AWSによるIoT基盤構築の事例

IoT基盤により、様々な機種の遠隔監視が可能となる環境を実現。装置の安定稼働、保守計画の立案などに役立てています。

2018.08.22 掲載

(※写真左から2番目) 日立造船株式会社 ICT推進本部 ICT事業推進部 IoTシステムグループ長 山田 浩章氏

日立造船株式会社 ICT推進本部 ICT事業推進部 IoTシステムグループ長 山田 浩章氏に、同社製品を遠隔監視するために使うIoT基盤を構築するにあたって、Amazon Web Services(AWS)を選んだ理由とその効果について伺いました。

AWSによるIoT基盤構築の事例

日立造船株式会社様

日立造船株式会社は、約140年の歴史を誇る東証1部上場の機械・プラントメーカー。ごみ焼却発電施設を始め、様々な環境装置、インフラ設備、産業機械、発電設備などのメーカーとして、エネルギー、水に関わる分野で大きな実績を残してきました。特に、ごみ焼却発電施設」において発電量は世界トップクラス。「エンジニアリング」、そして「ものづくり」を通してエネルギー問題、環境問題にも積極的に取り組んでいます。

  • この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

目次

案件、システムの概要(導入の概要)

サーバーワークスに依頼した業務の内容について教えてください。

社日立造船株式会社 ICT推進本部 ICT事業推進部 IoTシステムグループ長 山田 浩章 氏

日立造船株式会社
ICT推進本部 ICT事業推進部
IoTシステムグループ長 山田 浩章 氏

今回、サーバーワークスには、当社が提供する製品の付加価値をさらに高めるため、装置の状態を遠隔で監視・保守するためのIoT基盤の構築を依頼しました。監視によって得たデータはこの基盤に集積、蓄積されます。活用したAWSサービスは、「API Gateway」と「Lambda」、あとは一部、認証のために「Dynamo DB」を使っています。

ちなみに蓄積したデータを可視化する部分は、当社が内製で作っており、こちらもAWSで行っています。

プロジェクトのスケジュールを教えてください。

本プロジェクトは以下の2段階のフェーズで進行しました。

●フェーズ1:2017年1月末~2017年3月末

・ヒアリング(センサーデータ収集・分析・可視化要件のヒアリング)
・データ蓄積基盤調査
・調査結果をもとに構築、検証
・レポートの提出、次フェーズへ向けた打ち合わせ

●フェーズ2:2017年10月末~2017年12月

・AWSでのIoT基盤の構築(設計、ネットワーク構築、サーバー構築、IoT基盤構築)

依頼した当初からこの計画で進んでいたのですか?

いいえ。依頼した当初は、サーバーワークスにどこをお任せして、どこを当社が担当するのかも含めて白紙の状態でした。

その辺りもすべてご相談させていただき、ときにはAWSのサービスについて教えていただきながら、少しずつ依頼内容を固めていきました。

プロジェクト全体構成図

プロジェクト全体構成図

検討のきっかけ

今回、AWSを使ってIoT基盤を構築するに至った経緯を教えてください。

当社は、船のエンジンをはじめ、橋、シールドマシン、水処理、様々な分野で事業を展開しています。それぞれの事業・製品でICT活用の進み具合にばらつきがあることが課題でしたが、事業部ごとに製品の系統がまったく異なるため、それぞれに対してシステムを構築すると膨大な費用と時間がかかってしまいます。

そこでクラウド上で当社の様々な製品に利用できる汎用的な基盤を作れないかと考え、AWSの導入を進めることにしました。そのファーストターゲットとして、今回のプラント向けろ過装置「フィルタープレス」を遠隔監視する基盤の構築をサーバーワークスにお願いしたのです。

サーバーワークスを選んだ理由

数あるクラウドインテグレーターの中で、サーバーワークスを選んだ理由を教えてください。

選定理由は、大きく以下の3つです。

●理由①:AWSのプレミアコンサルティングパートナーである

「プレミアコンサルティングパートナー」は、AWSのパートナーの中でも、AWSを使った業務に一定以上の実績があり、プロジェクト管理の専門知識を持っていて、技術コンサルタントが多数在籍しているなど、数々の条件を満たす必要があります。
日本では8社しかないこの「プレミアコンサルティングパートナー」に認定されているということで、開発力がありそうだと判断しました。

●理由②:「Cloud Automator」などAWS導入後に役立つサービスが使える

サーバーワークスは、AWS上に構築されたシステムのコストの最適化や、運用の負荷軽減を簡単な操作で実行出来る「Cloud Automator」などの独自サービスを展開しています。そのため、構築後のサポートにも期待出来そうだと考えました。

●理由③:理想的な価格だった

理由①、理由②という優れた部分を持ちながら、比較的価格も安価だった点も決め手になりました。
他社と比べて一番安かった訳ではありませんが、総合的なコストパフォーマンスを考えた結果、サーバーワークスに依頼することを決めました。

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AWSにしてよかったこと、そして導入後の効果

サービスが稼働して良かった点を教えてください。

良かった点は、以下の4つになります。

日立造船株式会社 ICT推進本部 ICT事業推進部 IoTシステムグループ長 山田 浩章氏

●良かった点①:故障対応が効率よく行えるようになる

IoT基盤の構築により、現在の装置の状態を本社にいながら把握出来るようになりました。

これまではお客様から故障の連絡があった際、必要に応じて原因調査のために現地に赴くことがありましたが、今後は現地に訪問する回数が減るなど、効率よく故障対応ができるようになるだろうと考えています。

●良かった点②:あらかじめ保守の計画を立てられる

装置の状態をクラウドから確認することで、使用頻度や経年によって交換が必要なパーツがあるかなど、予測を立てられるようになった点も良かった点です。
パーツ交換に関する営業を掛けたり、スムーズな対応のために製造に時間が掛かる特殊なパーツを事前に発注したりと、計画的に動けるようになりました。

●良かった点③:将来的に大きなコスト減が期待出来る

フィルタープレスのお客様納入実績は、全国で4500機以上です。
サービスを始めたばかりということもあり、導入されているのは一部のみですが、今後導入を進めることで効率よくメンテナンスできるようになり、大きなコスト削減に繋がることを期待しています。

●良かった点④:社員のAWSへの知識・技術が深まった

AWSはサービスの種類が多く、また新しいサービスも次々と発表されます。その全貌をすべて把握することは大変ですが、サーバーワークスからは、そうしたAWSのサービスについてレクチャーをいただける点も大きなポイントでした。
時には、打ち合わせの時間の半分程度が新しいサービスの説明だったこともあるほどです。私も含め、社内のAWSに対する知識・技術の底上げになりました。

今後の展開について

サーバーワークスに今後期待することをお教えください。

当社では今後、フィルタープレスに導入したようなIoT基盤を汎用基盤として、他の製品にも導入していきたいと考えています。
同時に、社内では工作機や人の流れを一元管理出来るようなスマート工場化を進めていく予定です。
サーバーワークスには今後、そうした開発にもご協力をお願い出来ればと思っています。

ありがとうございました。

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創業者・英国人E・H・ハンター像の前で

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