3・11の震災直後、日本赤十字社様のホームページにアクセスが殺到して、サイトがダウン。一刻も早くサイトを復旧し医療救護活動の情報やボランティア希望者への正確な情報を伝達するため、「爆速ホスティング」を利用してサイトを迅速に復旧。それ以降も続く高アクセスの中でもサイトは稼働し続けました。
日本赤十字社様
本社所在地: 〒105-8521 港区芝大門1-1-3
設立: 1877年
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
目次
導入サービス 導入の背景と経過
3・11の大震災
3・11の震災直後から、日本赤十字社様のホームページにアクセスできなくなってしまった。被災された方は、「どこに行けば緊急医療サービスが受けられるのか」被災されていない方は、「寄付やボランティアを行うにはどうすればよいのか」という情報を求めて、同社のホームページにアクセスが殺到したためだ。
「通常の50倍〜70倍ものアクセスが殺到したのです。契約しているサーバー業者さんに緊急で増強をお願いしましたが、リードタイムもかかるし、何より数台の増強で本当にまかなえるのか、確信がありませんでした。」(日本赤十字社 企画広報室 杉山様)
その時、サーバーワークスは
震災後、交通機関が麻痺している中、多くの企業がデータセンターへ技術者を派遣したり、自社インフラの修復・復旧作業といった自社の業務に追われていた。 ところが、サーバーワークスは2008年より社内サーバーの購入を一切停止しており、社内のサーバーは全てAmazon Web Services(AWS)に移行していたため、震災後もハードウェアのメンテナンスは一切必要なかった。
日赤様からのアプローチ
このため、震災直後もサーバーワークスでは一切のハードウェアトラブルがなく、その確認も監視システムで10分以内に完了した。 そもそも、社内インフラは、Amazon Web Servicesの米国西海岸とシンガポールの拠点を使っており問題は起きないと認識していたことに加え、万一障害があった場合は、監視システムによって10分以内に警報がくる仕組みになっていた。
そこで、サーバーワークスではITボランティア活動の実施を決定。3月13日には、対外的に「ITボランティア活動を行う」ことを宣言し、14日より具体的な活動をはじめた。
偶然その発表を見ていた日本赤十字社様の関係者がサーバーワークスへコンタクトを取り、ホームページの状況について説明。14日には日本赤十字社で具体的な打ち合わせを始めていた。
実は、同社へ訪問する前から、ホームページを復旧するための準備は終えてあった。爆速ホスティングであれば、約30分でコンテンツをアップロードするためのサーバーの準備、コンテンツを配信するCDN(高速コンテンツ配信ネットワーク)の準備、IDとパスワードの準備を完了出来る。今回は、どのサイトにアクセスが殺到しているのかはっきり分かっていたので、先にインフラの準備を終えてから打ち合わせに臨んだ。
ソリューション
今回の震災で、日本赤十字社様のホームページに想定以上のアクセスが集中したことにはそれなりの理由がある。先の中越沖地震で、義援金詐欺が頻発し社会問題にまでなったのだ。この教訓を生かし、ネット上では「義援金を払うなら、日本赤十字社 様に直接払うのが一番確実」という情報がtwitterやfacebookを通じて瞬間的に広まり、そのために想定を超えるアクセスが集中したのだ。
サーバーワークスが提供した「爆速ホスティング」は、静的コンテンツ専用の配信サービスで、バックエンドにはAmazon CloudFrontと呼ばれるコンテンツ配信ネットワークを利用している。
世界中に分散されたキャッシュサーバーからコンテンツを配信するため、アクセスが集中しても、サーバーダウンとは無縁で、高速にコンテンツを配信できる点が大きな特徴だ。今回のように急遽予想外のアクセスが殺到した場合でも、最速30分というリードタイムで対応できる点も、クラウドならではの大きな魅力と言える。
【震災直後のサーバーワークスの対応】
3/11 14:46 震災発生
直後に日本赤十字社様のサイトダウン
3/14朝 Amazon Web Servicesとサーバーワークスの協力でAmazon CloudFrontを利用した爆速ホスティングサービスの無償提供が実現
爆速ホスティングによりサイト復旧
5/1 通常サーバーへ切り戻し
結論
直後の混乱が落ち着いてからは、日本赤十字社様のホームページも通常のサーバーに切り戻したという。こうした切り替えを、極めてスピーディーに行うことができたのもクラウドならではだ。
大規模な災害は、起きないに越したことは無い。しかし、万一起きてしまった場合でもクラウドが頼りになる存在だということがわかった。クラウドは、平時、緊急時に関係なく、これからのITインフラとしてその存在感を増していくであろう。
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