AWSへの遠隔授業配信システム移行の事例
"膨大なデータ量にも柔軟に対応、AWSと親和性の高いWowza Media Serverによるストリーミング配信システムで遠隔授業を配信"
- WEBサービス事例
2014.01.17 掲載
中学受験・高校受験・大学受験を目的とした学習塾から英会話教室、科学実験教室、スポーツクラブ、幼児教室、珍しいところではレゴブロックを通して子ども達の創造性を育む教室など、「教育」という切り口で幅広く事業を展開している先進的企業である株式会社アップ様。 当初、主に社内拠点向けに配信していた、インターネット経由の授業を大規模展開してゆくことになり、スケールアウトの必要性が発生しAWSを選択した。AWS選択の理由、そしてその効果について、株式会社アップ担当役員の水田猛様とインフラ開発主任の畑田貴史様にお話を伺った。
株式会社アップ様
本社所在地:〒663-8204 兵庫県西宮市高松町15-41
1977年設立。関西を中心に、小・中・高生をはじめ、幼児から大学生、社会人までを対象に、受験や生涯教育といった幅広い教育ニーズに応える事業を展開。 さらに、「多様化」と「デジタル化」をキーワードに『研伸館SAT』や『E-Lecture』といったIT・デジタル技術を駆使した様々な教育サービスの提供も積極的に行っている。
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
目次
拠点間での情報共有の仕組みを外部展開
株式会社アップ様の事業について教えてください。
水田様:1977年設立し、幼児教育から大学受験指導、科学実験教室、スポーツクラブ、英会話教室などの幅広い教育事業を展開しています。
また、レゴブロックを使った能力開発といった取り組みも積極的に行っています。
さらに、インターネットを利用した、『研伸館SAT』や『E-Lecture』という遠隔授業システムにより、遠隔地からも質の高い教育を受ける仕組みを提供しています。
様々な教育事業を行っている御社が今回AWSを導入された経緯を教えてください。
畑田様:当社では9年前の2004年に初めてインターネット経由のライブ遠隔授業配信システム『E-Lecture』を自社で開発し、各地域の拠点に向けてサービスを開始しました。それ以来、様々な教育サービスの映像配信を実施しており、このたび当社でAWSを最初に導入した『映像&コーチング 研伸館SAT』もその一つです。
『E-Lecture』は現在、社内で培ったノウハウを元に、社外のお客様に対してもライブ遠隔授業配信の仕組みとして提供していますが、当初はインフラ調達や保守などの観点から、2年契約のような条件をつけて限定的な提供をせざるを得ませんでした。また『映像&コーチング 研伸館SAT』においては、授業数の多さから膨大な量の映像データに対応可能な環境が必須でした。
このように、サービスの規模拡大に伴い、社内外の多様なニーズにお応えしていくためには、簡単にスケールイン・アウトできるような仕組みを作る必要が出てきました。
当初の『映像&コーチング 研伸館SAT』では、AWSとは異なるクラウドサービス上にストリーミング配信アプリケーションサーバーであるWowza Media Serverをインストールして運用していたのですが、その運用では当時、管理権限の付与等で柔軟性に欠けていたり、スケールイン・アウトを自在に行う運用が難しかったりという課題がありました。
そこで、運用が比較的簡単で、柔軟性にも富むというAWSを検討しはじめたのです。
膨大なデータ量でも心配することなく柔軟にスケールアウト
もともと、Wowza Media Serverをご利用だったのですね。
畑田様:はい、AWSを導入する前からコストメリットがあるという事でWowza Media Serverを導入していました。
AWSだからWowza Media Serverを選択したのではなく、まずWowza Media Serverを使用していたのです。
AWSを選択肢として検討し始めたとき、AWSですとWowza Media SystemsからWowza Media ServerのAMIが提供されているため、手間いらずであること、そして、サーバーの増減もしやすいという点が非常に魅力的でした。
AWSに対する不安はなかったのでしょうか。
畑田様:いえ、多少の不安はありました。AWSを使いたいと思っていましたが、ドキュメント等が英語であること、支払がドル建てであるということを考えると、自社で運用のすべてを行うことは難しいと思いました。ですので、外部に運用や支払代行をお任せしたいと思っていました。
運用・サポートの外部委託を検討した時、サーバーワークスを選択いただいた理由はなんだったのでしょうか。
畑田様:実は2011年の東日本大震災の直前AWSの東京リージョンができた際に、自社で少し使ってみたのです。管理もし易く、AWSはかなり使えそうだと感じていました。その後、震災が起き、サーバーワークスによる日本赤十字社への導入事例の事を知りました。事例をきっかけにAWSのエキスパートである事を知り、サーバーワークスに問い合わせたのです。
導入にあたって、トラブル等はありませんでしたか?
畑田様:はい。ありませんでした。
現在、ピーク時にも遅延なく動いています。さらに、データ容量が増え続けており、蓄積した授業の映像をAmazon S3にアップしています。スケールアウトにも柔軟に対応できているのは、AWSだからこそだと思っています。
導入にあたって、サーバーワークス様の方でBacklogというコミュニケーションツールを使ってやり取りしていました。ツールで課題を挙げて、それに迅速に返信してもらう方法は導入を進め易かったです。
イントラネットや他のWebサービスへの展開も
管理の柔軟性、スケールアウトに対応するシステムを構築するという当初の目的は達成されたと思われますか?
畑田様:はい。当初の課題を十分に解決できていると感じています。
今後、さらにAWSを活用したいと思っていまして、現在AWS上で稼働している『映像&コーチング 研伸館SAT』の他に、ライブ遠隔授業配信システム『E-Lecture』に関しても、運用規模に応じてAWSでの運用を行う計画があります。
こちらに関してはすでに配信サーバーは準備ができていまして、収録後のデータをオンデマンドコンテンツとして整備するため、Amazon EC2をいくつか並べたいと思っています。2014年春までには運用開始したいですね。
現在の各部門サイトのトップページのような不可欠なページを、CloudFrontとAmazon S3を組み合わせることで高負荷に耐えられる構成をとる事も検討したいと思っています。また、イントラネットでもハイブリッドな使い方ができればと思っていまして、今後の展開が楽しみです。
さらに、新しいところではAWSの仮想デスクトップにも期待しています。
ありがとうございました。
まとめ
株式会社アップ様は、インターネット経由の授業配信システムを大規模展開して行くことになり、スケールアウトの必要性からAWSを選択、課題を解決しました。今後、同社のサービスである双方向遠隔授業システムの『E-Lecture』に関しても、AWS上へ乗せ換える計画を立てており、スケーラビリティー、さらなる管理負担の軽減を予定していらっしゃいます。
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