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コールセンターの自動化とは?自動化の方法やメリット・デメリット

コールセンターの自動化とは?自動化の方法やメリット・デメリット

顧客ニーズの多様化や情報技術の進化によって、コールセンターが抱える課題は急速に変化しています。問い合わせ件数の増加、オペレーターの人員不足、対応品質のばらつき、情報の一元管理など、多くの企業が悩みを抱えるなかで、コールセンターの自動化が注目されています。
そこで本記事では、具体的なコールセンター自動化の方法やメリット・注意点、AWS環境下で活用できるAmazon Connectの基本機能などについて解説していきます。

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この記事でわかること

  • コールセンター自動化の具体的な手法(IVRやチャットボット、音声認識システム、RPA)と特徴
  • 業務効率化やコスト削減、品質の均一化など、コールセンター自動化にはメリットがある
  • システム導入コスト、運用体制など自動化システム導入時に注意すべき点がある
  • クラウド型自動化ソリューション「Amazon Connect」の基本機能

※当記事は2025年5月に書かれたものであり、以後に展開された最新情報が含まれていない可能性がございます。

コールセンターの業務を自動化する方法

コールセンター業務を自動化する手段はさまざまです。ここでは主要な4つの方法について紹介します。

IVR

IVR(Interactive Voice Response)は「自動音声応答システム」のことを指します。電話の問い合わせに応じて担当部署やオペレーターへ振り分ける自動応答システムであり、コールセンター業務を効率化するうえで欠かせない存在となっています。

この仕組みにより、オペレーターの負担を軽減し、顧客の待ち時間を短縮することが可能です。また、オペレーターが事前に相談内容を把握できるため、スムーズな顧客対応を実現できます。個人情報の入力なども自動音声で案内できるため、セキュリティ面でも有効です。

一方で、メニューが複雑になりすぎると、顧客が混乱してしまい、逆にストレスを感じることもあります。したがって、適切な設計が必要不可欠であり、必ず「オペレーターに直接つなぐ」選択肢も用意しておくことが必要でしょう。

チャットボット

LINEのような形式でユーザーと対話し、自動で回答を返すのがチャットボットです。多くはウェブサイトやアプリに組み込まれ、よくある質問(FAQ)への対応など一次対応に適しています。

オペレーターの代わりに、営業時間外でも問い合わせに対応できるため、利便性は非常に高いです。また、複数のお客様に同時対応できるため、混雑時でも一定の顧客体験(CX)を維持することが可能です。特に、製品マニュアルや返品手続きの案内など、定型的な業務の自動化に強みを発揮します。

一方で、複雑な会話や、文脈理解が求められる質問には対応できないことがあるため、必要に応じて有人対応に切り替える設計が重要です。最近では生成AIを活用した高精度なチャットボットも登場しており、回答精度や応対品質の向上が進んでいます。

また、チャットボットの活用は顧客対応だけにとどまりません。社内ヘルプデスクやFAQ検索、業務フローのガイドなど、社内業務の効率化にも応用されています。

音声認識システム

音声認識システムは、AIが音声データを認識してテキストに変換できる仕組みです。通話内容の文字起こしや会話の要約、FAQ検索支援など、オペレーターの後処理やリアルタイム支援にも活用されています。

この仕組みによって、応対の記録が簡素化され、VOC(Voice of Customer)分析にも役立つでしょう。コールセンター業務においては、過去の通話内容の確認や、顧客とのトラブル時の証跡としての活用などの面での効率化が期待されています。

ただし、精度の高い認識を実現するには、録音環境の整備や事前に大量の学習データを用意しておくことが必要です。方言や業界特有の用語などにも対応するためには、継続的な改善が求められます。

RPA

RPA(Robotic Process Automation)は、AIの技術を搭載した業務の自動化ツールです。人間がパソコンで行う作業をロボットが代行し、定型作業を自動的に処理してくれます。

特に、同じような繰り返し行う作業に強く、CRMへのデータ入力やレポート作成、後処理などで大きな効果を発揮します。オペレーターが電話対応を終えた後に行う入力作業や、請求情報の照会・反映、エスカレーション管理など、多くの業務をRPAがサポートすることで、人的リソースの効率化につながるでしょう。

さらに、RPAは24時間稼働可能なため、夜間の事務処理や定時外のバッチ処理にも活用できます。これにより、業務のピークタイムを分散させることで、運営コストの最適化も期待できます。
ただし、アクセス権限の管理や不正アクセス対策は非常に重要であり、セキュリティポリシーの整備が必要です。また、業務フローが明確でなければ自動化の対象にならないため、事前に業務を洗い出すことも成功のカギを握ります。

コールセンターの業務を自動化するメリット

自動化技術の導入は単なるコスト削減にとどまらず、コールセンター業務全体の最適化に大きく貢献します。ここでは、代表的な8つのメリットを解説します。

業務効率の向上

自動化によって、オペレーターが行っていた一部の業務をシステムに代行させることができます。例えば、FAQへの回答や情報収集業務を自動化することで、オペレーターはより重要な問い合わせに取り組むことが可能です。また、定型業務の負担が減ることで、応対時間が短縮され、より多くの問い合わせに対応できるでしょう。

24時間365日の対応

チャットボットやIVRなどのコールセンターの自動化支援ツールを導入することで、業務時間外でも顧客の自己解決を促す環境を整えることができます。特にECサイトや海外展開をしているビジネスでは、24時間対応が競争力のカギとなるため、自動応答サービスは重要な役割を果たします。

人員不足の解消

今後も人手不足が深刻化する中で、AIコンタクトセンターや自動化ツールの活用は不可欠です。繰り返しの多い作業をロボットに任せることで、限られた人員で効率的な運営が可能になります。これにより、離職率の高い業界でも持続可能な運用体制を構築することができるのです。

コストの削減

オペレーターの人件費や教育コストの削減に加え、繁忙期の人員追加も最小限で済むようになります。クラウド型の自動化システムであれば、月額課金で導入できるため、初期投資も抑えられます。これらの工数削減により運営コストの最適化が可能です。

対応品質の均一化

応対品質に個人差が出るという従来の課題も、自動化によって一定水準の対応が実現できます。例えば、音声認識による自動記録やチャットボットの定型応答は、内容のばらつきを減らす効果があります。さらに、応対ログをもとに研修マニュアルを作成することで、オペレーター教育の効率化も図れるでしょう。

顧客満足度の向上

迅速かつ正確な対応が可能になることで、顧客のストレスが軽減され、顧客満足度(CS)が向上します。また、業務効率の改善によりオペレーターの負担も減り、従業員満足度(ES)向上にも寄与します。このように、コールセンターの自動化で顧客体験と従業員体験の両方を向上させる好循環につながるでしょう。

データ活用の促進

通話内容やチャット履歴を蓄積・分析することで、VOCの可視化や課題発見、サービス改善に活用できます。AIを活用すれば感情分析やキーワード分析も可能となり、マーケティングや経営判断にも有効なインサイトが得られます。

スケーラビリティの向上

クラウド型の自動化ツールを導入すれば、事業拡大に応じて柔軟にスケールアップが可能です。新たな応対チャネル追加や拠点展開にも柔軟に対応でき、急な業務量の増加にも耐えうる体制を整えることができます。

コールセンターの業務を自動化する際の注意点

コールセンターの自動化によって、業務効率化やコスト削減などの多くのメリットが得られますが、導入・運用において注意すべき点も存在します。ここでは主な4つの注意点について説明します。

システムの導入にコストがかかる

システムの導入における初期費用だけでなく、運用にもコストがかかる点は見逃せません。例えば、自動化ツールを導入する際には、ライセンス費用や設定・導入作業にかかる外注コストが発生します。また、定期的なメンテナンスや不具合が発生した際の修理・対応なども必要となるため、継続的な費用も発生します。これらを踏まえた上で、事前に費用対効果を十分に検討し、段階的な導入計画を立てることが重要です。

システムに慣れるまで時間がかかる

新たな自動化システムを導入したとしても、現場のオペレーターやSV(スーパーバイザー)がそれに慣れるまでには一定の時間がかかります。特に、従来の電話応対や事務作業に慣れている人材にとって、ツールの使い方を習得するには研修やマニュアル整備が欠かせません。また、UI(ユーザーインターフェース)の使いやすさによっても導入のスムーズさは大きく左右されます。段階的に導入し、業務への影響を最小限に抑える工夫が求められます。

定期的なメンテナンスや運用体制の見直しが必要

自動化された業務は一度導入すれば終わりではなく、継続的な見直しと改善が必要です。FAQの内容が古くなった場合や、顧客対応に新しいパターンが増えた場合には、チャットボットやIVRのシナリオを更新する必要があります。運用体制を整えることで、業務フローの最適化と業務改善を継続的に実現できます。特にVOC分析によって得られた顧客の声を反映させることで、CXの向上にもつながるでしょう。

セキュリティ対策の徹底が必要

業務を自動化する中で最も重要なのがセキュリティ対策です。とくに、個人情報や問い合わせ内容などの顧客情報を扱うコールセンターでは、データの暗号化やアクセス制限、ログ管理などが必須です。
また、クラウド型の自動化ツールを導入する場合は、外部との接続リスクを最小限に抑えるための対策も必要です。万が一の情報漏洩を防ぐためにも、定期的なセキュリティチェックと内部監査を実施することが求められます。

コールセンターの業務を自動化する際に活用できる「Amazon Connect」とは

近年、多くの企業が導入を進めているのが、アマゾン ウェブ サービス(AWS)が提供するクラウド型コンタクトセンターサービス「Amazon Connect」です。ここでは、その概要と機能について詳しく解説します。

Amazon Connectの概要

Amazon Connectは、AWSが提供しているコールセンター向けのクラウドプラットフォームのことです。クラウドサービス上で動作するため、交換機など物理的な設備投資が不要で、導入がしやすいという特徴があります。
高いセキュリティに加え、分析など豊富な機能を備えており、他システムとの連携や拡張性にも優れています。これにより、顧客満足度の高いコールセンターシステムの構築や運用が期待できるのです。

対応チャネル

Amazon Connectでは、以下の5つのチャネルに対応しています。

  • 音声 (電話)
  • チャット/SMS
  • ウェブ通話/ビデオ
  • タスク
  • Eメール

まず「音声(電話)」による通話対応を基本としつつ、「チャット/SMS」によるテキストコミュニケーションにも対応しています。さらに、「ウェブ通話/ビデオ」によって対面に近い形での顧客対応も可能です。「タスク」機能により、オペレーターやSVが行うべき作業の管理も支援されます。そして「Eメール」による問い合わせ対応にも対応しており、幅広いチャネルで顧客と接点を持つことができます。

管理機能

Amazon Connectの管理機能はとても充実しています。顧客情報をリアルタイムで詳細に表示できるほか、各タスクの進捗や担当者のスケジュールも一元管理できます。さらに、生成AIを活用したリアルタイム支援により、対応中のオペレーターをサポートします。複数のやり取りが必要な顧客に対しても、過去の対話履歴を追跡しながら、スムーズな顧客対応を実現できます。これにより、オペレーションの可視化と業務効率の向上が図れます。

会話型IVRとチャットボット

Amazon Connectでは、従来型のIVRを超えて、音声認識と自然言語理解テクノロジーを活用した会話型IVRやチャットボットを利用できます。これにより、顧客は自然な対話形式で問い合わせができ、ストレスなく自己解決が可能になるでしょう。問い合わせ内容の理解精度も高く、誤解のないスムーズな対応が可能です。

会話内容の分析も可能

Amazon Connectでは、生成AIが通話やチャットの会話内容を自動的に要約します。これにより、オペレーターが対応履歴を確認する手間が削減され、後処理の工数削減にもつながるでしょう。
また、エージェントのパフォーマンス評価も可能で、会話の中から抽出された指標をもとに、効果的なコーチングを行うことが可能です。これにより、CS(顧客満足度)向上と業務最適化の両立が期待されます。

ルーティング設定

ルーティングとは、コールセンターにかかってくる呼を割り振る仕組みです。Amazon Connectでは、「キュー」「ルーティングプロファイル」を設定することも可能です。
キューとは、コールセンターにかかってきた電話の一時待機場所です。
ルーティングプロファイルとは、どのキューに入ったらどのオペレーターにつなげるかの設定です。特定の問い合わせが複数あった際、該当するスキルセットを持つエージェントに割り当てるといった分配も可能です。

Amazon Connectでコールセンターを自動化

近年、コールセンター業務の効率化や生産性向上の手段として、自動化は多くの企業から注目を集めています。その中でも、Amazon Connectは導入のしやすさや柔軟性、拡張性という点で非常に優れたソリューションです。AIコンタクトセンターの構築や業務フローの効率化、VOC分析など、幅広い業務改善に貢献します。自社に最適な運用体制を構築し、より良い顧客体験を提供するための第一歩として、Amazon Connectの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、サーバーワークスではAmazon Connectを活用したコールセンター環境構築支援サービスを提供しております。コールセンター自動化における、豊富な国内実績と蓄積されたノウハウが強みで、課題の1つである導入時の初期設定も迅速に行います。
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