AWSによるBCP対策の事例

"大規模災害に備え、AWSでグローバルなBCP環境を構築。さらに、運用管理コストの削減も実現"

2014.05.29 掲載

歯科医院や歯科技工所で使われる歯科医療機械・器具・薬品の販売を軸に、歯科医院運営の経営コンサルティング、さらには福祉機器のレンタル・販売まで展開しているササキ株式会社様。同社では、2007年ごろから本格的にBCP(事業継続計画)に取り組んで来た。また一方で、システムの運用の手間を削減し、情報システム部の本来業務に注力したいという思いもあった。これらの課題を解決するため、同社はAWSの採用に踏み切った。
今回はAWS導入プロジェクトのPMを務めた同社取締役 情報システム部部長 時久和雄様、およびPL 情報システム部 課長 野澤昌弘様、IAサーバーAWS移行チームの技術リーダー 栗林滝様に、その狙いと効果についてお話を伺う。

AWSによるBCP対策の事例

ササキ株式会社様

本社所在地:〒440-8518 愛知県豊橋市八町通5-7
歯科医院および歯科技工所向けに歯科医療機械や器具・材料・薬品などの販売、歯科診療所開設のための経営相談、福祉機器の製造・販売・レンタルなどを行っている。同社の特徴は、一部に偏らず、すべてのメーカーの機械・器具を揃えていること。特にインプラントシステムやレーザー治療機器では、優秀な商品を取り扱っていることで知られる。

  • この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

目次

BCP対策としてデータセンターへのアウトソーシングを検討

ササキ様の事業について教えてください。

時久様:主として歯科医院や歯科技工所向けに歯科医療機器や器具・薬品などの卸売業を営んでいます。当社の事業の特徴は、全国展開を行っていることです。また、競合他社との差別化を図るため、インプラントシステムやレーザー治療機器など、他社ではなかなか扱えないような商品も扱っています。

なぜAWSを導入することになったのでしょうか。

時久様:愛知県豊橋市にある本社のサーバーを全国52拠点で利用していますので、東海地震などの広域災害に対する備えが必要です。被災などの原因でのシステム停止が、被災していない地域のビジネスにも影響を与えることは避けなければいけません。
そこで当社では、2007年ごろからBCPについて本格的な検討を開始しました。検討が完了した2009年ごろから、バックアップの媒体を社外に預けたり、緊急連絡網を構築したりというところからスタートしましたが、いずれは複数のデータセンターを利用するというイメージはこのころから持っていました。
従来、当社の基幹システムはオフコン(AS/400)、グループウェア(サイボウズガルーン)やBIシステム(Dr.Sum)などの情報系システムをIAサーバーで稼働していました。オフコンは5年前にリース契約が切れたのですが、将来のアウトソーシングを見越して契約を延長。一方のIAサーバーも4年前の更新時に仮想化ソフトウェア「VMware」を導入し、いつでも移行できるよう準備は進めていました。

どのような観点からデータセンターを探したのでしょうか。

時久様:具体的にデータセンターの選定を始めたのは2012年のことだったと思います。そのときの絶対条件がハウジングではなくてホスティングで実施してDRサイトも構築することでした。当初は基幹システムと情報系システムの両方を1社に委託できるところを探していたの ですが、条件の合うところがなかなか見つからず、別々に預けることにしました。今回、AWSに移行したのは情報系システムの方です。

AWSが候補に上がったきっかけはなんだったのでしょうか。

野澤様:実は、長年お付き合いしている某キャリアからAWSを逆提案されたんです。そのキャリアが運営するデータセンターも候補の1つだったのですが、話を聞くとバックアップサイトとレプリケーションがうまくとれず、コストも現実的ではありませんでした。がっかりしていたところ、先方から「AWSを使ってみては」と提案を受けたのです。

時久様:私たちも「なぜ自社のデータセンターがあるのにAWSを提案するのだろう」とちょっと驚きました。聞けば、ちょうどそのとき、AWSを使った新しいビジネスを始めたばかりだったそうです。

AWSのほか、どんなサービスと比較・検討を行ったのでしょうか。

栗林様:2013年3月からAWSと国内キャリア2社のサービスを対象にテストを始めたのですが、AWSの使い勝手の良さに驚きました。私はこのときAWSに初めて触ったのですが、簡単にサーバーを作ったり、瞬時にスペックを変更したりできました。これならバックアップも簡単にとれそうだと思いましたね。

時久様:もう1社のサービスはVMwareをベースとしていたため、これまでと使い勝手が変わらず魅力的だったのですが、バックアップの仕組みに柔軟性が欠けていました。もう1社はAWSと同形態のサービスでしたが、こちらからの質問へのレスポンスが遅いなどサポート体制に問題がありました。そこでAWSを採用することに決めたのです。

サーバーワークスの柔軟な対応力、AWSへの熱い思いが決め手に

AWSのベンダーとしてサーバーワークスを選んだ理由を教えてください。

時久様:検討対象となったのがサーバーワークスと大手SIerのA社です。サーバーワークスは専業という点では評価していたのですが、運用保守に少し不安がありました。しかし、サーバーワークスが24時間365日のシステムの運用・監視を開始したと知り、任せてみようという事になりました。

栗林様:両社ともほぼ同じようなサービス内容だったのですが、運用面で細かいところに差がありましたね。例えば、A社では電話対応、休日対応が不可、質問回数にも制限がありましたが、サーバーワークスは夜や休日でも柔軟にスピード感を持って対応してくれました。
さらに、サーバーワークスの技術者と話していると、みなさん「技術が好き」「AWSに惚れ込んでいる」という気持ちが伝わってくるんです。親身になって相談に乗ってくれるし、レスポンスも速い。現場のリーダーとしてはこんな人たちと一緒にプロジェクトを進められたらと思いました。

野澤様:こうした柔軟性の高さとコストの面での優位性が決め手となり、ベンダーとしてサーバーワークスを選択し、2013年9月からAWSへの移行プロジェクトを開始しました。

移行にはどれぐらいの時間がかかったのでしょうか?

野澤様:約2カ月という短期間で構築から稼働までこぎ着けることができました。本番環境を使ったテストでは、いくつか小さなトラブルが発生しましたが、サーバーワークスの技術者に相談し、ひとつひとつ解決していきました。また、本番稼働直後に、グループウェアがフリーズ気味になったので、インスタンス(仮想サーバ)のスペックを上げるという変更を行いました。このような問題に対して瞬時に対応できるのもAWSだからですね。実際、変更にかかった時間は5~10分程度。以後はスムーズに動いています。概ね順調ですね。

運用の手間を大幅に削減、本来の業務に注力

導入の効果について教えてください。

時久様:情報系システムのBCP環境を構築できました。現在、本番サイトを東京、DRサイトをシンガポールに置いています。これにより、例え本番サイトに障害が発生しても、業務を継続することが可能になりました。また、バックアップの時間や手間も大幅に削減しています。同時期に基幹システムのBCP環境も構築できましたので、より安心できる環境になりました。

栗林様:従来はテープでバックアップをとっていたのですが、実はその仕組みが脆弱で、バックアップの最中にエラーを起こしてサーバーがフリーズするなど、余計な手間がかかっていたのです。今回、AWSを導入したことでその苦労がなくなったのは、本当に嬉しいですね。

時久様:ハードウェアの障害を心配する必要もなくなりました。これらをすべて考慮すると、年間で3人*月程度の運用・管理にかけるリソースが節約できたと思います。金額的な面で言うと、情報系システムに関わるコストの約2割が削減できたのではないでしょうか。

生まれた余裕はどのようなことに活用していこうと考えていますか。

栗林様:本来の業務である企画的な仕事に取り組んでいきたいと思います。当社は営業が主力となる会社ですから、一人一人がより働きやすくなる仕組み、より売り上げを上げられるような仕組みを提供していきたいですね。

時久様:今後は、システムの企画・開発のウエイトを高めていきたいと考えています。

最後にAWSおよびサーバーワークスへの評価・要望についてお聞かせください。

栗林様:機能面での要望なのですが、現在、バックアップのスケジューリングに関してより柔軟性をもたせたいと思っています。サーバーワークスと相談しつつ進めていきたいと思っています。

野澤様:災害発生時の対応について、万が一の際には、日ごろ同様、スムーズな対応を期待しています。

時久様:サーバーワークスを選んで本当に良かったと実感しています。これからもよろしくお願いします。

ありがとうございました。

case_sasaki.jpg

構成図

case_sasaki_simple.jpg

構成図(AWS Simple Iconsバージョン)

まとめ

ササキ株式会社様はBCP対策、および情報システム部を運用の手間から解放することを目的に、システムをAWSへ移行。東京ーシンガポールというグローバルな、BCP環境を構築するとともに、バックアップをはじめとする運用の手間を大幅に削減し、営業支援、その他企画的な業務に時間と人を投入することが可能となった。

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