チケット管理システムからRAGを活用したAIワークスペースまで内製開発で組織横断のデジタル化を推進
世界屈指の重工業メーカーとして、エナジー、プラント・インフラ、インダストリアルドメイン、航空・防衛・宇宙などの分野で事業を展開する三菱重工業株式会社。社内業務のデジタル改革を推進する同社では、組織横断で事業部門のシステム開発を支援する内製化部門が存在します。その中でアマゾン ウェブ サービス(AWS)をインフラとしたチケット管理システム(顧客からの問い合わせ管理システム)と、RAGを活用した全社向けAIワークスペースの開発支援をサーバーワークスに依頼。インフラやバックエンド、AIの豊富な知見を持つサーバーワークスの支援によって、内製開発力が向上し、高品質のシステム開発が実現しています。
事例のポイント
Before
お客様の課題
- 顧客からの問い合わせ対応や依頼内容の管理が属人化
- 事業部門単位の生成AI活用による個別最適化の懸念
- AWSなどのインフラ、バックエンド領域、生成AIに関する知見の不足
After
課題解決の成果
- AWS上でチケット管理システムを構築し、問い合わせ管理を一元化
- RAGを活用した全社向けAIワークスペースを開発し、ナレッジ検索などの機能を提供
- サーバーワークスの開発支援を受けながら、AWSや生成AIに関する最新の知見を獲得
導入サービス
Index
組織横断の内製開発組織を設立しデジタルで顧客接点を強化
広範な事業領域を持つ三菱重工は、多くの事業部門で構成され、各部門が独立して事業を運営しています。一方、各事業部門のリソースには限りがあるため、IT人材を十分に確保できないという課題がありました。そこで同社のデジタルイノベーション本部システムインテグレーション部モダナイズ推進Gは、組織横断でシステム開発を支援する内製開発部門として三菱重工グループのデジタル化を推進しています。同グループプロダクト開発チーム 上席主任の原田新也氏は次のように話します。
「重工業向け製品を扱う当社のビジネス特性として、納品後も長年にわたってお客様との関係が続きます。その中でデジタルを活用してお客様との接点などを強化することに加えて、内部の業務課題を改善していくことが私たちのミッションです」
デジタルイノベーション本部 システムインテグレーション部
モダナイズ推進G プロダクト開発チーム 上席主任
原田 新也 氏
システム開発においては、各事業部門からヒアリングした課題に焦点を当て、最新の技術スタックやサービスを取り入れながらPoC(概念検証)を実施し、その結果をベースに各事業部門へ新たなシステムを展開する取り組みを続けています。
問い合わせ管理の属人化を解消するチケット管理システムをAWS上に構築
こうした中、2023年9月から着手したのが、事業部門が顧客からの問い合わせを受け付けるチケット管理システムの開発です。システムインテグレーション部 モダナイズ推進G プロダクト開発チーム 主任の山田晃司氏は、開発の経緯を次のように説明します。
「お客様からの問い合わせについては、これまで個々の社員が電話やメールで対応していたため、管理が属人化し、過去の対応で蓄積したナレッジも分散していました。そこで問い合わせや作業依頼などのタスクをチケットとして発行し、担当者、ステータス、対応履歴などを一元管理するシステムの構築に着手しました」
デジタルイノベーション本部 システムインテグレーション部
モダナイズ推進G プロダクト開発チーム 主任
山田 晃司 氏
チケット管理システムは、事業部門の業務に合わせてカスタマイズするため、スクラッチで開発する方針とし、そのインフラにAWSを採用しました。しかし、開発チームはフロントエンドの開発経験とノウハウはあったものの、インフラやバックエンド領域の知見が不足していたことから、パートナーとしてサーバーワークスに支援を依頼しました。
「サーバーワークスは、Amazon Connectを活用した当社のコールセンターシステムの開発ですでに実績がありました。その際の技術力や知見を評価し、改めてお願いすることにしました」(山田氏)
開発は三菱重工が4名、サーバーワークスが2名の6名体制で実施。システムはフロントエンドにNext.js、バックエンドにAmazon RDS、Amazon API Gateway、AWS Lambdaなどを採用して開発を進めました。
「サーバーワークスにはAWSを中心としたインフラと、REST APIなどのバックエンドを支援していただきました。私たちもバックエンド技術を吸収して開発スピードを向上させるという課題認識のもと、ペアプログラミングのスタイルも取り入れながら知識を身につけていきました」(山田氏)
1つの事業部門を対象としたチケット管理システムはすでにリリースされ、問い合わせ管理の一元化によって業務の効率化につながっているといいます。
「多いときは1日で50件近くの問い合わせが寄せられる中、設計部門や製造部門などとも情報共有ができるようになり、社内でのエスカレーションがしやすくなりました。この結果を受けて、現在は他の事業部門へも展開できる汎用性の高いシステム開発に取り組んでいます」(山田氏)
Amazon Bedrockを活用した全社向けAIワークスペースの開発
チケット管理システムの展開と並行して2025年6月から着手したのが、RAGチャットボットを活用した全社向けAIワークスペースの開発です。
「各事業部門が独自に生成AIを活用することで、個別最適化が進む懸念があったことから、私たちが生成AIを組み込んだプロダクトを開発し、全社共通のサービスとして提供することにしました」(原田氏)
AIワークスペースは、当初は社内のナレッジ検索や書類の要約などから始めましたが、現在はAIエージェントによる各種申請処理の自律的な実行やデータの分析・可視化なども実現し、AIワークスペース上で業務を完結できる環境を目指しています。
開発には三菱重工から3名、サーバーワークスから1名のエンジニアが参加し、技術スタックは生成AIにAmazon Bedrockを採用し、RAGはAmazon Bedrock Knowledge Basesで構築しています。またフロントエンドにはNext.js、AIエージェントの基盤にはAmazon BedrockのAgentCoreを採用しました。
「新たなAI機能が次々とリリースされる中で、まずは一般的なRAGを構築し、徐々に機能を拡張していきました。サーバーワークスのエンジニアには、Amazon Bedrock Knowledge Basesの効率的な使い方、メタデータの扱い、周辺のデータ処理などに関して適宜アドバイスをいただきました」(原田氏)
2026年4月に三菱重工の社員を対象に先行リリースされたAIワークスペースは、わずか2週間でアクティブユーザが2,000人以上、チャットの利用回数が1万5,000回にも達しました。現場からは「働き方そのものを変えるほどのインパクトがある」という声も聞かれるほか、すでに20以上の事業部門から導入の相談が寄せられているといいます。
バイブコーディングも取り入れたスプリント開発で内製開発力を強化
チケット管理システムやAIワークスペースの開発は、サーバーワークスとオンラインでコミュニケーションをとりながら、1週間スプリントのスクラム開発で進めました。このプロジェクトを通じて、内製開発の成熟度は高まり、より高品質なシステム開発の実現や開発期間の短縮につながっています。
「日々進化するAI技術の検証や、AIによるバイブコーディングの手法を取り入れたスプリント開発には苦労もありましたが、サーバーワークスのエンジニアにCI/CDの自動化などにも協力していただき、開発を加速することができました。生成AIに関する知識も豊富なサーバーワークスのエンジニアには、技術面で大いに助けられました」(原田氏)
チケット管理システムおよびAIワークスペースは、今後も機能強化を継続していく方針です。特にAIワークスペースについては、三菱重工グループ全体への展開と並行して、事業収益の向上にも資する方向へと進化させていく構想を描いています。
最新の生成AIの機能をセキュアに活用できる三菱重工グループの共通サービスへと進化させ、幅広い事業で活用していくうえで、サーバーワークスとのパートナーシップは今後も大きな貢献を果たしていくはずです。
三菱重工業株式会社様
1884年の創立以来、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、多様化・複雑化する社会課題の解決に取り組み続ける世界屈指の重工業メーカー。現在は、エナジー、プラント・インフラ、インダストリアルソリューション、航空・防衛・宇宙の4つの領域でビジネスを展開。エナジートランジションや社会インフラのスマート化などの成長領域の事業化も進め、人々の豊かな暮らしの実現を目指している。
お話を伺った方
- 原田 新也 氏
- 三菱重工業株式会社 デジタルイノベーション本部 システムインテグレーション部 モダナイズ推進G プロダクト開発チーム 上席主任
- 山田 晃司 氏
- 三菱重工業株式会社 デジタルイノベーション本部 システムインテグレーション部 モダナイズ推進G プロダクト開発チーム 主任
※ この事例に記述した数字・事実・役職や所属はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
担当プロジェクトメンバー
-
アプリケーションサービス部 営業課(AS部) 課長 中嶋 麻衣子
2010年からサーバーワークスに所属しており、一貫してAWS周辺の営業を担当しています。
現在はデータ分析基盤やIoTプラットフォームの構築、Amazon Connect の導入やIVR自動化の構築などをメインにご提案しています。
趣味は三線演奏、ゴルフ、プロ野球観戦で、もっぱらオンシーズンは神宮球場に出没しています。 -
アプリケーションサービス本部ディベロップメントサービス2課 池田 智耶
Amazon Connect の導入支援、Amazon Lexによる発話意図ベースのルーティング、通話要約機能の導入、生成AIチャットのバックエンド開発を担当。
新技術を素早く取り込み、現場で日常的に使っていただけるシステムづくりを重視しています。 -
アプリケーションサービス本部ディベロップメントサービス2課 磯﨑 洋一
2021年からサーバーワークスに参加しており、主にAWSにおけるインフラの設計・構築、サーバーレスアプリケーションの開発に従事。
選ばれる3つの理由
-
Reason 01
圧倒的な実績数による
提案力とスピード- 導入実績
- 1570 社
- 案件実績
- 31700 件
-
Reason 02
AWS認定の最上位
パートナーとしての技術力
-
Reason 03
いち早くAWS専業に
取り組んだ歴史