新規事業プロジェクトであるデータソリューションの基盤にAWS を選択。アジャイル手法と各種AWSサービスを採用して、高品質かつ短期間でのソリューション構築を実現

三菱電機ビジネスイノベーション本部では AWS を基盤に、上空や地上の風速・風向をリアルタイムに計測することができる風況データソリューションを開発中です。建設現場の開発の生産性や高層ビルが建ち並ぶ街中の安全性を向上させるソリューションとして、2023年度以降のサービス提供を目指します。

2022.11.30 掲載

三菱電機ビジネスイノベーション本部は、自社独自のAI技術(Maisart®)を活用した風況データソリューションの基盤として AWS を採用し、アジャイル手法による AWS上のWEBアプリケーションの開発支援をサーバーワークスに依頼しました。開発時の課題や AWS 導入の効果、サーバーワークスに対する評価について、ビジネスイノベーション本部 事業推進チーム 風況データソリューション事業プロジェクト UI・クラウド領域リーダーの小沢英之氏にお話を伺いました。

事例のポイント

お客様の課題
  • 新しいデータソリューションを開発するに当たり、 AWS の構築実績とノウハウを持つITパートナーを探していた
  • アジャイル手法を推進する上でも、経験豊富なITパートナーの協力が必要だった
課題解決の成果
  • AWS パートナー制度の最上位である「AWS プレミアティア サービスパートナー」のサーバーワークスを選定し、AWSサービスを活用したクラウドネイティブなアプリケーションを3ヵ月単位という短期間で開発
  • アジャイル手法にも豊富な知見を持つサーバーワークスの支援により、顧客ニーズにも迅速に対応できるプロジェクト体制を構築
新規事業プロジェクトであるデータソリューションの基盤にAWS を選択。アジャイル手法と各種AWSサービスを採用して、高品質かつ短期間でのソリューション構築を実現

三菱電機株式会社様

1921年1月設立の総合電機メーカー。タービン発電機/大型映像表示装置等を提供する重電システム事業、電力量計/産業用ロボット等を提供する産業メカトロニクス事業、衛星通信装置/レーダー装置等を提供する情報通信システム事業などを展開。

お話を伺った方:
ビジネスイノベーション本部 事業推進チーム
風況データソリューション事業プロジェクト UI・クラウド領域リーダー
小沢英之氏

  • この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

目次

建設現場などの安全性・生産性向上を支援するために、風況データソリューションを開発

三菱電機ビジネスイノベーション本部では建築やまちづくりなどの複数の領域にわたって風況データソリューションの実証実験を行っています。同社の風況データソリューションは、上空や地上の風速・風向をリアルタイムに測定することができるドップラーライダーという装置を利用し、得られたデータを専用のダッシュボード画面を介して顧客企業に提供することを目的とするものです。独自のAI技術を組み合わせ、最新の気象予報データも取り込んで分析することで、より精度の高い風況データの提供を目指しています。

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ドップラーライダー自体は既に国内外の空港や風力発電所などで導入されていますが、今回同社が実証実験の対象としたのは、建設現場と高層ビルが建ち並ぶ丸の内エリアでした。

小沢氏「建設現場は、地形や気象の変化によって様々な風の影響を受けます。特に高所で作業するタワークレーンは、強風や突風に煽られて作業の中断を余儀なくされたり、あるいは工事用エレベーターは給電ケーブルが絡まって断線し、事故に繋がるリスクが高まったりというリスクを抱えています。上空の風の状況を精細に把握することは、建設現場の安全性や生産性向上のためには必須の取り組みだと言えます」

一方高層ビルが林立する街中でも、正確な風況データを把握することが求められています。

小沢氏「街中では様々なイベントが開催されていますが、特に高層ビルが立ち並ぶ都市部では、近年の気候変動の影響もあり、風の影響が予想しにくい状況になっています。ビル外窓清掃員の方の安全確保や、イベント参加者・歩行者の方の快適性を確保するという観点からも、街中の正確な風況データを取得・分析して活用していくことが必要です。さらに今後はドローンを活用した様々な取り組みや空飛ぶクルマなど新技術の導入が加速していくことも予想されますが、そうした場面でも正確な風況データが必要になることは言うまでもありません」

こうした風況データを収集・分析・可視化するアプリケーションの基盤として同社が導入したのが、 AWS でした。

開発基盤として AWS を採用し、アジャイル手法のパートナーとしてサーバーワークスを選定

同社が提供を目指す風況データソリューションでは、ドップラーライダーから観測データを収集しますが、小沢氏は「2021年のクラウド基盤を検討した際、IoTデータの収集に関する機能を最も豊富に提供していたのがAWSでした。また AWSはアプリケーションを開発できるエンジニアの多さという点でも、優位性がありました」と話します。

そして同社が AWS 基盤構築の支援を依頼するITパートナーとして選択したのが、サーバーワークスでした。

小沢氏「パートナー企業の選定に当たって声をかけたのは、既に取引のあったITベンダーも含めて3~4社でした。選定の際に重視した要件は、 AWS の開発実績が多いことはもちろん、アジャイル手法に強いこと、そしてエンジニアの方の雰囲気でした。我々と一緒に“新しいサービスを作り上げていこう”という挑戦する姿勢、さらにはあきらめない姿勢が感じられるか、という点も重視しました。サーバーワークスについては、私自身が“クラウド”や“ソフトウェア開発”をキーワードに『会社四季報』の業界地図で調べて見つけたのですが、我々が重視した先の要件を満たしていました」

サーバーワークスは、 AWS  パートナーネットワーク AWS の最上位である「 AWS プレミアティア サービスパートナー」に2014年から継続して選定されており、様々なビジネスタイプや顧客規模、ワークロードにも対応できる豊富な経験と知見を有しています。小沢氏が一つめの要件として挙げた AWS の豊富な開発実績は、十分に満たしていました。

小沢氏「また今回は、風況データソリューションを開発するに当たって、品質と開発スピードをより高めるためにアジャイル手法で進めたいと考えていました。サーバーワークスは、ソースコードの変更履歴の管理にGitを使用し、CI/CDのベースとなるAWS Codeシリーズの扱いにも習熟するなど、アジャイル手法に対する豊富な経験を持っていることがよく理解できました。同社
の豊富な知見を得てプロジェクトを進めたことで、より短期間で実証実験を実施できるまでのソリューションを作り上げることができたと考えています」

チケットべースでのやり取りで問題解決までの時間を大幅に短縮、改善提案の内容でAWSに関する豊富な知見も実感

AWS を基盤とする風況データソリューションのアジャイル手法による開発は2021年後半からスタートしましたが、小沢氏はプロジェクトの多くの場面でサーバーワークスの実力を実感することができたと強調します。

「実は私はこれまでウォーターフォールでの開発をメインにプロジェクトを行ってきたのですが、その中ではパートナー企業と週次、月次で定例会を行うことが一般的です。しかしサーバーワークスからは“基本的に定例会は、3か月に1回程度で、ほとんど文章ベースでプロジェクトを推進する”と聞き、当初はかなり不安でした。その際にサーバーワークスから提案を受けたのがチケットベースでのやり取りで、何か質問や疑問点があれば、チケットを発行することで迅速に回答してもらえるという進め方です。この方法は我々ユーザ企業にとって、パートナー企業の取り組み姿勢や迅速な対応力が大前提となるものですが、これまでのやり取りを通じて、サーバーワークスにはそうした素養が十分に備わっていると感じました。お互いに信頼関係を築くことができているとも感じています」

その際のメリットとして小沢氏が特に強調するのが、定例会を開いていた時と比べて、問題解決までの時間を大幅に短縮できた点です。

小沢氏「週次で定例会を実施している場合、定例会の直後に疑問や課題が出てきた時には、原則として次の定例会までITパートナーに質問することができません。これに対してチケットベースでは、質問したい時にチケットを発行することで、すぐにサーバーワークスから回答してもらうことができ、コミュニケーションのスピードが向上しました。まさにアジャイル手法に最適な仕組みだと思います」

また実際のプロジェクト中、小沢氏が新たな機能追加の相談をした時、サーバーワークスは想定以上の提案内容を提示してくれたと言います。

小沢氏1000台を超えるセンサーに1台ずつ異なる電子証明書を配布するという機能を実装したいという相談をした際、私は新たなプログラム作成が必要だと考えていたのですが、サーバーワークスは“AWSの各センサーに電子証明書を配布する作業を自動化できるモジュールを使ったほうが効率的ですよ”という提案をしてくれました。こうした対応は、AWS パートナーとしてのサーバーワークスの地力を実感させてくれるものでした」

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AWS モジュールの適用範囲をさらに拡大、今後もサーバーワークスには様々な場面での支援を期待

現在三菱電機ビジネスイノベーション本部では、2023年度以降のサービスリリースを目指して、風況データソリューションのさらなるブラッシュアップに取り組んでいますが、基盤として AWS を導入したメリット、さらにはアジャイル手法を採用したメリットについて、小沢氏は次のように評価します。

小沢氏「クラウドについては、例えば東京に設置したドップラーライダーから取得した風況データを、大阪やその他の遠隔地でも共有できるという点は、非常に大きなメリットです。また随時新たなモジュールがリリースされ続けているという点も、追加機能の開発作業を支援し、リリースまでの時間短縮に大きく貢献してくれるものです。これからもサーバーワークスの協力を得ながら、 AWS モジュールの適用範囲をさらに拡大していきたいと考えています」

そしてアジャイル手法については、顧客ニーズによりマッチした機能を開発していく上で、非常に有効な方法だと強調します。

小沢氏「今回建設現場の実証実験で非常に興味深かったのは、建設会社の工事現場で作業に当たる方たちからは、現場のリアルタイムの風況データが欲しいと言われた一方、本社や企画セクションの方たちからは、作業計画を効率的に組み替えられるように予測データが欲しいと言われたことでした。一つの企業の中でも、立場や役割応じて求める風況データの種類が異なるということです。こうした多様なお客様ニーズに応えていくためには、まずはプロトタイプを作り、お客様にフィードバックをいただきながら、真に必要な機能の要件を固めていくというアジャイル手法の進め方が、非常に有効です」

同社では現在、風況データソリューションのさらなる機能拡張をサーバーワークスと共に進めているところです。

小沢氏「今後もサーバーワークスには、 AWS に関する最新情報の提供や実際の開発プロジェクトの支援を期待しています」

担当エンジニア紹介

松井 宏司
アプリケーションサービス部ディベロップメントサービス1課
松井 宏司
AWS アプリケーション・インフラエンジニア/プロジェクトマネージメント / プリセールス
2022 APN ALL AWS Certifications EngineersIoTデバイスのデータ連携・分析・可視化開発支援などの案件に参画。
好きなAWSサービスは、AWS Lambda、AWS IoT
保田 和馬
アプリケーションサービス部ディベロップメントサービス1課
保田 和馬
サーバーレスアプリケーションの開発案件やAmazon Connect案件に従事。
機械学習やデータレイク、IoTも少々。Python で綺麗(当社比)なコードを書くのが趣味。好きなAWSサービスは AWS Lambda 、Amazon Cognito
木次 恭一
アプリケーションサービス部ディベロップメントサービス1課
木次 恭一
データレイク案件やIoT案件に従事。
2022 APN ALL AWS Certifications Engineers
好きなAWSサービスは Amazon Athena
河野 剛
アプリケーションサービス部ディベロップメントサービス2課
河野 剛
SIerで業務システム開発の実務経験後、2020年サーバーワークスへ入社。
サーバーレスアプリケーションの開発案件やIoT案件を中心に参画。
最近はバックエンド、フロントエンドの両方の開発に従事。
好きなAWSサービスは AWS Lambda、 AWS App Runner
木田 稜馬
アプリケーションサービス部ディベロップメントサービス2課
木田 稜馬
サーバーレスアプリケーションの開発案件やデータ基盤構築案件を中心に従事。
言語問わずコーティングしている時間が好き。
好きなAWSサービスは AWS Lambda

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