オンプレミスPBXをAmazon Connectへ刷新。ランニングコストを約2割削減し、業務効率化を実現。
通販ブランド「ベルメゾン」を展開する株式会社千趣会と、そのコールセンター運営を担う千趣会コールセンター株式会社では、従来のオンプレミスPBX(電話交換機)のハードウェア更新やEOL(サポート終了)への対応、定期的な維持コストが大きな課題となっていました。そこで両社は、サーバーワークスを構築・支援パートナーに迎え、約300名規模のコールセンター基盤を「Amazon Connect」へ移行。
複雑な設定をモジュール化し、ベンダー任せにしない自社主導の運用体制へ切り替えたことで、管理コストを大幅削減。さらに、Amazon Bedrock経由で利用する生成AI「Claude Sonnet」による会話要約機能も活用し、ランニングコストの約2割の削減とハードウェアの維持・更新コストの全廃を実現。あわせて、後処理時間(ACW)の短縮や顧客体験(CX)向上に向けた柔軟な基盤も確立しました。
事例のポイント
Before
お客様の課題
- オンプレミスPBXのハードウェア更新や、数年おきに発生する更新費・データセンター維持費の負担が大きかった
- 100件以上の業務番号ごとに設定されたコンタクトフローや設定が複雑化し、設定変更や管理作業に多大な労力と時間を要していた
- 通話後の後処理時間(ACW)の手間や、お客様の声(VOC)を事業改善へ可視化・活用する仕組みが不足していた
After
課題解決の成果
- クラウドへの移行により、ランニングコストを約2割削減。ハードウェアの維持・更新コストも全廃
- 共通設定のモジュール化と自社主導の運用体制により、設定変更・管理の負荷を大幅に軽減
- Amazon Bedrock経由のClaude Sonnetによる自動会話要約を活用(約83%の通話で手直しが不要)。後処理時間(ACW)の削減とお客様の声(VOC)活用にもつながる見込み
Index
ハードウェア更新の負担、複雑な運用からの脱却を目指して
通販ブランド「ベルメゾン」をはじめ、ライフステージに応じた多角的な事業を展開する株式会社千趣会。そのコールセンター運営を専門に担う千趣会コールセンター株式会社では、自社オペレーターとパートナー企業を合わせて約300名規模の体制で、月間約5万件に及ぶお客様からの問い合わせに対応しています。
長年運用してきたは、数年おきに訪れるハードウェアの更新や、データセンターのラック契約維持費が大きな負担となっており、システムの維持・運用だけに多くのリソースを割かざるを得ないことが課題となっていました。
千趣会コールセンター株式会社 事業統括部 企画課の島﨑氏は、当時の状況を次のように振り返ります。
「最大のきっかけは、従来のオンプレミスのハードウェアを維持するだけで、コストと運用負担がかかっていたことです。オンプレミスを廃止することでデータセンターの費用を実質ゼロにしながら、変化に柔軟に対応できる体制を作りたいと考えていました」
事業統括部 企画課 島﨑 俊彦氏
さらに現場では、業務で使用する約100番もの電話番号ごとに複雑なコンタクトフローや条件設定が蓄積されており、設定の棚卸しや変更作業に時間がかかる点も大きな壁となっていました。これらを整理・最適化しつつ、顧客体験向上に向けた新しいテクノロジーを受け入れられる柔軟な基盤づくりが急務とされていたのです。
Amazon Connectの仕様に合わせた設計と、伴走型の設定モジュール化
システムの刷新にあたり同社が選定したのが、従量課金制で柔軟なスケールが可能なAWSのクラウド型コールセンターサービスである「Amazon Connect」でした。すでにAWSの導入実績において深い信頼関係があったサーバーワークスを構築・支援パートナーに迎え、プロジェクトがスタートしました。
同社は、要件定義に先立ってサーバーワークスの支援のもとでAWSが実施したAmazon Connectのハンズオンを受講していました。実際にAmazon Connectの仕様に触れたことで、「旧システムと全く同じ細かい動きを再現しようとすると、どうしても無理が生じてシステムに歪みが出てしまう」ということが、早い段階で深く理解できていたのです。
この体験が強力な動機となり、同社は従来のオンプレミスPBXの細かな動きを無理に再現するのではなく、「Amazon Connect」の標準的な思想や仕様に運用を合わせるよう方針を定めました。着信の優先順位設定など細かな独自制御は無理に作り込まず、クラウドの流儀に合わせることでシステム構成の複雑化を防ぎました。一方で、長年の運用指標である重要KPIの計算ロジックやレポートの連続性については譲れないポイントとして死守し、メリハリのある設計を推進しました。
導入プロセスにおいて大きな成果を生んだのが、サーバーワークスによる伴走型の設定整理です。従来は1フローずつ個別に組み込まれていた営業時間判定や曜日判定、転送処理などの共通設定を、適切に「モジュール化」して共通部品として再構築しました。
この伴走支援について、島﨑氏も高い評価を寄せます。「前システムの設定の棚卸しは、1本ずつ設定を確認して不要なものを整理する大変な作業で、1ヶ月ほどかかりました。しかしサーバーワークスに各フローで共通する設定を適切にモジュール化していただいたおかげで、複雑だった構成がすっきりと整理され、移行後の管理が圧倒的に楽になりました。単に移行するだけでなく、運用がしやすくなる構成を一緒に考えて構築してくださったのが本当に心強かったです。」
また、オペレーターからは、完全なPC完結型(ソフトフォン)への移行にあたり、音量調整の感覚など操作面の違いに戸惑う声も上がりました。寄せられた質問をFAQとして一つひとつ蓄積・展開していくことで、着実に現場への定着を進めました。
ランニングコストの約2割削減と自社主導のスピーディな運用を実現
新しい電話基盤の稼働後、「コスト削減」と「運用スピードの向上」という2つの側面で、大きな成果が現れています。
コスト面では、クラウド化および柔軟なライセンス体系への移行により、5月・6月の実績で同月比のランニングコストを約2割削減することに成功しました。加えて、従来のオンプレミスPBXで発生していた定期的なハードウェア更新やEOL(サポート終了)への対応コストは全廃となり、データセンターについても今年のラック契約満了をもって維持費を完全にゼロにできる見通しです。
運用面では、設定変更をベンダーに一任せず自社主導でスピーディに行えるようになった点が大きな変化です。コンタクトフローの調整にかかるリードタイムは大きく短縮され、外部委託を介さず自社内で即時対応できる体制が整いました。自動応答ガイダンスの作成では、テキストを自然な音声に変換するAmazon Connectの音声合成を活用。従来必要だった外部ソフトでの録音やサーバーへのアップロード作業がなくなり、管理画面上にテキストを入力するだけで即座に作成できるようになりました。
また、AWSのデータ分析・可視化サービス「Amazon Quick」を導入し、現場が日々の業務の中でリアルタイムレポートを活用して状況を把握できる体制を確立。さらに、指標が一定の閾値を下回った際に自動で警告通知が飛ぶ仕組みを組み合わせることで、常に画面を注視していなくても状況共有ができる環境を整備しました。これにより、管理や報告に割いていた手間が大幅に削減され、現場が本来注力すべきコールセンター運営や応対品質の向上に向き合えるようになっています。
生成AIによる会話要約とVOC活用への期待
また、本プロジェクトでは業務効率化と品質向上の柱として、Amazon Bedrock経由の生成AI、「Claude Sonnet」による会話要約機能を活用しています。プロンプト(指示文)のきめ細かな調整を重ねた結果、サンプリングした約300件の通話データのうち約250件(約83%)は手直しなしでそのまま利用できる精度に達しており、後処理時間(ACW)の削減にもつながる見込みです。
株式会社千趣会 業務本部 フルフィルメント推進部 CRMチーム マネージャーの安井氏は、お客様の声(VOC)活用の観点からその手応えを語ります。「チームとしてお客様の声から業務改善に取り組んでいるため、以前から通話内容を自動でテキスト化する『Speech to Text』を実施したいと考えていました。ようやくそのための基盤が整ってきたことが、良かった点です。今までは通話が長くなると、お客様との通話内容をかなり簡略化してメモに残していたのですが、それがより詳しく見られるようになりました。今後、お客様のご要望や求めているものがもう少し見えるようになれば、さらなる改善につながるのではないかと期待しています」
業務本部 フルフィルメント推進部 CRMチーム マネージャー
安井 崇氏
生成AIや自動発信の活用で「攻めのコールセンター」へ進化
基盤の移行を無事に完遂した同社は、通話データのテキスト化・要約化に向けた基盤を今後の武器として、さらなる高度化と顧客エンゲージメントの強化を見据えています。
「AIの会話要約機能を活用することで、オペレーターごとにばらつきのあった対応履歴の入力品質を標準化できると考えています。標準化されたテキストデータをもとにマイニングを行うことで、お客様の声(VOC)分析ができるようになるので、後処理時間(ACW)の削減に加えて、コールセンターの対応品質をより高めていきたいと考えています」と島﨑氏は話します。
「電話基盤の移行が完了した段階です。今後はAWSの他のサービスも組み合わせて、色々なことに挑戦したいと思っています。たとえばAIを活用したオペレーターの対応支援など、まだできることが多いと感じています。サーバーワークスには、たくさんあるサービスの中から自社に合ったものをぜひご提案いただきたいと思っています」と、次のフェーズへの期待も語ります。
千趣会コールセンター株式会社 事業統括部 企画課 課長の西川氏も、今後の発展性に期待を寄せます。
「まだ本格稼働してから数か月というところなので、これから先の発展性を感じています。また、サーバーワークスからAIを活用したサジェスト機能などをご紹介いただきました。興味深い内容であり、現場からも『活用したい』という声が上がっています。」
事業統括部 企画課 課長 西川 智浩氏
クラウドへの移行によってハードウェア維持の重圧から解放され、生成AIや高度なAWSサービスを自在に組み合わせられる環境を手に入れた千趣会グループ。同社とサーバーワークスの伴走によるコールセンターの進化は、これからも続いていきます。
※ この事例に記述した数字・事実・役職や所属はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
担当プロジェクトメンバー
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アプリケーションサービス本部 営業課 工藤 與大
Amazon Connect Customer 専任営業担当。
複雑にみえる従量課金の試算もお任せください。明確な月額概算費用のご提示で、導入に向けた社内検討を強力にサポートします。 -
アプリケーションサービス本部 営業課 丸山 麻衣子
Amazon Connect 専任チーム / Amazon Connect 専任担当。
職種のボーダーラインなく、Amazon Connectでもっとはたらきやすくなるための活動を遂行。
Amazon Connect界では通称YouTubeの人。 -
アプリケーションサービス本部 ディベロップメントサービス2課 上田 幹也
Amazon Connect関連サービスを主要に取り扱うデベロップエンジニア。
プリセールスからプロジェクトPM、伴走支援までお客様に寄り添った形で挿入のサポートをいたします。
選ばれる3つの理由
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Reason 01
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Reason 02
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パートナーとしての技術力
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取り組んだ歴史
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