Amazon Q Developerの使い方を解説|VS Codeでまず試す最短ステップ
Amazon Q Developerは、日本語対応が進み、VS Codeやアマゾンウェブサービス(AWS)操作の支援に使える生成AIとして利用環境が整ってきました。ただ、実際に触ろうとすると「最初に何を準備すればいいのか」「統合開発環境(IDE)とコマンドラインインターフェース(CLI)のどちらから試すべきか」で手が止まるケースが多く見られます。
本記事では、Amazon Q Developerを最短で使える状態にすることに絞り、初めて触る人が迷わないための使い方を整理します。まずはVS Codeを起点に、5分で初回体験ができる基本ステップと、利用シーン別の使い分けを解説します。
Amazon Q Developerを使い始める前に知っておく前提
Amazon Q Developerは、VS Codeなどの開発環境やAWSの操作を支援する、AIコーディングアシスタントです。使い始めるにあたって複雑な準備が必要に思われがちですが、実際には押さえるべき前提は多くありません。ここでは、初回利用前に最低限理解しておきたいポイントを整理します。
GitHub Copilotとの違いと使い分け
Amazon Q DeveloperとGitHub Copilotは、いずれも開発者向けのAI開発支援ツールですが、強みの方向性が異なります。GitHub Copilotは、IDE上でのコード補助に加えて、チャットやエージェント機能を通じて開発全体を支援するツールとして進化しています。
一方、Amazon Q Developerはコード生成だけでなく、AWSリソースの調査や設定内容の確認、運用時のエラー原因の整理など、AWS環境を前提とした支援に強みがあります。特にAWSを使った開発・運用の場面では、クラウド側の文脈まで含めて補助できる点が特徴です。
そのため、AWSをほとんど使わない開発ではGitHub Copilotが中心になりやすく、AWSを使った開発や運用を行う場合はAmazon Q Developerの価値が高まります。用途に応じた併用もおすすめですが、個人利用において、クレジットカード登録なしで無料で試せる点は、Amazon Q Developerならではのメリットです。
個人利用なら「AWS Builder ID」があればOK
Amazon Q Developerは、個人利用であればAWS Builder IDがあれば利用できます。AWS Builder IDは、AWSアカウントとは別に作成できる個人向けのIDで、クレジットカードの登録を行わなくても取得可能です。
「AWSを本格的に使うにはアカウント作成や権限設定が必要」というイメージを持つ人も多いですが、Amazon Q Developerを試すだけであれば、最初から組織アカウントやIAM設定を意識する必要はありません。まずはBuilder IDでログインし、使い勝手を確認するところから始めて問題ありません。
対応エディタと推奨環境
Amazon Q Developerは複数のIDEに対応していますが、初めて使う場合はVS Codeが最も分かりやすく、情報も揃っています。本記事でも、VS Codeを前提に手順を解説します。
OSはWindows、macOS、Linuxに対応しており、特別なスペック要件もありません。VS Codeが普段使いできる環境であれば、そのままAmazon Q Developerも利用できます。まずは環境面で悩まず、VS Codeに拡張機能を追加するところから進めるのが最短ルートです。
VS CodeでAmazon Qを使い始める手順
ここからは、VS CodeでAmazon Q Developerを利用開始するまでの手順を説明します。個人利用を前提とし、初回利用時に必要となる操作を順に整理します。
拡張機能のインストール
まず、VS CodeにAmazon Q Developerの拡張機能をインストールします。
VS Codeを起動し、拡張機能(Extensions)を開いて「Amazon Q」と検索してください。検索結果に表示される公式の「Amazon Q」拡張機能を選択し、[Install]をクリックします。
インストールが完了すると、VS Code上でAmazon Q Developerのチャット機能やコード補完機能を利用できるようになります。
Builder IDの作成とログイン手順
次に、Amazon Q Developerへログインします。個人で利用する場合は、AWS Builder IDを使用するのが最も簡単です。
拡張機能の案内に従ってログイン操作を進めると、ブラウザが起動し、AWS Builder IDのサインイン画面が表示されます。すでにBuilder IDを持っている場合はそのままログインし、未作成の場合は画面の指示に従って新規作成してください。
ログインが完了すると、VS Code側でAmazon Q Developerが有効化され、チャット機能やコード補完機能を利用できる状態になります。
初回利用時の動作確認
ログイン後は、Amazon Q Developerが正しく動作しているかを確認します。
任意のソースコードファイルを開いた状態で、Amazon Q Developerのチャットを開き、コードの内容について質問してみてください。日本語で指示を出し、コードに沿った回答が返ってくれば、基本的な動作は問題ありません。
この時点では高度な機能を試す必要はありません。チャットが利用できること、コードを文脈として認識していることを確認できれば、初期設定は完了です。
用途別に見るAmazon Q Developerの使いどころ
Amazon Q Developerは、使う場所によって役割が変わります。ここでは、IDE、AWSマネジメントコンソール、CLIの3つに分けて、実務での使いどころを整理します。
【IDE】インライン補完とチャットでのコード生成
IDE上での利用は、Amazon Q Developerの最も基本的な使い方です。VS Codeでは、コードを書いている途中でのインライン補完や、チャット形式でのコード生成・修正依頼が行えます。
既存コードの内容を理解したい場合や、処理の一部を書き直したい場合に、自然言語で指示を出せる点が特徴です。単純な補完だけでなく、「この処理を分かりやすく書き換えてほしい」「この関数の役割を説明してほしい」といった用途でも有効です。
コーディングの全体を任せるというより、理解・修正・補助といった場面で使うと、作業効率が上がります。
【AWSマネジメントコンソール】「このリソース何?」を英語ドキュメントなしで解決
AWSマネジメントコンソール上でも、Amazon Q Developerは活用できます。特に効果を発揮するのが、既存リソースの確認や調査です。
例えば、見慣れない設定項目やリソースを前にして、「このリソースは何のために使われているのか」「この設定は何を意味しているのか」といった疑問が出る場面がありますが、画面の文脈を踏まえた説明を日本語で得られます。
英語の公式ドキュメントを逐一調べる手間を省けるため、既存環境の把握や引き継ぎ時の調査などで有効です。
【CLI】複雑なコマンドを自然言語で呼び出す
CLIでの利用は、専用ツールを別途インストールする必要があるため、IDEに比べると導入の手間はやや増えます。一方で、導入できれば自然言語からAWSの操作を呼び出せるため、コマンド操作に不慣れな人ほど恩恵を感じやすい使い方です。
例えば、構文やオプションを細かく覚えていなくても、「S3バケットを作成したい」「このリソースを一覧で確認したい」と日本語で指示するだけで、適切なコマンド候補を提示してもらえます。CLIを「覚えて使う」負担を軽減できる点が特徴です。
なお、Amazon Q Developer CLIは現在「Kiro CLI」という名称で提供されています。記事やドキュメントによって旧名称が残っている場合もあるため、CLIを利用する際は公式ドキュメント上の最新の案内を確認しながら進めることをおすすめします。
最初からCLIを使う必要はありませんが、AWS操作を自然言語で補助したい場合には有力な選択肢です。
料金とセキュリティに関するFAQ
Amazon Q Developerを使い始める前に気になりやすい「料金」と「セキュリティ」に関するポイントをまとめます。
無料版(Free)と有料版(Pro)の違い
Amazon Q Developerには、無料で利用できるFreeプランと、有料のProプランがあります。Freeプランでも主要な機能は利用できるため、個人で試したり、基本的な使い方を確認したりする用途には適しています。
一方で、Freeプランには利用上限が設定されており、例えばエージェント機能のリクエスト回数は月あたりの制限があります。そのため、継続的に業務で活用したい場合や、利用頻度が高い場合には制約を感じやすくなります。
Proプランではこうした利用制限が拡張され、チーム利用を前提とした機能も含めて、実務での継続利用に向いた構成になっています。まずはFreeプランで試し、用途と利用頻度が固まった段階でProプランを検討する流れが現実的です。
入力したコードは学習に使われる?(オプトアウト設定)
生成AIを利用するうえで、「入力したコードや情報が学習に使われるのではないか」と不安に感じる人もいるでしょう。
Amazon Q Developerでは、利用データの取り扱いについて明確な方針が示されており、無料版では標準で学習利用が有効になっています。気になる方は、設定の「Share Content」のチェックを外すだけで簡単にオプトアウト(学習拒否)が可能です。
業務利用を想定する場合は、事前にこれらの設定を確認し、自社のセキュリティポリシーに沿った形で利用することが重要です。
日本語での指示出しの精度を上げるコツ
Amazon Q Developerは日本語での指示にも対応していますが、指示の出し方によって回答の精度が変わることがあります。
精度を高めるためには、「何をしたいのか」を具体的に伝えることが重要です。例えば、「このコードを修正してほしい」だけでなく、「この関数の処理を分かりやすく書き直してほしい」と目的を明確にすると、意図に近い回答が得られやすくなります。
また、対象となるコードやファイルを開いた状態で質問することで、文脈を正しく認識させることができます。日本語でも十分に実用的ですが、曖昧な表現は避け、簡潔かつ具体的な指示を意識すると効果的です。
まとめ
Amazon Q Developerは、VS Codeを起点にすれば、複雑な準備をせずに使い始めることができます。個人利用であればAWS Builder IDがあれば十分で、まずはIDE上でコード理解や修正の補助として試すのが最短ルートです。
慣れてきたら、AWSマネジメントコンソールでの調査や、CLIでのコマンド補助など、用途に応じて使いどころを広げていくと効果的です。料金やセキュリティ面も、初期段階ではFreeプランと基本設定の確認で対応できます。


