基幹システムAWS移行の事例

"基幹システムを含む社内88サーバーをAWSに移行します。上流工程となるコンサルティングを特に重視しています"

2017.07.18 掲載

ジューテックホールディングス 情報システム部 部長 岡城秀宣 氏にサーバーワークスのAWS移行のコンサルティング、設計、構築を導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

基幹システムAWS移行の事例

ジューテックホールディングス株式会社様

ジューテックは、住宅資材販売を主な事業分野とする、ジューテックグループの中核会社です。グループ全体の年商は1550億。ジューテック単体では1330億、社員数は726名です。近年は自社で培ったノウハウを基にした、住宅資材販売業界向けのシステム販売にも注力しています。今回、お話をお聞きした岡城氏は、ジューテックグループ全体の情報システム部門長であると同時に、システム販売を行うグループ企業『オフィスオペレーション』の代表取締役も兼任しています。

  • この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

目次

基幹システムを含むサーバー88台をAWSに移行

ジューテックではAWSをどう活用していますか。

ジューテックは、社内システムおよび外販システム『Users(ユーザーズ)』のサーバー全88台を、従来のオンプレミスからAWSに切り替えていきます。

サーバー移行のコンサルティング、設計、構築はサーバーワークスに依頼。2017年3月にプロジェクトを開始し、現在、第一フェースが完了したところです。AWS移行するサーバー88台の内訳は次のとおりです。

用途 台数 備考
自社業務用68台 販売管理システム 42台 受発注及び在庫管理(ジューテックの業務基幹システム)
財務会計、人事給与 3台 -
その他 13台 メールサーバー、ファイルサーバーなど情報系システム
外販用20台 外販システム『Users』サーバ 20台 住宅資材販売会社向けの販売管理システム『Users』のサーバー。顧客のサーバー資産をジューテック(オフィスオペレーション)側が管理している形です。

サーバーワークスに依頼した業務は次の通りです。

項目 内容 備考
コンサルティング 現状分析 フィット&ギャップの分析 -
導入ガイドライン作成 Backlogによる移行/構築/運用ガイドライン作成 実績に基づいたノウハウ提供
移行計画策定 インフラ要件策定
サイジング方針
移行システムの方針策定
移行方法案の策定
ロードマップ案の作成
約1ヶ月で提供
設計・構築 設計 AWSネットワーク設計、AWSセキュリティ設計、AWS運用方式設計、冗長化設計、DR設計、ActiveDirectoryおよびDNSの設計、NTPサーバ設計、SMTPリレーサーバ設計、ライセンス設計、ログ設計 -
構築・移行 IAMアカウント構築、ネットワーク構築、セキュリティグループ設定、EC2構築、S3構築、RDS構築、DR環境構築、ログ環境構築 移行対象:XenApp/Oracle/Microsoft SQL Server
活用した製品 CloudEndure -

※ 外販システムは、正確には岡城氏が代表を務めるグループ会社「オフィスオペレーション」の管轄資産となります

AWS移行のねらい、目的

今回、サーバー基盤をAWSに切り替えた目的、経緯について教えてください。

今回AWS化を行ったのは、「データセンターでオンプレミス運用していた自社のサーバー基盤が、5年に一度のインフラ更新の切れ目にさしかかったこと」が直接の契機となりました。

自分の中では「次の更新のときはクラウドサーバーを導入しよう」と早い段階から決めていました。その目的は大きく「社内システムのBCP強化、コストダウン」という守りの要素、そして「外販システム事業の拡大」という攻めの要素の2種類に分かれます。

社内システム視点での導入目的の詳細は次のとおりです。

目的1. 「BCP体制の強化」

国内で大きな災害が発生し、家屋の損傷や倒壊が発生した場合、それを修復・復旧するための住宅資材が大量かつ早急に必要となります。つまり弊社のような住宅資材販売の会社は、災害が起きたその後にこそ、社会に貢献しなければいけません。この前提を考えるとき、どんなときでも業務を継続するためのBCP(Business Process Continuity:事業継続計画)を確保する必要があります。BCP強化のためには、クラウドサーバーの方がオンプレミスより有効性が高いと判断しました。

目的2. 「コスト削減(5年TCO換算で25%低減の見込み)」

サーバー基盤を更新するにあたり「従来通りオンプレミスで行った場合」と「AWSを使ってクラウド化する場合」を比較試算したところ、AWSで更新した方が5年TCO換算で25%コスト削減できると分かりました。住宅資材販売は基本的に薄利の業態であり、コスト削減上の優位性はクラウドサーバー採用の大きな理由となりました。

次に「外販システム事業の拡大」という視点での導入目的は以下のとおりです。

目的3. 「システム外販強化のための基礎作り」

ジューテックグループでは、住宅資材販売業界向けのIT事業をオフィスオペレーション(※IT子会社)が展開しています。主力商品は、自社で培った受発注管理、在庫管理のノウハウを製品化したクラウドサービス『Users』です。正直なところ、住宅資材販売業界は他業界に比べIT化があまり進展していません。ジューテックグループとしては『Users』の開発・販売を通じて、業界全体の生産性向上に貢献したいと考えています。目指すはオフィスオペレーションが「業界全体の情報システム部門」になることです。 こうした志を持ったシステムのサーバー基盤は、当然、効率的かつ生産性の高いものでなければいけません。この観点からもクラウドサーバーを選ぶのが適切であると考えました。

目的4. 「情報システム部門の高生産化」

ジューテックグループを構成する各社の社内システムは、ジューテックホールディングス所属の情報システム部門 約20名が統括管理しています。この情報システム部門の社員は同時に『オフィスオペレーション』の社員でもあり、外販システム『Users』の開発・保守も兼任しています。私自身、ジューテックホールディングスの情報システム部長と、IT子会社 オフィスオペレーションの代表取締役という二つの肩書きを持っています。
この体制を前提とする場合、社内向けシステム業務、すなわち「コストセンターとしての業務」は、質を確保した上で手間とコストを減らすという効率化を行い、その分を外販システム『Users』の企画・開発という、「プロフィットセンター業務」に振り向けるのが適切です。サーバーの保守・運用業務は経済合理的な形でアウトソースし、そこで浮いたリソースを『Users』関連の業務に振り向けたいと考えました。

AWSを選んだ理由

多くのクラウドサーバサービスの中からAWSを選んだ理由を教えてください。

AWSを選んだ理由は、「世界的に圧倒的な実績(シェア)」と「流通系の会社が開発したサービスであること」の2点です。このうち実績については言うまでもないでしょう。

2つめの理由、「流通系であること」については、大きくは「同じ流通業界の会社が開発したサービスの方が自社業務と親和性が高いと考えた」ということです。世界最大のEC流通企業、アマゾンが展開するAWSに対しては、その革新性と効率性に常に賛嘆しています。最近出てきた Amazon Dash Button も素晴らしい。可能ならこれと同じ仕組みを導入したいほどです。

今後、社内システムを効率化していくためにも、また『Users』の機能を改善するためにも、サーバー基盤にはAWSを使うのが最も良いと考えました。

その後、ネット検索や人の紹介などを通じてAWS構築の候補企業の情報を集め、最終的にサーバーワークスを含む数社を比較検討しました。

AWS構築企業に求めた要件

AWS構築を依頼する企業に求めた要件を教えてください。

ジューテックホールディングス株式会社 情報システム部 部長 岡城 秀宣氏

ジューテックホールディングス株式会社
情報システム部 部長 岡城 秀宣氏

まず「AWSのプレミアパートナーであること」、「十分な実績があること」、「経済合理的な価格であること」を基本要件として求めました。

また「営業担当者が十分な技術的知識を持っていること」も要件としました。これは、AWSに限らずIT企業を選定するとき、私が必ず重視する基準です。

営業担当者には、最初の段階で「現状の課題」「これからやりたいこと」「それを実現するためにIT企業に求めること」など、IT用語を使って遠慮なく話します。営業マンにはこの会話についてくることを求めます。営業だから技術のことは分からない、というのは問題外です。

部下にも常々、「営業の技術知識を見れば、その会社の技術レベルが分かる。『自分は技術は分からないので今度SEを連れてきます』と営業が言うような会社とはつきあうな。そういう会社はSEの技術力もどうせたいしたことはない」と教育しています。

これらの要件をもとに各社を比較したところ、サーバーワークスが最も優れていたので、起用を内定しました。ただし最後のツメとして、サーバーワークスのコンサルタントの実力は見極めておきたいと思いました。

コンサルタントの重要性

「コンサルタントの実力を見極めておきたかった」とは具体的には。

今回のプロジェクトでは、「自社の基幹システム」「お客さまがご利用している『Users』」という極めて重要な2つのシステムを、いずれもAWSへ移行します。つまり、目の届くところにあったオンプレミスから、「雲の向こう」のAWSへと、重要システムのサーバーがそっくり移動するわけです。問題ないとは頭では理解できても、基幹システムと外販システムの全面移行は、やはり心理的に不安がありました。

このとき重要になるのが、現状分析に基づき適切な移行計画を立案するコンサルタントの役割です。今回はコンサルタントの担当者が分析と計画立案を担当してくれました。まずそのコンサルタントを現場スタッフに引き会わせましたが、その初回打ち合わせの後、スタッフからは「とても良い人が来てくれた」「必ず上手く行くと確信が持てた」と非常に良好な反応がありました。

この反応を通じて私もまた「サーバーワークスで大丈夫だ」と確信できました。現在はサーバー移行に関する業務はすべて、コンサルタントと現場スタッフに任せています。プロジェクトは現在、全行程の3割が終了したところですが、必ず成功すると確信しています。

先行ユーザーからのアドバイス

現在、社内システムのAWS移行を検討している企業の担当者に向けて、「先行ユーザーとしてのアドバイス」などあればお聞かせください。

AWSへの確実な移行を担保するには、上流工程にあたるコンサルティングが重要です。コンサルタントも玉石混淆で、中には、こちらの質問にのらりくらり答えるだけの頼りないコンサルタントもいます。そんな「はずれ」を引かないようにするには、先ほども述べたとおり、まずは「営業担当者の技術知識に着目する」のが一つの方法です。また、コンサルタントと現場スタッフをよく対話させることも重要です。プロジェクトの円滑な進行は、現場スタッフとコンサルタントの信頼関係に負うところが大きいからです。

今後の期待

サーバーワークスへの今後の期待をお聞かせください。

ジューテックホールディングスでは、住宅資材販売の業界全体の生産性を向上させるべく、引き続き自社システムの拡充と効率化、『Users』の改善・進化に取り組んでいきます。サーバーワークスにはそれら弊社の取り組みを、AWSに関する優れた技術、提案、コンサルティングを通じて後方支援してくださることを希望します。今後ともよろしくお願いします。

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