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AWSにおけるデータレイクの基礎知識|注意点や構成する手順

AWSにおけるデータレイクの基礎知識|注意点や構成する手順

アマゾン ウェブ サービス(AWS)を利用するうえで重要なのが、さまざまなサービスから得られるデータ管理です。その際にぜひ注目してもらいたいのが、一元化されたリポジトリである「データレイク」です。データレイクを正しく活用できれば、組織を横断した情報共有やビッグデータ解析など、部署の壁を超えた組織単位での効率化や「できること」の選択肢が増えるといったメリットを得られます。そこで今回はAWSにおけるデータレイクの基礎知識やポイント、具体的な構成手順について解説します。

「AWSの概要を詳しく知りたい方はこちら」

この記事でわかること

  • データレイクは膨大な種類のデータを一元的に保存し、柔軟な分析や処理を可能にするデータ基盤を指す
  • AWSのデータレイクを構成する際は、「ストレージの容量と耐久性」「格納されたデータのカタログ化」「適切な権限の管理」を確認する
  • データレイクは、「データソースの特定とデータ収集戦略の策定を行う」「データカタログを作成する」「必要なデータを読み込み、データを構造化する」「任意の分析アプリケーションを使用してデータを参照する」の手順で構成する

※当記事は2025年4月に書かれたものであり、以後に展開された最新情報が含まれていない可能性がございます。

データレイクの基礎知識

データレイクは、膨大な種類のデータを一元的に保存し、柔軟な分析や処理を可能にするデータ基盤です。AWSでは主にAmazon S3をバケットとして活用し、さまざまなフォーマットのデータを保存・分析できます。SQLベースのクエリやサーバーレスアーキテクチャ、さらにはETL処理との連携により、多様なワークロードへの対応が可能です。ユースケースやニーズに応じた実装ができる点が、多くの企業に選ばれている理由のひとつです。

データレイクとは

データレイクとは、企業活動によって蓄積されるあらゆる構造・非構造データをそのままの形式で保存できるスケーラブルなリポジトリです。従来のデータベースとは異なり、保存時点でのスキーマ定義が不要である「スキーマオンリード」の特徴を持ちます。例えば、Webログ、センサーデータ、CSVやJSON形式のファイル、画像、動画など、形式を問わず一元管理が可能です。AWSにおいては、Amazon S3にバケットを作成し、そこへ多種多様なデータを書き込みます。分析サービスとしては、Amazon Athenaを使ったSQLクエリ実行、AWS GlueによるETLジョブ生成、さらにAmazon Redshiftとの連携も可能です。

これにより、データサイエンティストやエンジニアが、データの収集からアナリティクスまでをシームレスに実施でき、リアルタイム分析や機械学習にも応用することで、企業の意思決定に役立ちます。

データウェアハウスとの違い

データレイクとDWH(データウェアハウス)は、どちらもビッグデータを保存・活用する目的で用いられますが、目的や構造、使用方法に明確な違いがあります。データレイクはデータ保存が目的で、構造化データ、半構造化データ、非構造データをそのまま保存が可能です。そのままの形式で保存するため、必要に応じて変換や処理を行います。

対して、DWHはデータの分析が主たる目的で、構造化データのみが対象です。そのため、BIやレポート、データ分析に適しています。データの取り込み段階で変換され、特定の目的に合わせて整理されます。なお、データマートは、特定の部門やビジネス領域向けに整理されたデータの集まりのことを指します。データウェアハウスから必要なデータを抽出して、部門別に分析しやすい形式で提供します。

データレイクのメリット

AWSにおけるデータレイクには以下のようなメリットがあります。

すべてのデータを保存できる柔軟性:
データレイクは、構造化・非構造化を問わず、あらゆるフォーマットのデータに対応できます。データレイクで活用されるAmazon S3バケットは、実質的に無制限のストレージであり、拡張性とコスト効率に優れています。

分析やイノベーションの促進:
データレイクは保存されたデータに対してSQLクエリを実行後、すぐにアナリティクスと連携することが可能です。業務に適した分析サービスを自由に選択し、機械学習や可視化ツールと組み合わせることで、迅速な意思決定を支援します。

サーバーレスな構成による管理負担の軽減:
データレイクでは、サーバーレスな構成が特徴であるため、管理負担の軽減がメリットとして挙げられます。Amazon AthenaやAWS Glueといったサーバーレスサービスを活用すれば、インフラ構築やメンテナンスの手間を削減することが可能です。

デメリット

一方で、データレイクには次のようなデメリットも存在します。

データ品質やガバナンスの課題:
大容量データの保存が可能な一方、データの不整合が起こりやすく、後続の分析に支障をきたすことがあります。回避するためには、ポリシーやアクセス制御など、明確なルール設定が必要です。

開発・運用の複雑化:
データレイクに必要不可欠なETL処理やジョブのデプロイなど、複数サービスを連携させるには高度な知識が求められます。適切なフレームワークやデータ移動の設計、セキュリティ対策も欠かせません。

構成やパフォーマンスチューニングが難しい:
設定やユースケースに応じて、期待したデータレイクのパフォーマンスを引き出すためには、事前のレビューや検証が重要です。そのため、構成やパフォーマンスチューニングが難しいというデメリットがあります。

AWSにおいてデータレイクを構成する際に確認すべきこと

AWSでデータレイクを構成する際に、確認すべき重要なポイントがあります。ここでは、そのポイントと理由について解説します。

ストレージの容量と耐久性

データレイクには、異なる形式のデータが膨大に格納されます。
また、保管する期間も異なるため、長期的に保持するデータが損失しないようにする必要があります。Amazon S3を利用し、データ容量の伸縮拡張性やデータ耐久性を確認することが重要です。

格納されたデータのカタログ化

データレイクに格納された膨大なデータを整理・管理するためには、格納されたデータのカタログ化を行う必要があります。データのカタログ化を行うことで、データセットを発見しやすくなり、クエリや分析の効率化が図れます。AWS Glue Data Catalogを利用すると効率的にデータのカタログ化が可能です。

適切な権限の管理

データレイクは、複数のユーザーがアクセスするという特徴があります。そのため、データの漏洩リスクを防ぐためのアクセス制御が重要です。ユーザーやグループ単位でのアクセス制御を設定できるため、特定のデータセットに対して読み取り専用や書き込み権限の制限を設けることができます。

AWSにおいてデータレイクを構成する主な手順

データレイクを構成する際には、戦略を練った上で段階的な手順に則り実施することが重要です。ここではその手順について、順を追って解説します。

STEP1:データソースの特定とデータ収集戦略の策定を行う

まず、データレイクにためるためのデータについての戦略を策定します。どのようなデータを収集するか、そのデータをどのように収集するかを決める必要があります。具体的には、自社の様々なシステムからデータを収集し、Amazon S3などのストレージに保存するなどの方針を決めましょう。

STEP2:データカタログを作成する

次に、メタデータのカタログ化を行います。収集したデータを整理し、検索や参照をしやすくするために、必要な手順です。AWS Glueを使用することで、Amazon S3に保存されたデータの構造や属性を自動的に識別・登録できます。

STEP3:必要なデータを読み込み、データを構造化する

カタログ化されたデータをもとに、集計や変換などの整形を実施し、データを構造化します。Amazon Redshiftを活用することで、大規模データの分析処理やBIツールとの連携が容易になります。また、ETL処理にはAWS GlueジョブやAmazon Lambda関数などのサーバーレスサービスも有効です。

STEP4:任意の分析アプリケーションを使用してデータを参照する

最後に、任意の分析アプリケーションを使用してデータを参照します。目的に応じて適切なサービスを選定することで、柔軟かつ高度な分析が可能になります。Amazon AthenaやAmazon QuickSightなどを用いると、ダッシュボードの可視化、機械学習モデルのトレーニングなどに活用できます。

データの活用はAWSのデータレイクで構成しよう

データレイクと聞くと、難しいと感じる方も多いかもしれません。しかし、AWSのさまざまなデータサービスを利用する中で、データレイクはとても魅力的なリポジトリです。一方、データレイクは活用する元データの選定やどこでどのように格納するか、格納データをどのように閲覧するかなど、さまざまなステップを経て導入する必要があるため、専門的な支援を受ける必要性は高いと言えるでしょう。
サーバーワークスでは、AWS構築支援を行っています。今回のAWSデータレイク構築についても、自社のニーズに合わせたデータ活用方法を提案可能です。データレイクに関する課題を感じている方は、ぜひお気軽にサーバーワークスにお問い合わせください。

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