Amazon Connectとは?仕組みと導入メリットを最短で理解できるガイド
Amazon Connectは、アマゾンウェブサービス(AWS)が提供するクラウド型のコンタクトセンターサービスです。オンプレ型PBXとは異なり、初期費用なしで構築でき、席数や拠点を柔軟に拡張できる点が評価されています。
本記事では、Amazon Connectの基本、仕組み、メリット、料金イメージ、導入までの流れを短時間で把握できるよう整理します。まず全体像を知りたい方に向けたガイドです。
※当記事は2026年1月に書かれたものであり、以後に展開された最新情報が含まれていない可能性がございます。
Amazon Connectとは?
Amazon Connectは、アマゾンウェブサービス(AWS)が提供するクラウド型のコンタクトセンター(コールセンター)サービスです。
AWSが提供するクラウド型コンタクトセンター
Amazon Connectは、サーバーやPBX機器を持たずに導入できる クラウド型コンタクトセンター(CCaaS) です。Webブラウザだけで設計・運用・分析を管理できます。
- カテゴリ:クラウド型コンタクトセンター
- 提供元:AWS
- 導入形態:完全マネージド型
- 課金方式:従量課金
従来型PBX/CTIとの違い
Amazon Connectは「電話システムを所有して維持するモデル」から、「必要な分だけ利用するクラウドサービス」へ移行させる選択肢と言えます。
| 観点 | 従来型PBX/オンプレCTI | Amazon Connect |
|---|---|---|
| 導入形態 | 機器購入+専用回線+サーバー構築 | クラウド提供(設備不要) |
| 初期費用 | 高額(数百万円〜) | ほぼゼロ(設定のみ) |
| 課金方式 | ライセンス+保守契約+固定回線費 | 従量課金(通話時間・機能利用分のみ) |
| 拠点増設 | 回線追加・機器増設が必要 | ブラウザ接続で即時追加 |
| 在宅対応 | VPN・専用端末が前提 | インターネット接続だけで可 |
| 機能追加 | 機器更新・開発が必要 | 管理画面で即設定変更 |
| AI活用 | 外部ツール連携が前提 | AWS AIサービスとネイティブ連携可能 |
| 運用保守 | 自社 or ベンダー対応 | AWS側でフルマネージド |
他のクラウド型CTIとの違い
Amazon Connectは、AWS上でコンタクトセンター全体を構築する基盤として設計されています。電話機能にとどまらず、運用・分析・自動化まで一体で扱える点が特徴です。
1. 席数ライセンスが不要
多くのクラウドCTIが「1席=月額固定」であるのに対し、Amazon Connectは利用時間にほぼ比例する従量課金です。繁閑差のある現場に最適です。
2. AI機能が簡単に利用可能
Conversational Analytics(会話分析)、Amazon Lex、Amazon Bedrock などの連携が可能で、通話要約・感情分析・チャットボット対応・生成AI活用までをスマートに統合することができます。
※標準機能による要約機能は現時点では日本語に非対応ですが、弊社ソリューションによる日本語要約もご提案可能です
3. AWSの可用性・セキュリティをそのまま利用
冗長化・更新・セキュリティ対策をAWS側が担保します。保守負荷が低い点もクラウドCTIとの差別化ポイントです。
Amazon Connectの導入メリットと向いている企業
Amazon Connectが選ばれる理由を、コスト・運用・拡張性の観点から整理し、どんな企業に適しているかを解説します。
初期費用ゼロ・スモールスタート
Amazon Connectは、PBX機器や専用回線などのハードウェア調達が不要なため、物理的な設備への初期費用が不要です。環境構築もブラウザ上で完結するため、PoC(検証)から本番運用までのリードタイムが短い点が特徴です。
導入後にセルフコントロールできて運用維持費用を削減
Amazon Connectは、IVRやルーティング、営業時間、席数調整などの設定変更を自社でノーコード運用できる点が特徴です。小さな改修でもベンダー依頼が前提だった従来型PBXと比べ、保守費・改修費を抑えながらスピーディに改善を回せます。結果として、導入後の維持コストを最小限にしながら運用を内製化しやすい点がメリットです。
席数/拠点を柔軟に拡張できる
固定回線・機器ベースのPBXと異なり、席数や拠点数を利用状況に合わせて増減できます。
店舗・事業所・海外拠点など複数拠点のオペレーターを同一のコールフローで運用でき、繁忙期のみ席数を増やすといった運営も容易です。
在宅/分散運用に最適
インターネット接続さえあればどこからでも利用できます。オペレーターは自宅・サテライトオフィス・海外拠点など場所を問わず受電可能で、専用端末やVPNを前提としないため、在宅コンタクトセンターの構築にも適しています。
AI連携による自動化・分析強化
AWSが提供するAIサービスとネイティブ連携できる点は、他社CTIとの明確な差別化要素です。「コール数削減」「対応品質の定量化」「応対ログの自動要約」といった運用改善が実現しやすくなります。
例:
- Conversational Analytics:通話内容の自動文字起こし・要約・感情分析・会話スピード、通話以外の時間等のコンタクト分析情報
- Amazon Lex:チャットボット/音声ボット対応
- Amazon Connect AI エージェント:生成AIを活用したエージェント支援/セルフサービス
逆に向かない企業
Amazon Connectは万能ではなく、以下のような環境では適さない場合があります。
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 社内ネットワーク内で閉域運用が必須 | AWSクラウド前提のため構造的に適合しない |
| 既存PBXを前提にしたFAX・内線連携が必須 | Amazon Connect単体では代替不可 |
| 「固定料金制」でコストを一定化したい | 従量課金モデルのため適さない |
導入判断の3つの軸
Amazon Connect導入の適性は、次の3つの観点で判断できます。下記3点のうち 2つ以上に当てはまる場合は、Amazon Connectが有力候補です。
- コスト構造
- 固定料金より従量課金が合理的か?
- 運用体制
- 拠点分散・在宅運用・席数変動があるか?
- AI活用ニーズ
- ログ分析/自動要約/チャットボットなど将来的に活用したいか?
Amazon Connectの仕組みとできること
Amazon Connectがどのように動き、どこまでできるのかを構造と機能の観点から整理します。
アーキテクチャ概要(クラウド vs オンプレ)
Amazon Connectは、AWSのマネージド基盤上にコンタクトセンターを構築できる CCaaS型サービス です。従来型PBXのように機器を所有・保守する必要がなく、短期間で利用開始できる点が違いです。
| 項目 | 従来型型PBX/CTI | Amazon Connect |
|---|---|---|
| 構築 | サーバー・PBX機器設置が必要 | 設備不要。ブラウザで設定開始 |
| アップデート | 手動/ベンダー作業 | AWS側で自動適用 |
| 席数追加 | 機器/回線追加が必要 | 管理画面で即追加可能 |
| 拠点対応 | 拠点ごとに設備が必要 | 全拠点共通のクラウド基盤 |
| 可用性 | 自社運用依存 | AWSインフラの冗長構成を利用 |
構成のイメージ:
- オペレーター端末 → ブラウザソフトフォン
- 通話フロー/IVR/録音 → AWS上で管理
- 外部連携 → AWS Lambda/API/CRM/AIサービスなど
IVR/ACD/録音/ログ分析
Amazon Connectは、従来のコンタクトセンターが必要とする基本機能をクラウド上で提供します。管理画面上で設定・編集できるため、ルール変更やメンテナンスもコード不要で実施できます。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| IVR(自動音声応答) | 入電後のガイダンス・分岐設定がノーコードで可能 |
| ACD(着信振り分け) | スキル/待機時間/キュー優先度に応じたルーティング |
| 通話録音 | 全通話の録音・保存に対応 |
| 応対ログ分析 | 音声→テキスト変換、キーワード検出、要約 |
できないこと・制約
「PBXをそのままクラウド化するサービス」ではなく、「仕組みそのものを刷新する選択肢」という理解が正確です。以下は制約として理解しておく必要があります。
| 制約項目 | 補足 |
|---|---|
| 内線電話システムの完全代替 | オフィス内線用途は前提外 |
| FAX/アナログ機器連携 | 別サービスやハード連携が必要 |
| 完全固定料金化 | 従量課金モデルのため「定額制」での運用は不可 |
| オフライン対応 | インターネット接続が必須 |
| 独自CTIソフト資産流用 | 既存PBXの設定・機能は利用できない |
Amazon Connectの料金体系とコストイメージ
料金構造と実際の運用規模を想定したコスト感をイメージできるように整理します。
従量課金の基本構造
Amazon Connectは「固定料金+ライセンス制」ではなく、利用量に応じて支払う従量課金モデルです。課金要素は以下の3つで構成されます。
| 項目 | 内容 | 課金単位 |
|---|---|---|
| 通話料 | 発信・着信の利用時間に応じて発生 | 1分あたり |
| 電話番号利用料 | DID番号/フリーダイヤル番号の保有コスト | 1番号あたり |
| 追加機能 | 例:Conversational Analytics(会話分析)、チャット、ボット等 | 利用分課金 |
- オペレーター数に応じたライセンス料は不要
- 未使用時間の席にコストは発生しない
- 1席だけの利用や短期運用でもコストが膨らみにくい
「最低限のコンタクトセンターをまず立ち上げたい店舗・中小企業」に適した規模での試算例
| 条件 | 数値 |
|---|---|
| オペレーター人数 | 5名 |
| 稼働日数 | 20日/月 |
| 電話番号 | DID番号1本 |
▶ 月額想定コスト:約 29,950円(1ドル=150円として試算)
内訳(目安):
- 通話料:約13,000円
- 電話番号料:約450円
- サービス利用料・ストレージ料金等:約9,000円
- Conversational Analytics等の機能追加:約7,500円
※オペレーター1名あたりの稼働時間は7時間、電話応対時間割合は20%、受発信割合は7:3という条件にて試算
▼ 自社条件での費用感を確認したい方へ
席数・通話時間などを入力すると、Amazon Connectの概算コストを自動算出できます。
https://connect-mitsumori.serverworks.co.jp/
オンプレ/他社CTIとの費用構造比較
| 観点 | オンプレPBX | 他社クラウドCTI(席数課金型) | Amazon Connect |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 高額(機器・回線工事) | 0〜数十万円 | Amazon Connect 利用開始にかかるAWS初期費用はゼロ |
| 月額費用 | 固定+保守+回線費 | 席数 × ライセンス料 | 利用時間ベースの従量課金 |
| スモールスタート | 不可 | 一応可(席単位契約) | 可(極小構成OK) |
| 席数変動 | 都度機器増設 | 契約変更が必要 | 管理画面で即増減 |
| AI機能 | 外部連携必須 | 追加料金 or 非対応 | AWS AIとネイティブ連携 |
「固定費を持たず、変動費だけで運用できるモデル」が最大の特徴です。
AI連携でできること
Amazon Connectは、AWSのAIサービスと連携することで、要約・分析・自動応答などの高度な運用改善を実現できます。ここでは主要なAI連携機能を紹介します。
Conversational Analytics(会話分析)
Conversational Analyticsは、通話内容を解析し、テキスト化・要約・感情推定を自動で行う機能です。
できること
- 通話音声を自動で文字起こし
- 感情スコアを自動判定
- 応対内容の要約を自動生成 ※要約機能は現時点で日本語非対応
- NGワード検出
- 会話スピード、通話以外の時間等のコンタクト分析情報
効果
- 応対品質の属人化を防ぎ、教育/評価に活用できる
Amazon Lex
Amazon Lexは、チャットボット/音声ボットを構築できるAIサービスです。問い合わせ内容の一次対応・よくある質問の自動応答などに活用できます。
活用例
- 「営業時間を教えて」「予約を確認したい」などの自動回答
- 音声IVRで「1→○○」「2→○○」の分岐を会話型に置き換え
メリット
- オペレーター対応件数を削減 → 人件費削減/繁忙対応
- 利用言語を問わない(多言語対応が容易)
- Amazon Connect上のフローに直接組み込める
AWS 生成AI連携
Amazon Bedrockは、生成AIをAPIで利用できるサービスです。Conversational AnalyticsやAmazon Lexと組み合わせることで、応対ログの要約/FAQ生成/自動提案/自己解決チャット体験などが実現できます。
| ユースケース | 活用されるAI |
|---|---|
| 通話ログの要約を自動生成 | Amazon Bedrock +Conversational Analytics |
| FAQデータベースの自動生成 | Amazon Bedrock |
| オペレーターへの応対補助提案 | Amazon Connect AI エージェント |
| チャットボットの回答文章を自然文で生成 | Amazon Connect AI エージェント |
ポイント
- AWS内で完結するAI運用が可能
- プライベートナレッジを組み込んだ応答生成も可能
よくある質問
導入前によくある質問をまとめました。
電話番号は引き継げる?
一部の番号では可能です。ナンバーポータビリティにより既存番号を移行できますが、番号種別によって手続きが異なり、完了まで 最大6ヶ月程度 かかる場合があります。
通話品質は安定している?
通話はAWSのグローバルネットワークを利用して処理されるため品質は高く安定しています。ただし「自社ネットワーク側の帯域不足」「オペレーター回線の不安定さ」がボトルネックになるケースがあります。
推奨要件:
- 有線LANまたは電波強度の高いWi-Fi
- 帯域確保(上り・下りとも 100kbps/通話が目安)
- VPN不要(インターネット直収が基本設計)
既存PBXと併用できる?
併用は可能です。ただし 「既存PBXにAmazon Connectを接続する」のではなく、音声ルーティングを分岐して併存させる構成 になります。
例:
- 代表番号→既存PBX
- サポート窓口→Amazon Connect
- 時間外・溢れ呼のみAmazon Connectへ迂回 など
既存設備を完全に捨てず、段階的に移行するケースも多くあります。
最低契約期間はある?
ありません。Amazon Connectは月額契約や席数契約が存在せず、利用した分だけ課金される従量制です。数日だけ使う、1席だけPoC運用する、といった使い方も可能です。
社外オペレーターでも利用できる?
可能です。社内/社外を問わず、ブラウザとヘッドセットがあれば利用できます。派遣スタッフ・BPO委託先・海外オペレーターなどともログ・権限管理を統一でき、「場所を問わない体制で運用できる」のがAmazon Connectの強みです。
まとめ
Amazon Connectは、PBX不要で構築できるクラウド型のコンタクトセンター基盤で、初期費用の軽さ・拡張性・AI連携の強さが特徴です。本記事では、仕組み・できること・料金イメージ・導入ステップまでを整理しました。
結論として、スモールスタートしながら運用を内製化したい企業に適した選択肢です。導入可否を判断する際は、席数変動の有無、既存業務とのフィット、AI活用の必要性などを軸に検討するのが有効です。


