入力可能なデータ範囲、利用上限、監査ログ、コスト管理の方針を決めたうえで利用します。
一方、データ境界やコンプライアンス要件に抵触せず、Agent SkillsやCode executionなどAnthropicネイティブ機能が必要なワークロードでは、Claude Platform on AWSを本番で利用する選択肢もあります。
まとめ
Claude Platform on AWSは、AnthropicのClaude PlatformをAWSアカウント経由で利用する選択肢です。Claude Console、Messages API、Claude Code、Agent Skills、Code executionなどのAnthropicネイティブ機能を利用できますが、推論や顧客データはAWSのセキュリティ境界の外で処理されます。
Amazon Bedrock経由でClaudeを利用する方法は、AWS-operated inference、AWS PrivateLinkによるプライベート接続、AWSコンプライアンスプログラム、既存のIAM・監査・運用設計との整合性を重視する場合に検討します。社内ユーザー向けにClaudeを提供する場合は、Claude for Enterpriseも比較対象になります。
選定では、開発・検証か本番かではなく、データがAWSのセキュリティ境界外で処理されてよいか、AWSコンプライアンスプログラムの適用が必要か、Anthropicネイティブ機能が必要かを確認します。そのうえで、自社のセキュリティ要件、運用体制、利用目的に合う方法を判断します。


