組合員からの電話による問い合わせ対応をAmazon Connectで自動化。有人対応を約2割削減し、コールセンター運営を最適化

1都12県で活動する生活協同組合(生協)の連合組織として、食を中心とした商品供給や共済・保険、福祉、電力などの事業を展開するパルシステム生活協同組合連合会(以下、パルシステム)。約170万世帯の組合員からの商品注文や問い合わせを受け付けるコールセンター業務の効率化に向けて、2019年にAmazon Connectを活用した自動電話注文ダイヤルを構築したパルシステムでは、その後も2024年にかけて商品の欠品時の音声案内、脱退受付、着信折返受付、請求折返受付の機能を順次追加しました。これにより、電話による問い合わせ対応の約2割が自動化され、コールセンターの運営コストの最適化が実現しています。
事例のポイント
Before
お客様の課題
- 組合員の顧客体験の向上
- コールセンターの呼量削減、運営の効率化
- オペレーターの業務負荷の軽減
After
課題解決の成果
- Backlogなどを活用した新機能のスムーズな開発
- 商品注文以外の問い合わせ対応の約2割を自動化
- コールセンターの運営コストの最適化
導入サービス
- コールセンター環境構築支援(for Amazon Connect)
- スマートIVRサービス for Amazon Connect
Index
コールセンターの呼量削減を目指し問い合わせ対応の自動化を検討
「人と人との助け合い」を原点に食品の供給を中心に組合員の生活に寄り添ったさまざまな事業を展開するパルシステム。現在は「パルシステム 2030 ビジョン」のもと、「たべる」「つくる」「ささえあう」「きりかえる」「わかりあう」の5つをキーワードに、持続可能な社会の実現にもチャレンジしています。「近年、特に力を入れているのが水産資源の持続化です。『お魚食べよう』をテーマに、魚や産地、生産者などの情報を積極的に発信しています」と事業本部 事業部 組合員の声推進課 課長の芳村努氏は話します。

事業本部 事業部 組合員の声推進課 芳村努氏
組合員の顧客体験の向上、また商品注文などに対応するコールセンター業務の効率化を継続的な事業課題と考えるパルシステムでは、サーバーワークスの支援を通じて2019年11月にAmazon Connectを活用したIVRによる自動電話注文ダイヤルの仕組みを構築しました。
この新たな仕組みが功を奏し、2020年に発生したコロナ禍における急激な電話注文の増加も乗り越えることができました。電話による注文はコロナ禍が収束した後も増え続け、2025年2月時点で電話注文全体に占める自動化率は着信ベースで39%、完了ベースで28%に達しています。

サーバーワークス アプリケーションサービス部
ディベロップメントサービス2課 松尾 優氏
コールセンターのさらなる呼量削減を目指すパルシステムが次の課題として取り組んだのが、商品注文以外の問い合わせ対応の自動化でした。ここでは比較的高い導入効果が見込まれる「商品の欠品時の音声案内」「脱退受付」「着信折返受付」「請求折返受付」の 4 つに着目し、Amazon Connect を活用した IVR による電話受付の自動化を検討しました
欠品時の音声案内は、コロナ禍においてマスクの抽選状況を組合員が確認するために一時的に導入したフリーダイヤルが休眠状態になっていたことから、それを転用して自動化することにしたものです。脱退受付、着信折返受付、請求折返受付の3つについては、コールセンターの対応だけでは完結せず、改めて配送センターから組合員への折り返し電話が必要になることから、問い合わせを自動で受け付けた後、その情報を配送センターに転送することでオペレーターの負荷軽減につながると考えました。事業本部 事業部 組合員の声推進課 主任の板坂秀行氏は次のように説明します。

「コールセンターに日々寄せられる問い合わせの呼量を分析した結果、欠品時の問い合わせは呼量が多いことがわかり、自動化の効果が見込めると判断しました。脱退受付、着信折返受付、請求折返受付の3つについてはコールセンターだけでは完結できないため、呼量の削減と顧客体験の向上を目指して自動化に踏み切ることにしました」
Backlogを活用した情報共有で新機能のスムーズな開発を実現
これらの機能追加を支援するパートナーには、自動電話注文ダイヤルに続いてサーバーワークスに支援を要請しました。情報システム本部 システム部 業務システム2課 副主任の千葉裕人氏は「前回の実績はもちろんのこと、その後も新たな改善提案や情報提供を継続的にいただけたこと、また私たちのことを親身になって考えていただける姿勢が決め手になりました」と振り返ります。

Amazon Connectによる問い合わせ受付の自動化は、2021年から2024年にかけて約1年おきに「脱退受付」「請求折返受付」「着信折返受付」「欠品時の音声案内」と新たな機能を段階的に追加していきました。
「実際の開発では、当社の基幹システムや自動音声応答システムと接続するためのAPIとコールフローをサーバーワークスに提供して、Amazon Connectのコンタクトフローに落とし込む形で進めていきました。既存環境を流用することで、開発はトラブルやスケジュールの遅延もなくスムーズに行うことができました」(千葉氏)
プロジェクトの成功要因の1つとして、パルシステムとサーバーワークスの緻密なコミュニケーションと情報共有が挙げられます。プロジェクト管理ツールのBacklogを活用して、さまざまな情報をタイムリーに共有することでスピーディな意思決定を行うことができたといいます。
有人の問い合わせ対応を約2割削減しコールセンターの運営コストを最適化
「脱退受付」「着信折返受付」「請求折返受付」「欠品時の音声案内」を自動化した後、2025年2月までの着信数に対する自動化率は、脱退受付が7.9%、着信折返受付が27.6%、欠品時の音声案内が15.1%で、問い合わせ対応全体で約2割の自動化が実現しています。
「有人対応か無人対応(自動対応)かは、電話をかけてきた組合員側で選べるようになっています。全体の約2割を自動化できたことで有人対応が削減し、オペレーターの負荷軽減につながっています。先行した自動電話注文ダイヤルで注文の約3割を自動化できていることとあわせて、成果が確実に生まれていることを実感しています」(板坂氏)
自動化率はコールセンターの運営コストにも直結します。パルシステムではコールセンターの運営を外部に委託しているため、オペレーターの要員数や稼働時間はそのまま運営コストに反映されます。物価高で人件費も高騰する中、自動化によってコストの最適化が実現したことは経営面でも大きな成果です。
「有人の問い合わせ対応を2割近く削減できたことで、次年度(2025年度)のコールセンターの運営コストを増額することなく、今年度と同じサービスレベルを維持できるのはAmazon Connectの導入による成果です」(芳村氏)
生成AIを活用したさらなる自動化で組合員の満足度、顧客体験を向上
今後について、パルシステムでは音声のみによる注文の完全自動化(注文品番号や数量の入力は不要)の仕組みを検討中で、AWSの音声認識サービスであるAmazon Lexなどの活用による組合員の顧客体験のさらなる向上を目指しています。
また、最新のAI技術も積極的に採り入れながらコールセンターの運営効率を高めていく考えで、生成AIによる対応内容の自動要約や、チャットボットを使ったオペレーターの負荷軽減なども有効な選択肢です。
「音声認識の仕組みについては、日本語対応の精度も重要になってきます。こうした点でもサーバーワークスから有益な情報や新たなご提案をいただければ、組合員の満足度をさらに高めていくことができるはずです。サーバーワークスには、今後もAmazon Connectにとどまらない幅広い支援を期待しています」(芳村氏)

パルシステム生活協同組合連合会様
首都圏を中心とした地域生協とパルシステム共済生活協同組合連合会が加入する連合会組織として1990年に設立。人々のくらしに寄り添う存在として、パルシステムグループの会員生協や子会社とともに、食を中心とした商品供給事業や共済・保険事業、福祉事業、電力事業など、組合員の生活に寄り添った事業を展開している。会員生協数は13、活動エリアは1都12県、会員組合員数は約173.5万人(2024年3月現在)。
お話を伺った方
- 芳村 努 氏
- パルシステム生活協同組合連合会 事業本部 事業部 組合員の声推進課 課長
- 板坂 秀行 氏
- パルシステム生活協同組合連合会 事業本部 事業部 組合員の声推進課 主任
- 千葉 裕人 氏
- パルシステム生活協同組合連合会 情報システム本部 システム部 業務システム2課 副主任
※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
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