アプリ開発主体のチームが3年でクラウド自律運用を実現。伴走型支援で推進した「内製化と組織変革」の軌跡
ヤマハ発動機グループのITを支えるヤマハモーターソリューション株式会社。同社のデジタルマーケティング開発グループでは、コンシューマー向けWebサービスの開発スピード向上と柔軟な運用を求め、オンプレミスサーバーからAWSへの移行と、DevOpsを実践する方針へと舵を切りました。
当初はAWSの知識を身につけていく段階からのスタートでした。サーバーワークスは、プロトタイプ構築からスクラム形式による伴走型支援を提供。技術スキルの伝授にとどまらず、マインドセットの改革までを3年間にわたり段階的に手厚くサポートしました。その結果、開発チーム主導による6システムの自律運用を達成し、開発から運用、セキュリティ対応までを自力で高速に回せる組織へと飛躍を遂げています。
事例のポイント
Before
お客様の課題
- 「AWS上でシステムを運用する」という方針は決まったものの、ノウハウ不足や制約で新しい挑戦がしづらい状態だった
- コンシューマー向けWebサービスの提供に必要なスピード感を出すためには、クラウドサービスを最大限活用するスキルが必要だった
- オンプレミスサーバー利用の思考からAWSを活用するマインドチェンジが必要だった
After
課題解決の成果
- 3年間で6システム(海外向けを含む)について、開発チーム自身による自律運用体制を確立し、コンテナやマネージドサービスを中心とした構成への移行を完了
- IaCを活用したテンプレート化により、従来数ヶ月を要していた環境構築作業が数日に短縮された
- AWSの先進サービスを主体的に活用し、自ら課題解決や改善提案を行えるチームへと飛躍的に成長
- クラウドサービスを使いこなせるスキルが身に付き、システム運用にスピード感が出た
- DevOpsの考えにマインドチェンジし、自走を開始
導入サービス
Index
BtoCサービスのさらなる加速に向け、AWSの機能を活かした効率的なシステム運用方法を模索
ヤマハ発動機グループのITソリューションを担うヤマハモーターソリューション株式会社。同社のデジタルマーケティング開発グループは、主にキャンペーンサイトやECサイトなど、ヤマハ製品とエンドユーザーをつなぐBtoC領域のWebサービスやアプリケーションを多数手がけています。
「以前はAWSサービスの利用スキルが備わっていなかったため、例えば、キャンペーンのサイト振り分けを実現したくてもどのようにAWSを利用すればよいかわからない状況でした」(當眞氏)
デジタルマーケティング開発グループ
當眞 沙織氏
これについて、同グループ マネージャーの沢本氏はこう振り返ります。
「以前ヘルプで入ったプロジェクトで、コンテナやAmazon RDSを活用した先進的なアーキテクチャに触れる機会がありました。
一方で、自身が担当するシステムではクラウドサービスを十分に活用できておらず、サーバーの管理は部門外に依頼していたため、開発の効率化やCI/CDによるリリースプロセスの自動化、柔軟な監視体制の構築に課題を感じていました。そこで、AWSの機能を活用し、開発から運用までを自分たちで担えるシステム構成に変えていきたいという強い思いを抱いていました。」(沢本氏)
デジタルマーケティング開発グループ マネージャー
沢本 勇紀氏
クラウドサービスを手の内化した「自律運用」へ
こうした状況から脱却するため、デジタルマーケティング開発グループでは「自分たちの扱うコンシューマー向けサービスは、AWS上のサービスで構築し、自律的に運用する」という大きな方針転換を決断。スピード感を持ったDevOpsを実現するための模索が始まりました。
当時の課題は、サーバーの変更申請手続きなどに想定以上のリードタイムが生じていたことや、レガシーな開発手法から脱却できずクラウドサービスならではの強みを活かすことができていないことでした。
目指したのは、開発チーム自身による自律運用、IaCやコンテナを活用した柔軟なアーキテクチャ、そして迅速なリリースでした。
アジャイル・伴走型の熱い提案が、チームの状況を変えた
「自分たちで運用する」という意思決定をしたものの、当時のチームにはAWSなどのクラウドサービスに特化したメンバーはおらず、知識としてはこれから一つずつ積み上げていく段階でした。「具体的にどう進めていくかは、これから一緒に形にしていく状態だった」と当時を振り返ります。
当初は「最小限のサンプル環境を作ってもらい、それを見ながら自分たちで覚えよう」という軽易なアプローチを想定していましたが、サーバーワークスからの提案は、その予想を大きく上回るものでした。
「最初にサーバーワークスからいただいた提案は、アジャイルやスクラム開発の進め方からチームの自立に向けた道筋までが緻密に描かれた、非常に熱量の高いものでした。最初は『ここまで本格的な取り組みになるのか』と圧倒されたのですが、単に成果物を渡して終わりではなく、私たちのチーム体制そのものを構築し、自立まで伴走しようとしてくれている姿勢に強い信頼感を覚えました」(沢本氏)
サーバーワークスが提示したのは、単なるAWS構築の請負ではなく、顧客の成長に寄り添う「クラウドシェルパ(伴走者)」としての支援計画でした。
「当時はアジャイルという働き方自体が社内でも先進的な取り組みで、腹落ちさせるまでには少し時間がかかりましたが、自分たちの意識を変えなければならないという危機感とマッチしていました。分からないことだらけのスタートでしたが、この情熱に応えて依頼することを決めました」(當眞氏)
プロジェクト開始後は、Teams上の専用チャットや日常的なデイリースクラムを通じ、密なコミュニケーションを開始。些細な疑問でも即座に解決できる「何でも相談できる環境」を作り上げたことで、双方の間にベンダーと発注者という垣根を超えた1つのチームとしての強い信頼関係が醸成されていきました。
当時スクラムマスターとして伴走したサーバーワークスの三好は、取り組みとチームの変化をこう語ります。 「最初はアジャイルやスクラムという開発手法自体に戸惑いもあったかと思いますが、デイリースクラムでのアイスブレイクや日々の小さな振り返りを積み重ねることで、どんどんチーム内の心理的安全性が高まっていきました。伴走させていただく中で、課題を自分たちで発見して自律的にタスクを回せる強いチームへと変化していく過程を実感できました」(三好)
クロスインダストリー第1本部 クラウドモダナイズ課
三好 寿幸
「教わる」から「自走する」へ。3年間で実らせた確かな成果
プロジェクトは、顧客チームの習熟度に合わせて3つのフェーズで段階的に進められました。
- 1年目:土台づくり(2023年6月〜)
- サーバーワークスがIaC(Infrastructure as Code)およびCI/CDパイプラインのプロトタイプを作成
- スクラム形式を導入し、開発サイクルの回し方をレクチャー
- 2年目:手を動かして身につける(2024年)
- 比較的小規模な4つのシステムを対象に、同社自身がインフラ構築・デプロイを実施
- サーバーワークスはアドバイス、コードレビュー、コスト最適化提案に傾注
- 3年目:自走とフルサイクル担当(2025年)
- 影響範囲の大きいエンドユーザーに向けた2つのシステムを自分たちだけで立ち上げ
- 社内セキュリティ基準への準拠対応など高度な調整も自力で遂行
1年目、サーバーワークスが土台となるIaCやCI/CDパイプラインの構成を提示し、スクラムマスターとしてチームをリード。2年目以降は、小規模なシステムから順にヤマハモーターソリューションの担当者が自ら手を動かして構築・保守を行う体制へと移行していきました。
この3年間の伴走支援により、絶大な効果が生まれています。
「特に、開発のスピード感が劇的に変わりました。最初にサーバーワークスさんに作成いただいたIaCのテンプレートは、後の展開や運用まで見据えた非常に丁寧な作りになっていました。そのおかげで、自分たちが管理する他のWebサイトへ横展開する際も、パラメータを変えるだけで実作業1〜3日程度で素早く払い出しや調整ができるようになりました」(沢本氏)
さらに、社内セキュリティ部署との調整においても、サーバーワークスが「リスクとコストのバランス」を考慮した落としどころや想定問答を作成してバックアップ。これにより、高度なセキュリティガバナンスを満たしながら、先進的なアーキテクチャを採用することに成功しました。
「以前は『新しいことに挑戦するのが怖い』という感覚がありましたが、今では『まずAWSのサービスで実現できないか?』と前向きに考える思考へと変化しました。チーム全体の雰囲気もガラリと変わり、大きな成長を実感しています」(當眞氏)
DevOpsの基盤を携え、さらなる高みへ。運用高度化とビジネス貢献への挑戦
AWS上にシステムを構築・自律運用という「箱づくり」を完了させた現在、チームは運用フェーズの高度化を見据え、スクラムからカンバン方式へと移行。日々の運用業務や改善タスクを効率的に可視化・管理しています。
「今後は、単なる障害検知にとどまらないリアルタイムなユーザー状況のモニタリングをはじめ、オブザーバビリティの向上やSREの観点を取り入れていきたいと考えています。これにより、トラブルの予兆検知やエラーの撲滅やパフォーマンス向上、コストと信頼性の最適化をあわせて推進する方針です。システムから得られるメトリクスやデータを分析し、エンドユーザーの利便性を高めるための提案を、自らビジネス側へ発信できるチームを目指します」(本多氏)
デジタルマーケティング開発グループ
本多 淳司氏
技術面での伴走を担ってきたサーバーワークスのエンジニアである小菅は、これまでの歩みとこれからをこう語ります。
「最初はAWSの基礎的な勉強会からスタートしましたが、皆さまのキャッチアップ速度は非常に素晴らしく、現在ではコードレビューの際にもご自身で調べ上げた高度な設計案を提示していただけるまでになりました。単にインフラを動かすだけでなく、アプリやビジネスの成功まで見据えた議論ができる素晴らしいチームだと感じています。これからもオブザーバビリティの導入や運用の更なる効率化に向け、引き続き一緒に進んでいきたいと思います」
クロスインダストリー第1本部 クラウドモダナイズ課
小菅 信幸
AWSの専門知識を一つずつ積み上げるところからスタートし、3年間で自走する組織へと劇的な変化を遂げたデジタルマーケティング開発グループ。サーバーワークスはこれからも「確かな技術力」と「伴走者としての深い理解」をもって、同社の継続的な成長と挑戦を支え続けていきます。
ヤマハモーターソリューション株式会社様
ヤマハ発動機グループのIT企業として1987年に設立。エンジニアリングソリューション、サプライチェーンマネジメント支援、コトサービスの開発・提供、コーポレート系システム、ITインフラ・基盤ソフトウェアまで、製品開発から調達・生産・物流・販売・会計・人事にわたる業務システムとITインフラを一貫して担う。日・中・印のグループ3社が連携し、30年にわたり培った技術力と品質マネジメントで、ヤマハ発動機グループのグローバルな事業活動を支えている。
※ この事例に記述した数字・事実・役職や所属はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
担当プロジェクトメンバー
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クロスインダストリー第1本部 クラウドモダナイズ課 三好 寿幸
2022年11月にサーバーワークスへ入社。情報システム部門向けのITインフラ構築、コスト最適化、セキュリティの支援から、LoB部門向けのWebアプリ、コンテナワークロードのアーキテクチャ設計、実装、運用の支援まで幅広く担当しています。「2026 Japan All Certifications Engineers」として選出。
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クロスインダストリー第1本部 クラウドモダナイズ課 小菅 信幸
2022年7月にサーバーワークスへ入社。さまざまな業種のお客様のAWS活用を支援。要件定義から設計、実装支援、運用まで、案件の各フェーズに一貫して携わっています。「2026 Japan All AWS Certifications Engineers」に選出。
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クロスインダストリー第1本部 クラウドコンサルティング1課 渡部 航平
2024年6月にサーバーワークスへ入社。ITインフラ構築、コスト最適化、セキュリティ支援など、お客様組織におけるAWSのマルチアカウント運用支援を主に担当しています。
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クロスインダストリー第1部 クラウドモダナイズ課 ウォルフ圭
2022年にサーバーワークスへ入社。エンジニアとして、IaCを活用したインフラ開発やアプリケーション開発を担当し、幅広い業界・業種のプロジェクトを成功させてきた。現在はクロスインダストリー第1部クラウドモダナイズ課にて、培った技術力をもとにお客様のクラウドモダナイゼーションを幅広く支援している。AWSパートナーネットワークにおいて「2025-2026 Japan All Certifications Engineers」として表彰。
選ばれる3つの理由
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Reason 01
圧倒的な実績数による
提案力とスピード- 導入実績
- 1610 社
- 案件実績
- 33200 件
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Reason 02
AWS認定の最上位
パートナーとしての技術力
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Reason 03
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取り組んだ歴史
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