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コンタクトセンターにおける顧客対応の内容を生成AIで自動要約。オペレーターの業務負荷を軽減し、応答率の向上にも貢献

導入事例(株式会社大丸松坂屋百貨店様)

「くらしの『あたらしい幸せ』を発明する。」をビジョンに掲げ、老舗百貨店である「大丸」と「松坂屋」を運営する株式会社大丸松坂屋百貨店。コロナ禍の経験を通じて顧客とのタッチポイントとしてのECサイトの重要性を再認識した同社では、2023年2月にコンタクトセンターの基盤をAmazon ConnectとZendeskを組み合わせたクラウドコンタクトセンターパッケージで刷新したのに続いて、2024年10月から顧客対応の内容を文字起こししたテキストを生成AIで自動要約する新機能の活用を開始。繁忙期における受電後の後処理時間が短縮し、オペレーターの負荷軽減と同時に応答率の向上も実現しています。

事例のポイント

Before

お客様の課題

  • コンタクトセンターにおける電話対応後の後処理時間の短縮と応答率の向上
  • オペレーターによる後処理業務の負荷軽減
  • オペレーターのスキルに依存した要約業務の標準化

After

課題解決の成果

  • 繁忙期における1件あたりの後処理時間が約10秒短縮
  • 後処理業務の負荷軽減による受電の応答率の向上
  • 要約業務の標準化による顧客対応の品質、スピードの向上

コールセンターでの顧客対応の内容を要約する後処理業務の負荷軽減が課題に

大丸9店舗、松坂屋4店舗を中心に、全国で15店舗の百貨店を運営する大丸松坂屋百貨店。DX推進による新規事業の創出や新たな顧客体験の提供、業務の効率化などに取り組む中、同社が特に力を入れているのがECサイト「大丸松坂屋オンラインストア」を介した顧客との信頼関係の強化です。
2023年2月にはECサイトのコンタクトセンター基盤にサーバーワークスと株式会社エクレクトが提供するAmazon ConnectとZendeskを組み合わせた「クラウドコンタクトセンターパッケージ」を導入し、紙で記録していた顧客対応履歴の管理をデジタル化。これとあわせて、電話、メール、FAQといった複数の問い合わせチャネルをZendeskで一元化し、さらにチャットボットや有人チャットを導入して負荷分散を図りました。本社 営業本部 MDコンテンツ開発第2部 マネジャー オンラインストア担当の森健太郎氏は次のように振り返ります。

「ペーパーレス化や問い合わせチャネルの一元化などによって、業務効率と顧客サービスは大幅に向上しました。その結果、繁忙期には1カ月で1万件以上に及ぶ電話対応の件数が2024年冬の繁忙期では約23%減少し、受電の応答率も14.5%改善されています」
一方、クラウドコンタクトセンターパッケージの導入後には新たな課題も見えてきました。同社のコンタクトセンターでは、電話で注文を受け付けた後、後処理業務(ACW:After Call Work)としてオペレーターが顧客の要望などをZendeskに入力して情報を共有します。通話内容はAI文字起こしのContact Lens for Amazon Connectで自動的にテキスト化されるようになったものの、オペレーターはその内容を要約してZendeskに手入力しており、ACWの負荷は手書きメモを頼りに入力していた以前の状況と大きく変わっていませんでした。

パッケージに追加された自動要約機能を繁忙期のピークにあわせて利用開始

こうした中、クラウドコンタクトセンターパッケージに文字起こしテキストを生成AIで自動要約する機能が追加されることを知った大丸松坂屋百貨店は、即座に検証に着手しました。
「要約作業が自動化されれば、オペレーターによるACWの時間を短縮することができます。この要約機能はパッケージの標準機能として提供されるため、追加費用もわずかで済むことから導入のハードル自体は高くありませんでした」(森氏)
ここで問題となるのが自動要約の精度です。そこで同社はコールセンターのいくつかの席を使って、オペレーターの実業務で自動要約機能の検証を実施。確かな手応えが得られたことから、2024年冬の繁忙期のピークにあわせて全席での利用を開始しました。
「検証に参加したオペレーターによると、自動要約の内容は正確で必要な項目はすべて網羅されていました。管理側の私たちも要約の精度や内容を改めて確認し、Zendeskとの連携がスムーズである点も踏まえて、問題ないと判断しました」(森氏)
実際の導入では、サーバーワークスも自社で要約の精度を検証し、必要な項目、内容、文字数などをすべてチューニングしたうえで標準機能としてパッケージに実装しました。そのため、大丸松坂屋百貨店側では特別なカスタマイズが発生することなく、ほぼ標準機能のまま導入が進められました。

なお、自動要約機能を現場に導入するにあたっては、繁忙期における要約内容のZendeskへの入力はスーパーバイザーの役割とすることでオペレーターの負荷をさらに軽減し、受電に集中できるように運用フローを改めています。

1件あたりの後処理時間が約10秒短縮 業務負荷の軽減と同時に応答率も向上

文字起こしテキストの自動要約機能の成果は早々に現れ、ACWの時間短縮は明確な定量効果として確認されています。
「2024年冬の繁忙期において、受電1回あたりのACWは11月で7秒、12月で13秒の短縮が実現しました。わずかな時間の短縮に見えますが、1カ月で1万件もの電話を受ける繁忙期にあって、1回あたり10秒前後の短縮効果は大きく、受電の応答率の向上にもつながっています」(森氏)
コンタクトセンターの運用部門からの評価も高く、業務委託先の責任者からは「自動要約機能を追加してもらったことでオペレーターの負荷が大幅に軽減された」という声が届いているといいます。
自動要約機能はACWの時間短縮だけでなく、顧客の要望や意見に対応する管理部門の業務効率化と、対応品質の改善にも貢献しています。従来の人手による要約はオペレーターの経験やスキルに依存するため属人化しやすく、報告内容に抜けや漏れが発生しがちでした。要約が自動化された後は、すべてのオペレーターから正確な報告が上がってくるようになりました。

「これまでは要約された報告内容を見て実態が把握できなかった場合は、オペレーターから直接聞き取りをしたり、録音データを聞き直したりしていました。自動要約機能を導入した後は、内容の判断がしやすくなり、情報が不足している場合でも文字起こしテキストにさかのぼることで詳細な情報を把握できます。その結果、管理者側の手間が減り、顧客対応までの時間も短縮されました」(森氏)

AIを活用したさらなる業務効率化で「攻めのマーケティング」を実践

コンタクトセンター運営の今後については、大丸松坂屋百貨店では「攻めのマーケティング」をキーワードに、通話記録をテキストマイニングした結果をマーケティング情報として共有し、サービスの拡充につなげていく構想を描いています。この実現のためにはさらなる業務効率化が必要であることから、電話による顧客からの問い合わせをAIが聞き取り、自動的に回答を返すAI自動音声応答システムの導入も視野に入れています。
同社のコンタクトセンター業務や課題を熟知するサーバーワークスの支援については、積極的な提案姿勢を評価しており、今後も革新的なサービスや機能の提供に大きな期待を寄せています。

「サーバーワークスには、普段からのコミュニケーションを通じて、技術的な領域にとどまらず、業務に関する課題を広く深く理解したうえで最適な提案をいただいてきました。『攻めのマーケティング』の実現に向けて、業務改善の余地はまだ多く残されていますので、引き続きの手厚い支援をお願いしたいと考えています」(森氏)

導入事例(株式会社大丸松坂屋百貨店様)

株式会社大丸松坂屋百貨店様

2007年に発足したJ.フロント リテイリングのもと、2010年に「大丸」と「松坂屋」が合併して発足。「くらしの『あたらしい幸せ』を発明する。」をビジョンに掲げ、2024年3月からの中期3カ年計画では「Think GREEN」「Think LOCAL」「Think SMILE」の3つをコミュニケーションワードに、持続的な成長と社会への貢献を目指している。

取材に協力いただいた方々

森 健太郎 氏
株式会社大丸松坂屋百貨店 本社 営業本部 MDコンテンツ開発第2部 マネジャー オンラインストア担当

※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

担当プロジェクトメンバー

  • アプリケーションサービス部 ディベロップメントサービス2課 新坂 学

    アプリケーションサービス部 ディベロップメントサービス2課にて、Amazon Connectと関連クラウドサービスを組み合わせた構成設計から、技術支援、そしてより活用するための開発までを一貫して担当しています。 お客様の多様な課題を深く理解し、その解決とビジネス価値の向上に貢献できる『本当に役立つ仕組み』の提供に努めています。

  • アプリケーションサービス部 ディベロップメントサービス2課 池田 智耶

    アプリケーションサービス本部ディベロップメントサービス2課に所属。Amazon Connect の導入支援、Amazon Lexによる発話意図ベースのルーティング、通話要約機能の導入、生成AIチャットのバックエンド開発を担当。新技術を素早く取り込み、現場で日常的に使っていただけるシステムづくりを重視しています。

  • アプリケーションサービス部営業課 課長 中嶋 麻衣子

    2010年からサーバーワークスに所属しており、一貫してAWS周辺の営業をやっています。
    現在はデータ分析基盤やIoTプラットフォームの構築、Amazon Connect の導入やIVR自動化の構築等々をメインにご提案しています。
    趣味は三線演奏、ゴルフ、プロ野球観戦で、もっぱらオンシーズンは神宮球場に出没しています。

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