今回、株式会社インテージ(以下、インテージ)のテクノロジー本部で、情報システムと自社データセンター(以下、DC)・インフラを担当されている饗庭 忍様、渡利 直幸様にお話を伺いました。
株式会社インテージ様
本社所在地: 〒101-8201 東京都千代田区神田練塀町3番地 インテージ秋葉原ビル
設立: 1960年3月
マーケティングリサーチ業界で国内トップの株式会社インテージ様。市場調査コンサルティング事業・システムソリューション事業・医薬品開発支援事業を展開し、日本で唯一、購買と販売両方のパネル調査を保有する。
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
目次
社内プロジェクトでクラウド業者を比較し、AWSが当社のビジネスにマッチすると判断
本日はどうぞ宜しくお願い致します。まずは本案件での饗庭様、渡利様のご関係、役割を教えてください。
饗庭様:インテージには、テクノロジー本部というセクションがあり、私と渡利はそちらに所属しています。 テクノロジー本部には、ソリューションの企画開発をしている部署、リサーチシステムの開発部署、IT基盤の維持管理および運用を行っている部署、で構成されています。
渡利が所属するリサーチ開発ユニットは、リサーチに必要なシステム開発と維持管理を主に担当し、私の情報システム部では、自社のデータセンターや社内で使用している様々なICT機器の管理、社内システムの運用等を行っています。 今回の案件に関しては、両セクションが一体となって取り組みました。
元々クラウドをお使いだったのでしょうか?クラウドにどのようにご興味を持たれたのでしょうか?
饗庭様:情報システム部ではプライベートクラウドを含む社外リソースの活用を推進し、実際に幾つかのサービスを使っていました。基本的には社内DCと比較し、メリットがあるものはクラウドに持って行きましょう、というスタンスで取り組んできました。
クラウドのメリットとはどういうところでしょうか
饗庭様:スケーラブルでクイックスタートができる部分だと思います。また災害対策に関しては大きな優位性があると評価しています。ただし、社外に置くことのデメリットもあります。個人情報などセキュリティ面で高度な管理が必要なデータを外部に保管することは難しいですし、連携処理で社内DCと大量データの送受信がある場合などはスピードがネックになる場合もあり、システム特性に応じて慎重に見極める必要があります。しかし基本的には、適した所にはクラウドを積極的に活用していこうと考えています。
数あるクラウドサービスの中でAmazon Web Services(以下、AWS)の利用を決めた理由を伺えますでしょうか?
饗庭様:テクノロジー本部では、2011年度にプロジェクトチームを立ち上げ、当時の大手クラウド業者のサービスメニューやセキュリティ面、コストに関して比較・検討を行いました。また、当社で運用しているシステムとの親和性も考慮し、結果的にAWSが我々のビジネスにもっともマッチすると判断しました。ただし、状況によってはAWSを使えないケースもありますので、その点では他の選択肢もあると柔軟に考えていくつもりです。 現在は、AWS上で一つの大きなサービスをローンチしたところですので、あれこれ手を出すのは我慢して、まずはAWSを中心にしたノウハウを蓄積していこうというスタンスを取っています。
一般的に自社データセンターをお持ちの場合は、そこを使うことになると思いますが、柔軟に対応できる環境なのですか?
饗庭様:もちろん自社データセンターには大きなメリットがあります。距離的に近いことで、トラブル時にも社内要員で柔軟に対応できます。また機密データの保管に関しても自社基準で厳重に管理することができます。
AWSに関する絶対的な自信とクイックレスポンスが決め手に
今回のプロジェクトにあたり当社を選択した理由を教えてください。
饗庭様:今回のプロジェクトはインスタンス数が200を超える大規模なものでした。システム間の連携も複雑で、またかなりの短期間でローンチする必要がありました。パートナー選定にあたり、まず重視したのはAWSに関するノウハウの多さ、それに対応のスピード感でした。サーバーワークスさんはAmazonさんからのお墨付きでご紹介いただきました。当社からの打診に対し、「納期内に確実にシステムの構築ができます」と力強い言葉をいただけたのもサーバーワークスさんだけでした。
打ち合わせの段階での技術的な回答はどうでしたか?
渡利様:エンジニアの方、一人ひとりのポテンシャルが非常に高いと感じました。当社側でもある程度のネットワーク設計やインスタンス構成を考えて準備していましたが、AWS特有の「クセ」みたいなものに関して、効果的なアドバイスをいただけたと思います。また、営業の方もシステムに関する知見が高くネットワークの知識も豊富であったことに驚かされました。
饗庭様:レスポンスの速さは商談時から感じていました。サーバーワークスさんに対しては単なるインスタンス構築だけでなく、冗長構成やパフォーマンスチューニング等、いろいろなリクエストを出しましたが、どれも迅速かつ確実にこなしていただけました。
導入作業での丁寧な課題解決の姿勢が印象的
導入時に良かった点はどのようなものですか?
渡利様:そうですね、Linuxに関する知識が豊富で我々の知らなかった技術をいろいろ教えていただけたことです。 インスタンス監視の仕組みをLinuxで作っていただいたのも大変助かりました。我々のリサーチシステムのフロント側にはシステムの制約上、僅かな時間も止められないサーバーが何台かあるのですが、インスタンス障害時に自動的にゾーンを切り替えてサービスを継続する「自動フェイルオーバー」の仕組みを作っていただき、現在も安定して稼働を続けています。
また、導入作業で想定外の課題が浮上した際もサーバーワークスのエンジニアさんに、一つひとつ丁寧に対応していただいた点は非常に印象的でした。
饗庭様:今回はトータルで200インスタンスを超える大規模な構築で、今までのように物理サーバを調達していたらとてつもない時間と工数が掛かったと思います。サーバーワークスさんはAWSの経験も豊富で、効率的に作業していただいたのでスケジュールの遅延も発生せず、非常に助かりました。
導入時に何かトラブルなどはありましたでしょうか?
渡利様:トラブルではありませんが、サーバーワークスさんにはもっと早く入ってもらっていれば良かったと、途中で後悔しました。当社からの依頼のタイミングが遅くなってしまったので、我々のシステムを十分に理解していただく時間的な余裕がなかったのが残念でした。余裕があればアプリケーションの実装に際しても、AWSの「クセ」を踏まえた色々なアイデアを引き出すことができたはずだと考えています。次にお願いする時には、開発の早い段階で入っていただき、技術を「盗ませて」いただきます。
本案件は無事成功したと思っても宜しいでしょうか?
饗庭様:成功していなかったらここにいないと思います(笑)。開発中に幾つかのハードルがありましたが、無事切り抜け、結果的にスケジュールに間に合わせることもできました。サーバーワークスの皆さんには非常に頑張っていただきました。今回のプロジェクトは大成功だと自負しております!
有り難うございます。それではこうすればもっと良かったというご意見あれば頂戴出来ますでしょうか。
渡利様:今回の構築では「アプリケーションありき」でインフラはアプリの要請に合わせて構築するという、いわば「後手後手に回った構築」となってしまいました。しかし、クラウドならではの、もっと上手い使い方もあったはずだと考えています。例えばRDSというデータベースがその一例ですが、便利で可用性の高いサービスを使いこなすためにアプリも「進化」させることが重要です。AWSにはその他にも様々なサービスがありますので、ただ単に「サーバーをクラウド上に引っ越す」という作業に留まらず、サービスを使いこなせるよう勉強していきたいですね。
最後に当社に対してのご要望等あれば教えて頂けますでしょうか?
饗庭様:サーバーワークスさんには色々と一生懸命やっていただき、サービスローンチにも間に合い大変感謝しています。今は実際にシステムを運用するフェーズですので、これからが本番の勝負です。
やはりどうやって工数を削減するか、というのが共通のゴールだと思っています。割安だと思って頂ければ続かないですし、続かないとお互いのメリットになりませんので、我々としてはこうやって削減して行きましょう、という提案をさせて頂きたいと思います。
饗庭様:AWSのサービスも日々進化しているようです。今後もドンドンご提案をいただけることを楽しみにしています。
ありがとうございました。
まとめ
株式会社インテージ様は、技術支援とスピードを重視しAWS導入支援を選択。約200台の仮想サーバをAWS上で稼働させコスト削減を実現されました。
掲載メディア
AWS導入・活用に関するご相談はサーバーワークスへ
関連する導入事例
-
AWS環境の統制上のリスクに備え、AWS Organizationsを活用して統合的なアカウント管理基盤を構築。ガバナンス強化とコストの最適化を実現
他の鉄道会社さんとの集まりで当社の取り組みを発表したところ、問い合わせを受ける機会が増え、クラウド活用やアカウント管理が鉄道業界共通の課題であることを改めて認識しました
2023.12.12 掲載
-
EOSを機にオフィス内の物理サーバーを廃止。高いパフォーマンスと事業継続性を獲得し、懸案事項だった社屋移転もスムーズに実施
クラウド型コンタクトセンターサービス「Amazon Connect」の導入に続く第二弾として、EOS(End Of Support)を迎える3台のファイルサーバーをAWSに移行。パフォーマンスの向上と事業継続性の強化を実現し、物理サーバーの制約が無くなったことで、社屋移転もスムーズに実施されました。
2023.12.05 掲載
-
Amazon QuickSightで新たなBI環境を構築し、データドリブン経営を強化ダッシュボード上で可視化されたデータによるマネジメント層の高度な意思決定が実現
「データドリブン経営を強化していく上で、既存のBIツールにはないAmazon QuickSightの使い勝手の良さは魅力的でした。利用時間に応じた従量課金に対応していることも評価ポイントになりました」
2023.11.28 掲載
-
PCI DSSに準拠したBNPL(※)決済サービスのシステムをAWS環境で構築、サーバーワークスの支援を受けて、スピード感を持ったプロジェクト推進を実現
PCI DSSのノウハウを有するサーバーワークスのAWS構築・移行支援サービスを採用して、B to C向けスマホ活用型後払い決済サービスのシステムをAWS環境で新規構築。システムの設計から構築、実装までを含めたトータルでの支援を受けたことで、準拠のための監査もスムーズにクリアしています。
2023.10.11 掲載
-
気象データ解析用システムの基盤としてAWSを初導入、柔軟な計算パワーと大容量ストレージを獲得し、構築作業の一部を自社で担うことで約1か月での環境構築を実現
サーバーワークスのAWS構築・移行支援サービスを採用して、自社初のAWS環境を構築し、顧客ニーズに応えるために必要となる柔軟な計算パワーと大容量ストレージを獲得。またセルフオーダーオプションを採用して構築作業の一部を自社で担うことで、約1か月でのカットオーバーを実現しました。本番環境の稼働開始後にはAWS運用代行・監視サービスも利用して、AWS環境の安心・安全な運用を担保しています。
2023.05.24 掲載
-
研究開発用システムの基盤としてAWSを初採用、ITパートナーとしてサーバーワークスを選定し、2つの実験用システムのPoCを実施、実験数は3分の1にまで激減
サーバーワークスのアドバイザリー契約とAWS構築・移行支援サービスを採用して、初めて導入するAWSを基盤に2つの実験用システムのPoCを実施。コンテナ向けサーバーレスコンピューティングサービスのAWS Fargateなどを活用してスピード感のあるPoCを実現、実験数は実に3分の1にまで激減しています。
2023.05.10 掲載