AWSにおけるコンテナの重要性|主なシステムや関連するサービス

アプリケーション開発やインフラ運用において、近年注目を集めているのが「コンテナ技術」です。特にアマゾン ウェブ サービス(AWS)では、Amazon ECSやAmazon EKSといったマネージドサービスの登場により、従来よりもシンプルかつスケーラブルなコンテナ運用が可能になっています。しかし、初めてコンテナを扱う企業や情報システム部門にとっては、技術選定や構築方法に戸惑うケースも少なくありません。
本記事では、コンテナの基本からAWSにおける関連サービスの概要、さらに運用負荷を軽減するためのポイントまでをわかりやすく解説します。AWS上でのコンテナ活用を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- コンテナ技術の基本と、仮想マシンとの違い
- DockerやKubernetesなど主要なコンテナ運用ツールの役割
- Amazon Elastic Container Service(ECS)/Amazon Elastic Kubernetes Service(EKS)/AWS FargateなどAWSのコンテナ関連サービスの特長
- コンテナ運用を効率化するAWSの周辺サービス
※当記事は2025年6月に書かれたものであり、以後に展開された最新情報が含まれていない可能性がございます。
コンテナの基本情報
近年、DXやDevOpsを加速させる基盤として「コンテナ技術」が注目を集めています。特にクラウドサービス環境では、アプリケーションとその実行環境をひとつの「箱」にまとめることで、開発・運用の効率化や環境依存の排除が可能です。本見出しでは、そもそもコンテナとは何か、なぜ今必要とされているのかについて、初心者にもわかりやすく整理します。
そもそもコンテナとは?
サーバー仮想化技術の一つであり、アプリケーションとその実行環境をひとまとめにした「箱」のようなものです。従来の仮想マシン(VM)は、OSごとに仮想化するためリソースも多く消費しましたが、コンテナはOSカーネルを共有し軽量に動作します。そのため、数秒で起動でき、低リソースで複数の環境を並列実行できます。
このようにコンテナ化することで、無駄なインフラを省き、開発やテスト、本番稼働のプロセスが高速かつ効率的になります。使い方次第では、開発工数や運用工数の削減が大いに期待できます。
なぜコンテナが注目されるのか?
アプリケーション開発では、開発環境・検証環境・本番環境と複数の環境を維持・管理する必要があります。しかし環境が異なると、動作不一致や依存関係のズレによる不具合が発生しやすくなります。
コンテナに必要な要素(ライブラリ・設定・依存関係)をまとめてパッケージ化することで、「どこで動かしても同じ環境」を実現し、環境依存を避けるとともに、インフラリソースの効率的な利用へつながります。また、コンテナが軽量で起動が高速なため、必要に応じたスケーリングや迅速なデプロイが可能で、DevOpsや継続的デリバリといったモダン開発スタイルにもぴったりです。
これらの理由により、コンテナ技術はクラウドネイティブやマイクロサービスアーキテクチャの中核技術として急速に普及し、今やDX推進に欠かせない要素となっています。
コンテナの運用に関連する主なシステム
コンテナ運用には単にコンテナを作るだけではなく、複数のコンテナを効率的に管理・スケーリング・監視する仕組みが不可欠です。本見出しでは、基本的で必須なシステムとしてDockerとKubernetesを取り上げ、それぞれの役割や特徴をわかりやすく解説します。AWS環境での導入を検討中の方にも役立つ内容です。
Docker
Dockerは、コンテナを稼働させるための環境を提供する代表的なソフトウェアです。Linuxカーネルのcgroupsやnamespace機能を活用し、アプリケーションとその依存関係をひとまとめにしたイメージを作成し、「コンテナ」として実行します。
このツールにより、コンテナの構築、起動、停止が簡単に行え、MacやWindowsで動かす際には仮想化レイヤーを通じてLinux環境をエミュレートします。
特徴:
- 軽量で高速な起動・停止が可能
- OSカーネルを共有するためリソース消費がVMより低い
- コンテナイメージを共有するDocker Hubなどとの連携で開発ワークフローがスムーズに
Kubernetes
Kubernetes(K8s)は、複数のホスト上で稼働するコンテナをオーケストレーションするためのオープンソースプラットフォームです。
これは単にコンテナを立ち上げるだけでなく、「スケジュール(配置)」「スケーリング(自動拡張)」「セルフヒーリング(障害時の再起動)」「ロードバランシング」「リソース管理」などを自動化します。
特徴:
- クラスター単位でコンテナ管理、複数のインスタンス間で高可用性を実現
- 壊れたコンテナは自動復旧(セルフヒーリング)
- YAMLなどの宣言的設定により環境をコードで管理
- スケーリングや負荷分散も設定次第で自動化可能
特に、コンテナが増えてくると複雑になるマイクロサービス環境や、オンプレからクラウド・ハイブリッド環境への移行時に力を発揮します。
AWSにおけるコンテナ関連のサービス
AWSでは、Amazon ECSやAmazon EKS、AWS Fargateといったマネージド型コンテナサービスを中心に、Container Insights や AWS Auto Scaling、Amazon CloudWatch Logs などの運用支援ツールも充実しています。本見出しでは、初心者にもわかりやすい観点で、各サービスがどのようにコンテナの運用負担を軽減し、効率的なインフラを実現するかを整理します。
Amazon ECS
Amazon ECSは、AWSが独自に提供するコンテナ管理プラットフォームで、AWS環境に特化しています。Amazon ECSはシンプル設計が特徴で、Dockerイメージを用いたタスク(コンテナ)単位での管理・スケジューリングが可能です。
AWS上の他サービス(Elastic Load Balancing(ELB)やAWS Identity and Access Management(IAM)、Amazon CloudWatchなど)との連携も容易で、コンテナ活用を始めたい企業情シスに最適です。Amazon ECSはAWSオリジナルのソフトウェアスタックを基盤としており、シンプルな機能ながら信頼性の高いクラウドネイティブ開発体験を提供します。
Amazon EKS
Amazon EKSは、標準的なKubernetesをAWS上でマネージド提供するサービスです。企業のニーズに応じ、Amazon EKSならではの高度なオーケストレーションやスケーリング、セルフヒーリング機能を活用でき、マイクロサービス環境での安定した運用が可能です。
また、AWS Fargateと併用すれば、インフラ管理をAWSに任せながら、Kubernetesのエコシステムをそのまま使える点も大きな魅力です。
AWS Fargate
AWS Fargateは"サーバーレスコンテナ実行エンジン"として、Amazon ECSやAmazon EKSの上で利用できる仕組みです。Amazon EC2インスタンスのプロビジョニングやスケーリング、パッチ適用などの運用管理が不要で、実行した分だけ課金する従量課金制となっており、コスト最適化と運用負担の軽減に貢献します。
Amazon EKSと併用すれば、Kubernetesの機能性とAWS Fargateのインフラ管理自動化を両立できます 。
その他の関連サービス
Container Insights
CloudWatch Container Insights は、Amazon ECS・Amazon EKS・AWS Fargate環境におけるCPU・メモリ・ネットワークなどのパフォーマンス指標やログを自動で収集・可視化します。
これにより、障害の予兆やボトルネックの早期検知、インフラのリソース利用最適化につながります。
AWS Auto Scaling
ECS/EKS/EC2上で稼働するコンテナ群を、負荷状況に応じて自動的にスケールアウト/インさせることで、パフォーマンスを担保しつつ無駄なリソース運用を回避できます。Fargateやマネージドノードでも柔軟に適用可能です。
Amazon CloudWatch Logs
CloudWatch Logs はタスクやPodのログを集約し、ログ分析やモニタリングに役立つサービスです。Fargateでは Fluent Bit を通じてログを自動収集・CloudWatch Logsへ出力する仕組みが提供されており、運用時のトラブル対応を効率化できます。
AWSのサービスを活用し、コンテナの構築・管理を
AWSコンテナは、アプリケーションとその実行環境をパッケージ化する技術で、開発や運用の効率化を図れる点から注目されています。AWSでは、Amazon ECSやAmazon EKS、AWS Fargateといったマネージドサービスにより、コンテナの構築・管理が容易になっています。
さらに、Container InsightsやAWS Auto Scalingなどの運用支援ツールを活用することで、リソースの最適化や障害対応も自動化できます。
これからAWSコンテナを導入したい企業にとっては、技術選定から設計、運用まで支援する「クラウドシェルパ」のようなサービスを活用することで、安心かつ効率的な導入が実現できます。ご興味があれば、ぜひお問い合わせください。