~"最先端オフィス×クラウド"のコラボレーションで幸せな働き方を創出する~ AWS+LINEアプリで、利便性の高いコワーキングスペースの予約/決済システムを構築
沖縄で"リモートワーク空間創造カンパニー"として活動するマッシグラ沖縄タイムス。人々が「自分らしい場所ではたらく」ことをビジョンに掲げ、シェアオフィス/コワーキングスペース「howlive」を展開しています。同社は2022年、howliveのさらなる利便性向上を図るために、サーバーワークスとのパートナーシップの元、AWSとLINEを基盤とする仕組みを構築、決済など外部サービスとのAPI連携を実現しました。その詳細について取締役の木下勝彦氏に伺いました。
2022.12.14 掲載
事例のポイント
- お客様の課題
-
- howliveの利用予約にあたっては電話という手段のみで、銀行振り込みを以て完了する為、社内工数がかかり、ご利用者様のご負担も大きく、利便性が損なわれていた
- 課題解決の成果
-
- LINEアプリで、予約から支払まで一括対応する事で、利便性を追求し顧客体験を向上
- 基盤としてAWSのマネージドサービスを採用し、既存の顧客管理システムや決裁システムとAPI連携することで開発スピードとメンテナンス性を向上
- 導入サービス
マッシグラ沖縄タイムス株式会社様
沖縄県の那覇市を中心に、県内最大の店舗数で展開する法人向けシェアオフィス・コワーキングスペースです。好ロケーションと多機能なオフィスで、日々新しい働き方を提供します。
「自分らしい場所ではたらく」を実現する、沖縄のリモートワーク空間創造カンパニーとして、コワーキング/シェアオフィス howliveの開発・運営、沖縄でのワーケーション受け入れ、オフィスデザイン事業を軸に、ワークスタイル関連ビジネスを展開しています。
お話を伺った方
取締役
木下勝彦 氏
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
目次
沖縄という最高のアナログ環境に、最高のデジタル環境を装備したオフィスを作る
2020年初頭から本格化したコロナ禍に対応するために、全世界でテレワークやリモートワークが普及しました。現在ではデュアルライフ(=二拠点生活)というライフスタイルにも注目が集まっています。社会環境の変化やテクノロジーの進化を背景に、人々の働き方も大きく変わりつつあります。
2018年6月に設立されたマッシグラ沖縄タイムスは、多様化する人々の働き方を支援するために、howliveの開発・運営だけでなく、県外企業のワーケーションやオフィスデザインのサポートを軸に、様々なワークスタイル関連ビジネスを展開しています。同社の取り組みについて、木下氏は次のように説明します。
「私たちの事業活動の中心になっているのが“働くことは、生きること”というコンセプトです。つまり働く全ての人々が、自分らしく働くことができること。これを実現するためには、多様なオフィス環境が必要です。howlive(=どのように生きるか)という名前はまさにこのコンセプトを象徴するものですし、ワーケーションやオフィスデザインの支援も、全てこの考え方を基点とするものです」(木下氏)
また同社サービスの大きな特徴、強みとなっているのが、沖縄というロケーションです。木下氏は「沖縄というリゾート地で働くことができれば、人々はより幸せになることができると考えています」と続けます。
「デジタル技術の進歩によって、働く人々の利便性は飛躍的に向上しました。今では働く場所の制約を受けることもありません。それなら仕事を終えて外に出た時に、高いビル群ではなく海が広がっていれば、あるいは暖かい空気を感じることができればもっと幸せを感じられるのではないでしょうか。そう考えて私たちは、最高のアナログ環境である沖縄というリゾートエリアに、最先端のレイアウト哲学を詰め込んだ最高のデジタル環境を装備したオフィスを作ることを目指して、ずっと活動を続けてきています」(木下氏)
ご利用者様の“働きやすさ”を追求するために、howliveの利便性向上を検討
マッシグラ沖縄タイムスが提供するhowliveは、沖縄本島や宮古島に5店舗を展開するシェアオフィス/コワーキングスペースのサービスで、2018年の提供開始以来、月額契約の企業入居者数が累計300社、ドロップインと呼ばれる一時利用の件数が累計で4500件です。
これまでhowliveのオフィスを使用したい場合、ご利用者様は各店舗に電話をかけて希望日時と時間を伝え、仮予約する必要がありました。その後、howliveから郵送されてくる請求書の料金を銀行振込することで予約が確定するという流れです。
「つまりご利用者様とhowliveとの接点は電話のみで、さらに予約が確定するまでに数日間はかかる、というのが実情でした。ご利用者様には大きな負担をおかけすることになっており、社内工数としても非常に大きなものとなっていました。我々が目指す“働くことは、生きること”を実のあるものにするためには、まず“働きやすさ”を追求することが必要です。howliveをもっと使いやすいものにしたいとずっと考えていました」(木下氏)
木下氏は、顧客を待たせない、自社の対応業務も効率化する、という視点から“こんなことが実現できればいいな”というイメージを温めていたと言います。
「例えばご利用者様が沖縄に向かう飛行機の中から、店舗の立地に関わらず希望するオフィスを予約でき、さらに決済まで完了できるような仕組みを構築したいという思いがありました。実際にどんなシステムがいいのかまでの具体的なアイデアはありませんでしたが、スムーズなユーザー体験を提供するためには、やはりスマートフォンで全て完結する仕組みにする必要があると考えていました」(木下氏)
そんな状況の中で出会ったのが、サーバーワークスでした。
同じ世界観を共有するサーバーワークスと、強力なパートナーシップを構築
サーバーワークスの従業員がhowliveの利用者だったという縁から、木下氏は2020年、サーバーワークスの取締役 羽柴孝との接点を持ち、お互いの会社のビジョンや事業について会話を交わす中、同じ世界観を共有していることを強く認識したと話します。
「サーバーワークスは“クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく”というビジョンを掲げていることを知りました。一方我々のビジョンは“自分らしい場所ではたらく”こと。両社とも“はたらく”ことをキーワードにしています。同じ世界観を共有するサーバーワークスとの出会いは、まさに運命的だったと思います」(木下氏)
一方の羽柴も木下氏との会話を通じて、働く場所(=ハード)とクラウド(=ソフト)というコミットする領域に違いはあるものの「働きやすさを追求するという同じ目的を共有するマッシグラ沖縄タイムス様を、何とかご支援させていただきたいという思いを強くしました」と語ります。
「木下様のおっしゃるスマートフォンの利用を前提とした時、やはりご利用者様が使いやすいもの、日頃使い慣れているものをベースにしたほうがいいと考えました」(羽柴)
そこで羽柴がご提案したのが、予約から決済までの処理をLINEアプリの機能として実装する仕組みでした。
「LINEは、国内でデファクトスタンダードとなっているスマートフォンアプリです。マッシグラ沖縄タイムス様では、既に業務アプリケーションを構築できるクラウドサービスを利用して顧客管理と予約管理のシステムを稼働させていましたが、それらとご利用者様を繋ぐインタフェースとしては、LINEアプリが最適だと判断しました」(羽柴)
こうしたプロセスを経て基本的なイメージを共有した両社は、howliveの利便性向上に向けたプロジェクトをスタートさせました。
AWSを基盤に外部サービスとのAPI連携を実現し、LINEアプリのユーザー画面を開発
サーバーワークスは、AWSパートナー制度の最上位であるAPNプレミアティアサービスパートナーで、2009年からAWSに特化したインテグレーション事業とサービス提供を行っているクラウドインテグレーターです。
今回サーバーワークスが、howliveの利便性向上を実現する仕組みの基盤としてマッシグラ沖縄タイムスに提案したのが、サーバーレスでイベント駆動型のコンピューティングサービスであるAWS Lambdaでした。その意図について、プロジェクトを統括したアプリケーションサービス部 ディベロップメントサービス1課 課長の森大樹は、次のように説明します。
「AWSの仮想サーバーといえばAmazon EC2が一般的ですが、この場合にはOSをメンテナンスする必要があり、また外部システムとAPI連携するためにはミドルウェアも必要で、そのメンテナンスも必要です。当然その分、ランニングコストもかかることになります。しかしhowliveの仕組みでは常時サーバーを建てておく必要がなく、予約のイベントが発生した時に各処理を実行できる環境さえあればいいのです。こうしたシステム要件を考えた時、イベント駆動型でその都度、必要な機能をデプロイでき、デプロイ後の実行時間や呼び出し回数による従量課金制のAWS Lambdaが適していると考えました。さらにAWS Lambdaを採用することで、よりスピード感を持ってシステムを作り込んでいくことも可能となります」(森)
また今回の仕組みの全体像について、具体的なシステム構成を設計したアプリケーションサービス部 ディベロップメントサービス2課の河野剛は、次のように説明します。
「今回サーバーワークスで開発した機能は、大きく2つです。1つめがAPI連携するためのシステムで、ご利用者様のLINEアプリと、既存の顧客管理や予約管理のシステム、外部の決済サービス、オフィス入退室時に必要なPINコードを発行するスマートロックのサービスとを繋ぐものです。そしてもう1つが、LINEアプリでhowliveを利用するためのユーザー画面です。AWSだけでなく、LINEに関する我々のノウハウもいかんなく盛り込んだシステムを作り上げることができたと考えています」(河野)
この点については木下氏も「サーバーワークスには技術面における格の違いを感じました」とプロジェクト当時を振り返ります。
「AWSの色々なサービスを組み合わせて、我々の望む仕組みを完成させてくれた実力は、本当に素晴らしいものでした。さらにサーバーワークスは、プロジェクトを進めるに当たっても、我々に大きな安心感を与えてくれました。プロジェクト管理ツールを使って打ち合わせ時のドキュメントをきちんと残していってくれたり、我々サイドで確認すべき事項を明確にしてくれたりなど、丁寧なコミュニケーションを取ってくれました。そのおかげでプロジェクトは、非常に進めやすかったですね」(木下氏)
今回の仕組みを新規ビジネスのインフラとしても活用、サーバーワークスとのパートナーシップもより強固なものに
今回構築した仕組みは、スマートロックの物理的な設備と共に現在2店舗に配備済みで、マッシグラ沖縄タイムスでは今、ご利用者様に向けた動画マニュアルなどを作成しているところです。
「今回の仕組みによって、ご利用者様の利便性は大幅に向上し、我々も店舗にスタッフを貼り付けておく必要が無くなりました。現実的には、すぐに店頭から人を無くすことはできませんが、今後その方向に向かうことができることは間違いありません」(木下氏)
さらに木下氏は、今回の仕組みを活用した新たなビジネス展開を進めています。
「現在街中では、銀行の統廃合などで空いた店舗がどんどん増えています。こうした店舗に今回我々が完成させた仕組みとスマートロックの設備を適用することで、無人のシェアオフィスやコワーキングスペースを創出することができます。既に2店舗を準備していますが、今回の仕組みは我々にとって、新たなビジネスのインフラとしても活用できるものだと言えます」(木下氏)
今後も木下氏は、サーバーワークスとのパートナーシップをより一層強固なものにしていきたい考えです。こうした木下氏の思いに応えるために、営業部 営業1課 課長の中嶋麻衣子は、サーバーワークス全体としての提案力にさらに磨きをかけていくことを強調します。
「働きやすさを追求するという観点で、マッシグラ沖縄タイムス様とサーバーワークスはビジョンが合致しています。ハード、ソフトでそれぞれに強みを持つ両社がパートナーシップを組み、我々はテクノロジーの視点、AWSの専業ベンダーという視点から、AWSをさらにうまく活用する方法や有用な機能をご提案していきたいと思います」(中嶋)
「現在シェアオフィスやコワーキングスペースでは、ほぼインターネットにしか繋がりません。そんな環境下でマッシグラ沖縄タイムス様の目指すワーケーションを少しずつでも普及させていくためには、我々のクラウド技術が必ずお役に立てると考えています。これからもマッシグラ沖縄タイムス様と一緒に、より働きやすい環境を全ての日本企業に提供していくために、様々なご提案をさせていただきたいと考えています」(羽柴)
サーバーワークスから 取締役 羽柴 孝 、アプリケーションサービス部 ディベロップメントサービス1課 課長 森 大樹、同2課 河野 剛、営業部 営業1課 課長 中嶋 麻衣子が、お伺いしました。
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