新たなシステム基盤としてAWSを採用し、業務システムを移行。安定運用を実現し、クラウドネイティブなアーキテクチャにもチャレンジ

衛生陶器をはじめとする住宅設備機器の製造・販売を手がけるTOTO株式会社は、デジタル技術の活用を重要な経営課題の1つに掲げ、新たなシステム基盤としてアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用しました。
2018年から2021年の3年間で大部分の業務システムを移行。現在はAWS活用推進チームを結成し、サーバーレスやコンテナ化の勉強会などの活動を通じてAWSの活用レベルを高め、クラウドネイティブ化を進めています。
事例のポイント
Before
お客様の課題
- 業務システムのAWS移行
- AWS活用の高度化、運用保守体制の強化
- クラウドネイティブなアーキテクチャへのシフト、モダナイゼーション
After
課題解決の成果
- 業務システムのAWS移行を約3年で完了
- 障害の発生頻度が大幅に減少、運用保守の安定性が向上
- BCP/DR環境の構築
- クラウドネイティブな開発手法の浸透
- サーバーレスの推進
導入サービス
Index
AWSをシステム基盤として採用し、約3年間で移行を実現
TOTO株式会社では、2021年度からグループ全体で進める10カ年の新共通価値創造戦略「TOTO WILL2030」を掲げ、新たな体験価値の創出を目指しています。同社は、2016年からクラウド活用の検討を開始し、AWSを採用しました。
その後、サーバーワークスはAWS活用のパートナーとして、2018年7月から2021年3月にかけてAWS構築・移行支援を実施。現在もシステム運用、システム構築、AWSの活用推進などの支援を継続しています。
また、BCP/DR対策として海外リージョンを活用した事業活動の継続に不可欠なシステムのバックアップ環境も整備しました。
AWS活用推進チームを編成し、クラウドネイティブな開発を実践
システムのAWS移行を終えた2021年4月以降、新たなスコープになったのが、クラウドネイティブなアーキテクチャへのシフトに向けたモダナイゼーションでした。その第一歩として、ITチーム内でAWSサービスの利用を広げるための組織横断的なAWS活用推進チームを編成しました。TOTOインフォム株式会社 システム技術本部 システム技術部 システム技術グループの前田和男氏は次のようにコメントしています。

前田 和男 氏
「AWS活用推進チームは、TOTOの情報企画本部とTOTOインフォムで業務アプリの開発を担当するメンバーを中心に『サーバーレス開発』『コンテナ開発』『データレイク開発』の3チーム体制でスタートしました。当初は10数名のメンバー構成でしたが、徐々に人数を増やしながら活動を続けています」
初年度の2021年は主に座学の勉強会を実施し、2年目以降はハンズオン形式でミニアプリを開発しながら技術を習得していきました。この活動をきっかけに、2024年度は実案件化したものも出てきています。TOTOインフォム システム技術本部 システム技術部 部長の石井博史氏は、これまでの成果について次のようにコメントしています。

石井 博史 氏
「クラウドネイティブな開発を社内に浸透させるべく、業務アプリの開発部門が新たな案件を手がける際は、AWS活用推進チームの事務局がAWSサービスを活用できるかどうかの判断やアドバイスなどを行っています」
サーバーワークスの訪問支援でAWS活用のスピードが向上
事業を支える広範なシステムのAWS移行から始まったサーバーワークスの支援は現在も継続しており、その内容はAWS環境の運用・保守・監視からアーキテクチャの設計支援、モダナイゼーションまで多岐にわたります。
週に1回、AWS運用をはじめとする周辺の技術領域も含めたオンライン・ミーティングを開催しているほか、2023年5月からはサーバーワークスのエンジニアが2週間に1回、3日間にわたって北九州市小倉のオフィスを訪問する形で直接的な支援も行っています。
「訪問支援では、TOTOメンバーと小倉で直接コミュニケーションを取っていただくことにより、開発中の小さな課題を早期に把握し、手戻り削減や課題解決時間の短縮ができ、プロジェクトを円滑に進められました。また、AWS活用推進チームMTG内でのアドバイスや、ITチームを対象とした月1回のAWS勉強会の実施など、AWSの啓蒙活動も行っていただいています」(前田氏)
TOTOインフォム システム技術本部 システム技術部 システム技術グループの松岡文雄氏も、サーバーワークスのエンジニアによる直接支援の意義をについて下記のようにコメントしています。

松岡 文雄 氏
「訪問支援によってTOTOの現状や開発担当者が困っていることを肌感覚で理解していただけるので、話が通じやすくなったと感じています。AWSに関する技術的な疑問はその場で解決することができ、検証環境などもすぐに構築してPoCを実施できるようになるなど、AWS活用のスピードは着実に向上しています」
こうしたサーバーワークスの支援から生まれた成果の1つがAWSの運用保守の安定性です。以前と比べて基盤障害の発生頻度は大幅に減少し、運用負荷も軽減しました。インフラ調達やリソース増強などの対応も迅速で、長年の支援でサーバーワークスがTOTOのインフラ設計やセキュリティポリシーを理解しているため、開発案件が発生した際にスムーズに対応できる点もメリットだといいます。
「AWSへの移行後は、システム障害が業務に及ぼす影響を最小限に抑えることができ、各種システムの安定稼働につながっています」(石井氏)
クラウドネイティブ案件を拡大しAWS活用をさらに加速
今後はTOTOグループ内におけるクラウドネイティブな開発案件を増やしていく計画です。この牽引役となるAWS活用推進チームでも、より多くのメンバーを募りながら、将来につながるさまざまな検証プロジェクトを推進していく予定です。
「AWSの利用拡大に伴い、各AWSアカウント間の連携や、運用管理の効率化が必要になってきているため、現在 AWS Organizationsの利用検証をサーバーワークスの支援を受けながら進めています」(松岡氏)
サーバーワークスにはAWSの運用支援のほかにも、アプリ開発や内製化など幅広い支援に期待を寄せており、TOTOグループはAWSの活用レベルをさらに高めていく考えです。

TOTO株式会社様
衛生陶器、ウォシュレット、水栓金具、洗面化粧台、ユニットバス、システムキッチンなどの水まわりの住宅設備機器の製造・販売を中心に国内外で幅広くビジネスを展開。また、住設事業の衛生陶器分野などの技術やノウハウをさまざまな形で活かす「セラミック事業」はTOTO事業の第3の柱として、次世代半導体製造装置向けの部材などの開発を進めている。TOTOグループのシステム部門を担うTOTOインフォム株式会社は、本プロジェクトをはじめ、グループ全体のIT領域をリードしている。
お話を伺った方
- 石井 博史 氏
- TOTOインフォム株式会社 システム技術本部 システム技術部 部長
- 前田 和男 氏
- TOTOインフォム株式会社 システム技術本部 システム技術部 システム技術グループ
- 松岡 文雄 氏
- TOTOインフォム株式会社 システム技術本部 システム技術部 システム技術グループ
※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
担当プロジェクトメンバー
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エンタープライズクラウド本部 本部長 倉田 淳
長年のIT企業での経験を活かし、クラウド黎明期から一貫して事業を推進してきました。
前職では大手通信会社のICT専門企業でクラウド部門の責任者として、ソリューションの企画から開発、セールスまで幅広く担当。
2022年11月にサーバーワークスへ入社後は、エンタープライズ企業を支援する部門の責任者として、製造・販売部門が一体となった組織を率い、お客様に寄り添いDXを伴走支援を行っています。 -
エンタープライズクラウド本部 エグゼクティブフェロー DX推進コンサルタント 土屋 雄多
前職で2011年のAWS東京Region稼働時に小売基幹システムのLiftを手掛ける。クラウドの可能性を感じ約17年間務めたシステムコンサルティング会社から2014年よりサーバーワークスに入社。
エンタープライズ企業へのAWS導入提案、企画、構築~運用、CCoE組織組成、DX推進を多く手掛ける。ファミペイなど大規模案件ではPMOとしてプロジェクト全体の推進にも従事。
流通小売業、金融業、製造業、医療などの業種業界の経験も豊富。また、メインフレーム>オープンシステム>インターネット>クラウドまでITの変遷を渡り歩いている -
エンタープライズクラウド本部 クラウドリライアビリティ課 担当 道明 芳隆
前職では、公共・文教領域における大規模環境のインフラエンジニア、プロジェクトマネージャー、プリセールスなどを担当。
様々な経験を積む中で「どうしてもAWSに関わる仕事がしたい!」という想いに駆られ、2022年にサーバーワークスへ入社。
エンタープライズ企業を支援するエンジニアとして、プログラムマネージャー等の役割を持ちつつ、AWSの導入や活用に関わるコンサルティング支援に従事中。
選ばれる3つの理由
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Reason 01
圧倒的な実績数による
提案力とスピード- 導入実績
- 1480 社
- 案件実績
- 27100 件
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Reason 02
AWS認定の最上位
パートナーとしての技術力 -
Reason 03
いち早くAWS専業に
取り組んだ歴史