AWSの料金体系｜課金要素や算出方法、AWSの料金を最適化するコツ

AWSの料金体系

AWSでは、使った分だけ料金が発生する「従量課金制」が基本です。EC2インスタンスの利用時間やAmazon S3の保存容量など、実際に使ったリソース量に応じて課金されます。必要な分だけ使える柔軟性がある一方で、サービスごとに料金体系が異なるため、全体像を把握しておくことが重要です。

AWSの課金方式と購入オプション

AWSの主な課金方式は以下のとおりです。

• オンデマンド課金：利用した分だけその都度課金。短期利用や検証環境向き。
• リザーブドインスタンス（RI）：特定のEC2インスタンスを1〜3年単位で予約。長期利用前提で最大72%程度の割引が適用されます。支払い方法は前払い・部分前払い・後払いから選択可能。
• セービングプラン（SP）：リソースの種類を問わず、一定量の使用をコミットすることで割引が適用される柔軟な料金プラン。RIよりも適用範囲が広く、変動のある運用に向いています。
• スポットインスタンス：余剰リソースを格安で利用できる方式ですが、中断リスクがあります。

契約するサービスによって料金が異なる

AWSの各サービスは、用途や構成によって料金が大きく異なります。

• Amazon EC2：インスタンスタイプ・サイズ・リージョンで単価が変わります。
• Amazon S3：ストレージクラス（Standard／Glacierなど）や使用容量、APIリクエスト回数などが課金対象になります。

また、複数サービスを組み合わせることで、より効率的なシステム構成とコスト最適化が可能です。たとえば、Amazon EC2でアプリケーションを動かし、Amazon S3でデータを保管しつつ、オートスケーリングやライフサイクルポリシーを活用することで、必要なときだけリソースを拡張・削減でき、無駄な支出を抑えることができます。

AWSの料金を算出する際の課金要素

AWSでは、大きく分けて「サーバー」「ストレージ」「データ転送」の3つが主な課金ポイントです。以下、それぞれの要素について説明します。

サーバー（Amazon EC2など）

AWSの仮想サーバーであるEC2インスタンスは、インスタンスタイプ（性能）やサイズ、リージョンによって料金が異なります。

• vCPU数、メモリ量、ストレージ性能によって細かく分類
• 同じインスタンスでも、東京リージョンとバージニアリージョンでは料金が異なる
• 稼働時間単位（1秒〜）での従量課金が基本

ストレージ（Amazon S3、Amazon EBSなど）

ストレージサービスでは、保存容量・保存期間・アクセス頻度によって料金が変動します。

• Amazon S3：ストレージクラス（Standard／Glacier／Intelligent-Tieringなど）ごとに単価が異なる
• Amazon EBS（ブロックストレージ）：Amazon EC2に紐づくストレージで、GB単位で課金される
• スナップショット（バックアップ）も料金対象になる

データ転送（通信）

AWS外部へのデータ送信は「データ転送（アウトバウンド）」として課金されます。

• 外部インターネット宛：転送量に応じた段階制課金（例：最初の1GBは無料、以降〜GBごとに単価が変わる）
• 同リージョン内の転送：多くの場合無料
• 他リージョン間の転送：有料

特に、WebアプリやAPIなどで大量のデータを外部へ送る場合は、通信コストがボトルネックになりやすいため要注意です。

料金が想定より高くなる原因

AWSのコストが「思ったより高い」と感じる原因は、設計や運用の中に潜んでいることが多くあります。ここでは、特に初心者が見落としがちな課題ポイントを整理します。

① 未使用リソースの放置

EC2インスタンスを停止していても、アタッチされたAmazon EBS（ブロックストレージ）には課金が継続されます。一時的な検証やテスト用に立てたインスタンスのストレージを放置してしまうケースは非常に多く、コストがかさむ原因になります。

② データ転送のコスト試算ミス

AWS外部へのアウトバウンド通信は従量課金です。Webアプリケーションやメディア配信など、大量のデータを外部に送信する構成では、この通信コストが予想以上に膨らむことがあります。特にCDNを使わずに静的コンテンツをAmazon S3経由で直配信している場合などは要注意です。

③ スナップショットやログの蓄積

定期バックアップ（スナップショット）やCloudWatchログが自動で溜まり続けることも見逃されがちです。使わないバックアップや古いログを整理せず放置していると、数か月後に数十GB〜数百GB分の課金が発生しているケースもあります。

④ リージョンごとの料金差を無視している

AWSはリージョンによってリソース単価が異なります。たとえば、東京リージョンは北米に比べて割高な傾向があり、同じ構成でもコストが数十％変わることもあります。機密性や遅延要件が厳しくないシステムであれば、他リージョンを検討することでコスト削減につながる場合があります。

AWSの料金を算出する方法

AWSで導入前に料金感を把握したい場合は、「AWS Pricing Calculator」という公式の料金計算ツールを使用します。構成やデータ転送量、ストレージ容量からおおよその月額料金や年間コストをシミュレーションできます。

AWS Pricing Calculator の基本ステップ

1. 対象サービスを選択
   1. Amazon EC2やAmazon S3など利用予定のサービスを選ぶ。複数サービスも組み合わせ可能。
2. 構成を入力
   1. インスタンスのタイプ／リージョン／台数／稼働時間／ストレージ容量など、具体的な条件を入力する。
3. 見積もり結果を確認
   1. 月額・年額の見積もりが一覧で表示され、構成ごとの内訳も確認可能。
4. PDF出力や共有リンクの作成
   1. 社内共有や稟議資料に活用できるレポートとして出力可。

公式ツールはこちら → AWS Pricing Calculator（英語）

なお、サーバーワークスではAWSの適切なサービスの組み合わせをご提案し、お見積もりをいたします。料金の算出に関してお悩みのご担当者様は、お気軽にお問い合わせください。

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AWSの料金を最適化するコツ

AWSの料金を最適化するためには、いくつかのコツがあります。すぐに取り組める代表的な最適化施策を紹介します。

無料枠を利用する（導入・検証フェーズ向け）

AWSには、一部サービスを無料で使える「無料利用枠」が用意されています。

• 例：Amazon EC2（t2.micro）やAmazon S3、AWS Lambdaなどが対象
• 12か月限定のものと、常時無料のものがある
  • 新規導入や検証目的なら、まず無料枠を使い切るのが鉄則

リザーブドインスタンス（RI）とセービングプラン（SP）の導入

長期的な利用が前提なら、事前にリソース利用量をコミットすることで大幅な割引を受けられます。

• RI：特定のインスタンスを1〜3年単位で予約（最大72%割引）
• SP：リソースの種類を問わず、柔軟に適用できる割引プラン
  • 安定運用ならRI、変動がある構成ならSPが向いています

不要なリソースの削除・停止（運用管理向け）

AWSでは、リソースを停止しただけでは課金が止まらないケースがあります。たとえば、EC2インスタンスを停止しても、アタッチされているAmazon EBS（ブロックストレージ）の料金は引き続き発生します。また、使われていないS3バケットや、蓄積されたままのCloudWatchログ、スナップショットなども放置されがちです。

これらの不要リソースは見落とされやすいコスト要因であり、定期的な棚卸しによって無駄な支出を削減できます。AWS運用においては、「不要なものをこまめに削除する」ことがコスト最適化の基本です。

AWSのコスト最適化ツールを活用する

AWSには、費用の状況を把握・管理するための専用ツールが用意されています。「AWS Cost Explorer」では、サービスごとの使用量や費用をグラフで可視化でき、トレンド分析も可能です。また、「AWS Budgets」を使えば、あらかじめ予算を設定しておくことで、超過しそうなタイミングでアラートを受け取ることができます。

スポットインスタンスを活用する（検証・バッチ処理向け）

Amazon EC2には「スポットインスタンス」という、余剰キャパシティを活用する割引制度があります。オンデマンドインスタンスに比べて最大90％安価に利用できるため、コスト削減効果は非常に高いです。ただし、AWS側の都合でインスタンスが中断されるリスクがあるため、本番環境には不向きであり、検証用途やバッチ処理など一時的な利用に限定するのが基本です。

リージョン選定によるコスト差の活用

AWSはリージョンごとに料金設定が異なり、同じ構成でも東京リージョンは米国リージョン（オレゴンやバージニアなど）より高い傾向があります。そのため、サービス要件に支障がなければ、コストが低めのリージョンを選択することで月額数十％の削減が可能になるケースもあります。ただし、通信遅延・法的制約・セキュリティポリシーなどの要件とのバランスを見て判断する必要があります。

請求代行サービスの活用（日本企業向け）

公式サイトから直接契約する方法以外にも、国内の販売代理店経由で契約する方法があります。代理店によっては、割引料金が適用されるほか、日本円での請求書払い・日本語によるサポートといった独自のメリットがあります。特に社内で経理フローを整えたい企業や、日本語対応を重視する場合には、請求代行サービスを活用することでコスト面と運用面の両方でメリットを得られます。

AWS公式のコスト管理ツールの紹介

AWSでは、コストを「見える化」し、効率的に最適化するための公式ツールが複数提供されています。それぞれの機能を理解し活用することで、無駄なコストの早期発見と継続的な削減が可能です。

AWS Cost Explorer：使用状況と費用の可視化

「AWS Cost Explorer」は、過去の使用状況と料金をグラフで可視化できるツールです。
サービス別や日別、アカウント別の分析が可能で、「どのサービスが、いつ、どれだけコストを使っているのか」が一目で把握できます。
傾向を掴むことで、不要なリソースやコストがかかりすぎているサービスを洗い出すことが可能です。

AWS Budgets：予算管理とアラート通知

「AWS Budgets」は、あらかじめ設定した予算や使用量に基づいて、コストが上限に近づいた際にアラートを通知してくれるツールです。
通知はメールやSNS経由で受け取ることができ、予算超過の未然防止に役立ちます。
特にマルチアカウント環境でのコスト管理や、社内承認フローのある企業にとっては重要な機能です。

AWS Trusted Advisor：コスト最適化の自動提案

「AWS Trusted Advisor」は、AWSが自動的に実行するチェック結果に基づき、コスト・パフォーマンス・セキュリティなど複数の観点で最適化アドバイスを提供するサービスです。
とくに**「未使用リソースの削除」「低コスト代替プランの提案」など、実践的な削減施策**が得られるのが特長です。
ビジネスサポート以上のサポートプラン契約が必要ですが、コスト削減に本格的に取り組みたい場合は有力な選択肢となります。

よくある構成とその料金目安（ユースケース別の試算例）

AWSを検討・運用する際に、「どのくらいの料金になるのか？」という感覚をつかみづらいという声は少なくありません。ここでは、よくある3つのユースケースにおける、ざっくりとした月額料金の目安を紹介します。
※あくまで一例であり、構成・使用状況により変動します。

① 小規模Webアプリの構成例（目安：月3万円以下）

• Amazon EC2（t3.small）×1台（Webサーバー）
• Amazon RDS（MySQL）×1台（小〜中規模DB）
• Amazon S3（静的ファイル保存）
• Amazon CloudFront（CDN）＋SSL証明書
• 転送量：月100GB前後

特徴：個人開発やスモールビジネスのWebアプリ、コーポレートサイト向け
ポイント：RIやSPを活用すれば、さらに数千円〜1万円単位で削減可能

② 社内バックアップ用途の構成例（目安：月1万円以下）

• Amazon S3（StandardまたはGlacier Deep Archive）
• 転送量：控えめ（社内ネットワークからのみ）

特徴：ファイルサーバーのバックアップやログ保管用としての活用
ポイント：アクセス頻度が低いならGlacier系にすることで、コストを大幅に抑えられる

③ 中規模業務システムの構成例（目安：月10万円以上）

• Amazon EC2（m6i.large など）×複数台（Web/AP層、冗長化構成）
• Amazon RDS（Amazon Aurora／Multi-AZ構成）
• Amazon S3＋AMazon CloudFront
• AWS WAF、ALB（アプリケーションロードバランサー）
• Amazon CloudWatchによるログ管理／監視
• 転送量：月500GB〜1TB

特徴：SaaS、業務システム、ECサイトなど可用性・セキュリティが求められる構成
ポイント：マルチAZ構成やオートスケーリングで信頼性を高めつつ、RIやSPでコストを抑える必要あり

これらの目安を参考に、自社の利用目的・システム規模に近い構成をベースに「AWS Pricing Calculator」での見積もりを行うと、より実態に即した費用感が得られます。

AWSのコスト最適化のために料金体系を理解しましょう

AWSは200を超えるサービスの集合体であり、それらを組み合わせることでビジネスを大きく加速できます。一方で、従量課金制であるため、コストが予想以上に加算されることも少なくありません。AWSのコストを最適化するには、料金体系をしっかりと把握し、無駄なくサービスを利用することが大切です。

AWSの導入や見直しを検討中で、「最適な構成を組みたい」「予算内におさめたい」とお考えであれば、ぜひサーバーワークスにご相談ください。貴社のシステム要件や運用スタイルに合わせて、最適なサービス構成と具体的な料金見積もりをご提案します。

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