ECサイトへのAWS導入の事例

"突発的なECサイトへの大量のアクセスをAWSのAuto Scalingで対応しています。クラウドサービスの選定は迷いましたが、サーバーワークスのサポートを受けられることも、AWSを採用する要因となりました"

2017.07.06 掲載

福岡県をベースに、総合食品メーカーとして全国展開を進める久原本家グループでは、TV放映時のECサイトへのアクセス急増に対応するためECサイトのインフラをAWSへと移行。AWSインフラのサポートをサーバーワークスが担当しています。 株式会社久原本家グループ本社 経営戦略部 情報システム課 課長 大田 秀樹氏に、インフラ移行の取組み、AWSの採用、そしてサーバーワークスのサポートを採用した経緯について詳しく聞きました。

ECサイトへのAWS導入の事例

久原本家様

1893年(明治26年)、福岡県糟屋郡久原村(現久山町)にて醤油醸造蔵として創業。以来120余年、地域に根ざし「本物」を追求し続ける総合食品メーカーとして、化学調味料・保存料無添加の調味料ブランド「茅乃舎(かやのや)」、明太子など九州のおいしいものを取り揃えた「椒房庵(しょぼうあん)」、たれ・鍋スープ・ドレッシングなどの量販店向け商品を製造・販売する「くばら」等のブランドを展開。「モノ言わぬモノにモノ言わす モノづくり」を信念に、たとえ時間がかかっても人の心と手間をかけた本当に美味しいものを味わっていただき、永きにわたり感動を生み続ける会社を目指して挑戦し続けている。

  • この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

目次

AWSにECサイト環境を構築・運用

久原本家グループにおけるAWSの利用状況について教えてください。

久原本家で運営している総合通販サイト(以下、ECサイト)はこれまで、データセンターのオンプレミスサーバー環境を構築・運用してきましたが、アクセス急増などの課題解決の為に、2016年8月にAWSに環境を再構築しています。

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久原本家グループ総合通販サイトのトップページ

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久原本家グループ総合通販サイトのシステム構成概要

ECサイトの移行・構築にあたり、サーバーワークスはどのような役割を果たしたのでしょうか。

AWSの設計・構築に限らず、前工程である企画フェーズからサーバーワークスにクラウド環境への移行を想定した提案を頂きました。また、EC開発ベンダーからのインフラに関する問合わせや、サーバーの仕様策定などにも対応して頂いております。

クラウド化でフリーズしないECサイトを目指す

ECサイトをクラウド化した経緯を教えてください。

今回の取り組みには大きく2つのミッションがありました。1つは、「フリーズしないECサイト」の実現とECサイトの「インフラ環境を最適化」するという目前の課題を解決するミッション。もう1つは、ECサイトに限らず、IT部門として「戦略や企画の立案・推進に注力する体制へと移行」するという長期的な視野に立ったミッションになります。

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株式会社久原本家グループ本社
経営戦略部 情報システム課
課長 大田 秀樹氏

まず、「フリーズしないECサイト」と「インフラ環境の最適化」について詳しく教えてください。

大変ありがたいことに、久原本家グループの商品や取り組みを様々なメディアにてご紹介頂く機会がございました。 しかし、テレビ放映直後はECサイトのインフラスペックを超える急激なアクセスが発生し、お客様にECサイトをご覧頂けないケースがございました。

一方、このようにアクセス集中時を前提としたECサイトのインフラを従来のオンプレミス環境で構築する場合、サーバー環境は勿論、ネットワーク環境などの構築・運用に掛かるコストや工数が大きく膨らんでしまいます。 そのため、AWSの強硬なインフラ環境やAuto Scalingを利用することで、急激なアクセス集中時も、サーバーリソースを自動的にスケールアウトして限りなく「フリーズしないECサイト」環境を実現すると同時に、平常時は最小限のサーバーリソースで稼働させることで「インフラ環境を最適化」を両立できると判断いたしました。

将来に向けたIT戦略・企画の立案・そしてIT化の推進に注力できるIT部門を目指す

引き続き、「戦略や企画の立案・推進に注力する体制への移行」について詳しく教えてください。

久原本家グループは創業から120余年が経ちますが、将来を見据えた新たな取り組み、業務の変革へ積極的に取り組んでいます。 一方、事業規模が拡大・多角化する中で、IT部門ではシステムの保守サポート・運用やBCP対策などに追われ、IT戦略・企画・推進など本来の役割に注力するのが難しくなっていました。

クラウドのような、新しいプラットフォームを採用することで、ITライフサイクルの様々な場面で次のような効率化・最適化を図り、「戦略や企画の立案・IT化の推進に注力できる体制へと移行」するための第一歩にしたいと考えております。

  • ・ハードウェア老朽化によるリプレース作業の軽減・解放
  • ・ハードウェアの調達から環境構築までの時間を短縮
  • ・システムインフラの維持管理や障害復旧にかかるリソースや負荷の軽減
  • ・信頼性の高いバックアップ・リストア環境の実現、BCP対策の実現

サポートベンダーが信頼できることもAWSを選択した要因

具体的に、どのような手順でクラウド化を進められたのでしょうか。

まずは、オンプレミス環境と比較したクラウドサービスのメリット・デメリット・課題、さらにはクラウドサービスのセキュリティレベルや稼働レベルを整理・確認することから開始しました。具体的な比較検討項目の詳細は次の通りです。

久原本家グループにおけるオンプレミスとクラウドサービス(AWS)との比較

まず、オンプレミスとAWSで比較しました。 拡張性、柔軟性、BCP・バックアップ、コストといった複数の観点で比較評価を行いました。拡張性の観点では、稼働後もサーバー変更・増強・収縮が可能である点、柔軟性の観点では、H/Wも含めてサービスの選択が可能である点からAWSを高く評価しました。また、BCP・バックアップの観点でも、環境維持や日々の確認業務を考慮すると、異なるリージョンへのバックアップが可能なAWSはメリットが大きいと判断しました。最後にコストの観点では固定費から利用に応じた変動費になる点もAWSにメリットが有ると判断致しました。
その上で、複数のクラウドサービスを比較検討し、利用するクラウドサービスとクラウドの開発パートナーを選定しました。

複数のクラウドサービスの中からAWSを選んだ理由を教えてください。

検討当初からAWSは有力候補でしたが、AWSを採用した具体的なポイントは次の通りです。

  • ・国内外の政府機関、大企業も採用しておりセキュリティレベルが高い
  • ・システムサービスや機能、メニューが充実している
  • ・導入実績が豊富で、導入事例も増えている
  • ・提案力、サポート力があるパートナー(サーバーワークス)がいる
  • ・グローバルなサービスが提供されている

経験や知識が豊富なだけでなく、提案力も高いので安心して任せられる

なぜ、クラウドの開発パートナーが必要だったのでしょうか。

理由は複数あります。 まず、オンプレミス環境であれば、こちらで用意したインフラ環境に合わせてアプリケーションを開発・構築する。 または、インフラの設定・構築まで一括してシステム開発ベンダーに依頼するケースが多いと思います。 しかし、クラウドを利用する場合、アプリケーションの開発ベンダーにおいて経験やノウハウが少ない為、インフラ環境に関して当社にて疑問や要望に対応、また、必要な環境の準備をしなければなりません。 当社には、クラウドに関する経験やノウハウが少なく、情報が錯綜したり、仕様が頻繁に変更になることも多いと想定しておりましたので、クラウドの最適な環境構築にはクラウド開発パートナーのサポートが必要と考えておりました。

一方、少し矛盾するかもしれませんが、AWSに関しては公式サイトに掲載されている情報や周辺情報も充実しており、ECサイトの構築・運用だけであれば開発パートナーがいなくても乗り切れたかもしれません。 しかし、今回のECサイトに限らず、今後構築するシステムのインフラとしての採用も検討していきたいと考えておりますので、AWSの潜在能力を最大限に引き出し、短期間で最適なインフラ環境を構築、そして成果を出す為には、技術力が高く経験が豊富な開発パートナーにサポート頂く方がメリットは大きいと考えました。

開発パートナーとして、サーバーワークスを選んだ理由を教えてください。

サーバーワークスを選んだポイントは次の通りです。

  • ・AWSに特化しており、経験や知識が豊富。
  • ・提案力、サポート力が高く、レスポンスも正確で速い。
  • ・営業担当者も技術的な知識が豊富で、福岡拠点のエンジニアもいるので安心。
  • ・設計・構築から監視・サポートまで一括して任せられる。

過去最大級のアクセス集中にもAutoScale機能で円滑に対応

ECサイト移行時に苦労したことはありましたか。

AWSは環境設定の自由度が高く、それがメリットですが、逆に設計時はきめ細かな部分の設計も必要となるAWSならではの特性もあります。 そのため設計段階では、当社の要件と実装に向けた設計のFit & Gapに時間を要しましたが、サーバーワークスがCMS開発とECサイト構築を担当する2社の開発パートナー、そして当社と連携を密に取りリードして頂けたので、遅延なくプロジェクトを進めることができました。

先日のテレビ放映時も、放送開始後数分でこれまで最多のアクセス数を記録しましたが、AWS環境のAuto Scalingも稼働しECサイトのサービスを提供することができました。

また、苦労ではありませんが、設計時はネットワーク・インフラがボトルネックにならないか懸念していましたが、実際に運用を開始して問題はありませんでした。

Auto Scalingの設定はどのようになっているのですか。

予め設定したCPU負荷以上になるとAuto Scalingが立ち上がるように設定していますが、定点観測を行いつつサーバーワークスからも定期的にアドバイスを頂いています。また、実際にAuto Scaling起動から完了までのリードタイムも余裕を持って対応できるよう、現在の設定としております。

サーバーワークスへの評価と今後の期待

サーバーワークスへの評価をお聞かせください。

サーバーワークスの担当者は親しみやすく、気軽にAWSに関する疑問や課題をご相談させて頂いております。また、可能なこと、不可能なこと、そして想定していなかった新たなアイディア・提案を含め的確なアドバイスを示してくれるので信頼できます。AWSから直接受けられるサポートは限定的なので、福岡でサーバーワークスに直接サポートして頂ける安心感は大きいと感じております。

また、サーバーワークスは対応が迅速なので、当社も開発パートナーもそのペースで進めることでプロジェクトをスムーズに進めることができました。

最後に、サーバーワークスへの要望や期待があればお聞かせください。

今後の新規システム、新規サービスに関しては、AWSへの移行、新設を積極的に検討していきたいと考えております。  これからもAWSインフラの開発パートナーとしてサーバーワークスに大いに期待しています。

これからAWSを活用する企業が増えてくると思います。福岡拠点の体制強化にも取り組んでもらえればと思います。

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株式会社サーバーワークス 小室 文(左)、高田 知典(右)

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