株式会社ファミリーマート様のAWSシステム構築(ファミペイ)の事例
ファミペイのマルチベンダーなプロジェクトの中で、サーバーワークスは各社をAWSのインフラ面からリード。それがスケジュールの短縮にも大きく貢献しています

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2020.09.08 掲載

ファミリーマートデジタルソリューション部部長森丈生氏、デジタルソリューション部デジタルアプリケーショングループマネージャー阪本健一郎氏に新たな決済サービス「ファミペイ」のインフラにAWSを選択し、そして複数ベンダーが関わるプロジェクトの中で、サーバーワークスに何を求められたのかについて話を聞きました。

株式会社ファミリーマート様
本社所在地:東京都港区芝浦三丁目1番21号
主な事業:フランチャイズシステムによるコンビニエンスストア事業
店舗数:24,563店(国内外エリアフランチャイズ含む)(2020年2月末)
チェーン全店売上高:2,965,052百万円(2020年2月期)
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
目次
導入の概要
当社では既に提供していたスマートフォンアプリ、その他周辺システムのインフラに、AWSを活用していました。これまでAWSでの大きな問題はなくAWSの利用にも慣れてきたこともあり、新たなバーコード決済機能付きアプリケーション「ファミペイ」の開発が決定し、インフラでもAWSを活用することになりました。
導入の経緯
ファミペイでは、クラウド利用の際にAmazon EC2などでサーバーを動かし利用するのではなく、マネージドサービスをできるだけ活用する方針を立てました。マネージドサービスが豊富に揃っていることも、ファミペイのインフラにAWSを選ぶ理由の1つでした。
またファミペイは決済というミッションクリティカルなサービスのため、インフラには無停止で動き続けられることが求められます。この要件に応えるには、高い稼動率が必要です。さらに高いレベルの安全性、信頼性の確保のため、高度なセキュリティを担保できるインフラ構成がとれることも重要でした。個人情報を扱うことになるので、トラブルを起こすわけにはいきません。より慎重な構成設計が求められました。
さらには、スマートフォンを活用するファミペイのサービスでは、どれくらいのユーザーがダウンロードするのか、どれくらいのアクティブユーザーがいるのかを正確に予測するのは難しいものがありました。ユーザーの利用の変化に柔軟に対応できるインフラであることも、重要なポイントでした。これら要件に対しても、AWSであれば応えられると当社では判断したのです。
サーバーワークスを選んだ理由
以前にファミリーマートの周辺システムのAWS利用を始めた際、AWSの構築、運用をサポートするパートナーとしてサーバーワークスを選びました。当時、AWSの最上位のパートナーである「プレミアコンサルティングパートナー」は、国内に数社しかありませんでした。その中で動きが最も速く、我々の動きのペースと一緒に動くことができると判断したのがサーバーワークスでした。
プロジェクトの概要

ファミペイ公式キャラクター「ファミッペ」
ファミペイサービスの構築プロジェクトは、2018年8月からスタートしました。セキュリティに考慮した上で、いち早くスマホ決済サービスを稼働させたいとの想いがあり、準備を進めてまいりましたが、2018年末には仕様の大幅な変更が発生することとなりました。ある意味これは、リスタートに近い状況でした。AWSのインフラ構成にも大きな影響が出ましたが、それに迅速に対応できたのはAWSの柔軟性の高さによる効果が大きかったと思います。
今回のプロジェクトには、アプリケーションを開発する複数の会社、システム間連携部分を構築する会社、さらに複数のセキュリティ専門家も参画し、さらには、ファミペイとファミリーマートの基幹系システムのデータを合わせて分析する、データ分析基盤の構築も並行して走り、それは別の会社が行っていました。
過去に、今回よりも多くの企業が関わる開発プロジェクトを経験したこともあり、パートナー数の多さ自体は気になりませんでした。しかしながら各社の役割分担の境目があいまいなところもあり、最後まで調整する必要があったのです。
オンプレミスであれば、一般的にアプリケーション開発会社がある程度サーバーなどのインフラまで含め担当します。今回は、AWSのインフラはサーバーワークスの担当です。サーバーワークスはAWSに慣れていましたが、アプリケーション開発会社の一部は慣れておらず自分たちの責任範囲が分かり難く、その切り分けなどの調整に苦労することもありました。
またAWSには多くのサービスがありそれらを全て把握することは難しいです。たくさんある中でサービスをどこまで利用すべきかの判断は難しいものがありました。これについても、AWSのサービスをよく知るサーバーワークスに支援を受けることで、適宜判断できたと思います。
ファミペイのセキュリティ対策については、クレジットカード業界のセキュリティ基準であるPCI DSSに準拠できるレベルを目指しました。セキュリティツールの選定やセキュリティを担保するためのAWSの構成については、アプリケーションの開発、運用の体制とは分離しセキュリティ専門家を中心に進めます。そこで決まったことを、サーバーワークスがAWSに実装するのです。セキュリティと開発を分けることは、決済サービスのように高いセキュリティレベルが求められるものでは重要です。サービスインした後も、この分離した体制での運用は続けています。
導入で苦労した点
今回のプロジェクトで最も苦労したのは、2019年7月1日にサービスをスタートした時でした。ユーザーによるアプリケーションのダウンロード数はかなり多く、アクセスも想定をはるかに超えたのです。サーバーリソースのキャパシティは逼迫し、決済サービスに影響を与えました。この状況をどう乗り越えるかが、最大の山場となりました。
膨大な要求を迅速に処理するには、アプリケーション設計的にも弱い部分がありました。しかし、アプリケーションの中身はすぐに直せません。まずはスケールアップ、スケールアウトでリソースを増強し、対処するしかありませんでした。
AWSの柔軟性とそれを最大限に活用できるサーバーワークスの素早い動きがあり、なんとかこの時の窮地を脱することができました。これで当座の課題をしのぎ、後に数ヶ月かけ徐々にファミペイのアプリケーションとインフラの最適化が実施されました。
導入後の効果、サーバーワークスへの評価
ファミペイのプロジェクトにおけるサーバーワークスへの要求は素早く動いてもらうことでした。これは、当初から運用フェーズに入った現在まで一貫して変わっていません。素早く要件を確認し、それに基づき設計し、迅速にAWSの環境を構築する。もともとアプリケーション開発には、時間がかかると予測されていました。ビジネスサイドとの調整が入り、仕様変更がどうしても発生するからです。アプリケーション開発にかかる時間を短くできないのであれば、連携するインフラ構築で縮めるしかありません。そのためにもAWSを選び、それを使った時間短縮をサーバーワークスには最優先にしていただきました。
また、AWSのインフラの設計、構築だけでなく、AWSの運用設計面でもサーバーワークスの動きは期待以上のものがありました。たとえば、Amazon Connectを使い障害発生時などに自動で担当者に電話をかける機能の提案があり、これは結果的に運用上かなり有効なツールとなっています。さらにデータ活用基盤のためにデータ抽出する部分では、P2Pの仕組みよりもETLを活用したほうが効率的になるとの提案もいただきました。AWSインフラから少し離れる範囲のアドバイスが、手詰まり気味だった状況の解消につながったと思います。
本来はアプリケーション開発側で担って欲しい範囲についても、サーバーワークスが積極的にカバーし開発会社をAWSのインフラ面から牽引したことが、プロジェクト期間の短縮にもつながりました。これはやり過ぎるとアプリケーション開発側の主体性を損なうので、バランスが大切です。その点もサーバーワークスは上手くリードしていただきました。
今後の展開/サーバーワークスへのリクエスト
ファミペイのサービスは、今後ファミリーマートの店舗以外にも展開するのが大きな施策となります。それに伴いファミペイのアプリの使い方も多様化し、さらなる金融系のサービス追加もすることになります。そういった変化への対応のために、引き続き安定、安心してAWSのインフラを使えるよう責任を持って対応してくれることをサーバーワークスに期待しています。
さらに、インフラコストの削減面でも期待がかかります。AWSには柔軟性があり、リソースを増やすことは容易です。増やせばレスポンスが向上し性能問題は解決できますが、コストは青天井で増えかねません。今回はサーバーワークスの提案で1ヶ月半ほどの期間でインフラコストが30%程下がったケースもあり、この提案には強いパートナーシップを感じました。中長期的なコストの最適化ついては、今まで以上に積極的に提案していただくことを期待します。
ファミペイが利用できるようになってから、ファミリーマート社内からはさまざまな新たな案件が生まれています。それに伴い、ファミペイのアプリケーションに機能を追加することも増えており、その中の案件はあまり時間を掛けられないものもあります。そのような要求にも迅速に応えられるよう、より一層サーバーワークスとの協力体制の強化が必要です。
サーバーワークスに求める期待値は、かなり高いものがありますので、今後ともよろしくお願いいたします。
※ 取材日時 2020年5月29日
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