Amazon Connect 社内事例

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2021.09.30 掲載

2019年12月、サーバーワークスではAmazon Connectを導入し、代表電話対応を効率化しました。Amazon Connectを導入する以前、代表電話対応自体に大きな問題はありませんでしたが、営業時間の判定がない、テレワーク、リモートワークを推奨しているがオフィスに出社しないと対応ができないなど一部制約もありました。
この度の代表電話へのAmazon Connectの導入では、その制約による不便さを解消するだけでなく、SlackやSalesforceなどのSaaSと連携しAWSの関連各種サービスを最大限利用することで電話対応の質を向上させています。

  • この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

目次

なぜ代表電話対応でAmazon Connectを導入したのか

サーバーワークスは、お客様に提案する技術に対してはまず自分たちが試してから、というドッグフーディングの文化があります。Amazon Connectは単なるコールセンターのシステムではなく、「電話」自体を機能拡張できる、自由度が高く、さまざまな活用方法があるのです。

サーバーワークスの東京オフィスはフリーアドレスで、一部の席にのみ電話が設置されています。よって、電話が設置されている席に座ったメンバーしか、電話対応ができないという問題がありました。またどのような要件の電話がかかってきているかという定量的なデータもなく、営業時間外も電話が鳴り続ける日々でした。

こういった課題を解決するために、Amazon Connectの実力をもっと引き出すため、当社は2度の概念実証(PoC)を経て知見を得ました。そしてコールセンターのシステムであるAmazon Connectを代表電話に適用し、その後、さまざまなツールとの機能拡張を進めていきました。

2度のPoCとユーザーからのフィードバック

まずはAmazon Connectを理解するため、2度のPoCを行いました。1回目は2018年夏の2日間、2回目は2019年夏に1週間の期間で実施しました。1回目のPoCで実施したのは以下の6点です。

  • 代表電話番号(03)をAmazon Connect(050)へボイスワープ設定
  • 着信はAmazon Connectのソフトフォン(CCP)を利用
  • 発信は今までどおり物理電話を用いる
  • シンプルなコールフロー、分岐処理はなし
  • オペレータはOneLogin(SAML 2.0認証)でアカウント管理

ボイスワープで転送する方法にしたため、03番号をそのまま利用することができました。PoC期間終了後は転送設定を切り戻すことで以前の運用にすぐに戻すことができます。また、PoCに問題が発生しても切り戻すことができる点もPoCを実行する際の安心材料となりました。

上記を実施した後、PoCに参加したメンバーからは、下記のようなフィードバックがありました。

まず、受話器のある電話機からヘッドセットを利用するソフトフォンになり、最初は慣れない電話対応による緊張やソフトフォンのステータス管理に対する戸惑いもあったとのことです。 着信時に電話が一斉に鳴るのではなく、順番がきた人のソフトフォンにだけ着信するようにしたのですが、ステータスをオフラインにすると順番が最後に回されます。そのため順番が近くなった人はオフラインにするのをためらい、トイレに立つのさえも躊躇してしまうのです。さらに隣の人に順番が来るとコール音なしに突然話しはじめるため、それに驚くこともありました。このようにAmazon Connectを実際に使ってみて始めて気付く点が多くあったのです。

1回目の状況を踏まえ、2回目のPoCはテレワーク・デイズで原則出社しないことが推奨されている期間に行いました。電話対応チームメンバーも自宅からAmazon Connectで電話対応を行い、社内でやる場合と、物理的に離れてる環境だとどうなのかの効果検証を行いました。

Amazon Connect本格導入

2回のPoCの結果を踏まえ、本番導入する際には代表電話をAmazon Connectに置き換えるだけでなく、電話の対応時間を6割減らすことを目標にしました。具体的には、特定顧客などからの電話でつなぐべき担当者が明らかな場合は自動転送する、営業時間外や人が対応する必要のない着信はIVR(自動音声応答)でWebページなどに誘導するといった着信対応フローを新たに構築しています。最終的にはAmazon Connect導入で得られるメリット、コスト効果などを含む定性、定量データを提示し、経営層から承認を得て本番導入を行いました。

サーバーワークスは元々、ビジネスチャットツールの「Slack」と顧客管理システム(CRM)の「Salesforce」を利用しており、それぞれのツールはAPI連携をしています。これにより、Salesforceにログインをしなくとも、Slack上にCRM上にある情報を掲載することも可能です。従来利用しているツールにAmazon Connectを組み込むことで、利用者が使いやすいように設計しました。

受発信部分は既にPoCの際に構築していたため、本番導入時へ向けて新たに構築する必要はありませんでした。新たにSalesforce、Slackと連携する部分では一部開発が必要でした。Salesforceにある情報は、1つの電話番号に複数人が紐付けられており、電話番号に紐付く情報は多岐にわたるので、全ての情報を表示するのではなくルールを決めSlackでシンプルに確認できるよう精査しました。

Salesforce、Slack連携の開発には、Salesforce経験があるエンジニアとAmazon Connect専任担当の2名で数日で開発しています。Amazon Connectから得られた情報は、Slackに集約するようにしました。下記の図にもありますが、代表電話に電話がかかってくると、相手の電話番号情報からSalesforceを参照し、その会社に該当する情報がSlackに表示されます。

Amazon Connectによる電話利用開始後も、機能の拡充は続いています。たとえば通話音声をテキストに変換するAmazon Transcribeを使い、通話音声データのテキスト化機能を追加しました。テキスト化したデータは分析され、内容のポジティブ/ネガティブ評価を行い、Slack上の通話記録情報にアイコン表示しています。担当者の外出時などの折り返し対応も、通話内容のテキスト情報を確認し、内容を把握してから折り返しができます。

電話業務の見える化が新たな業務プロセスの見直しに

当初は新しい環境に抵抗感も出るのではとの懸念もありましたが、電話対応メンバーからはむしろ積極的に提案があり、それが新たな業務改善にもつながっています。たとえば、以前サーバーワークス東京オフィスにはすべての席に電話機がなく、取り次ぎ用の電話とスペースを用意し、電話内容によりエンジニアなどがその場で対応していました。これがAmazon Connectの導入で転送方法が変わり、メンバーからはリアルタイムな転送に戸惑うとの声が上がりました。ただそれをきっかけにすべての電話をリアルタイム転送することが果たして必要なのかという議論が起こり、内容により折り返すなどの電話対応の検討が始まったのです。

そして代表電話対応内容の見える化も、大きなメリットでした。Slackに全ての着信記録が表示され、誰でもリアルタイムで会話内容が確認できます。つまり社員の誰もがSlackを見ることでどんな電話がかかってきてどう対応したかを把握し、自分がサポートできるものがあれば積極的にアドバイスできるようになったのです。

導入前はどういう電話がかかってきているかは、電話に出ている人にしか分かりませんでした。しかし今では、Amazon Connectで誰からいつどういった要件で電話があったかがテキストで残るようになり、それが新たな業務プロセスの見直しにつながっています。

※上記内容については下記動画にて詳しく説明しております。
https://youtu.be/g7AK7-aOnVs

ユーザーの声

Amazon Connectに移行し、電話当番に束縛されずに自由にテレワークが選択できます。以前は電話対応メンバーが当番制で、昼休みにも電話前で待機していました。そのため自分が当番の日は、テレワークを入れにくかったのです。今では当番日も自宅で代表電話に出られ、転送先の人もテレワークで家から対応といったこともあります。これには、どこでもコミュニケーションがとれる新しい時代がきたなと、ちょっと感動しました。当社が2020年1月27日の時点で、新型コロナウイルスに対する在宅勤務を奨励できたのは、こういったテレワークを選択できる仕組みがすでにあることによって支えられています。

実はこれまで、物理的な電話とデジタルデータの相性は良くありませんでした。物理的な電話機では、電話番号をコピーするのにも番号ボタンを押す必要があり、手間なだけでなく押し間違えなども発生します。これがAmazon Connectになり普段使っているSlackと連携することで素早くデータ連携でき、格段に電話業務が楽になっています。コールが鳴る少し前に電話をかけてくる相手の情報がSlackに表示されるようになっており、これだけでも余裕を持って電話に出られます。利用者のニーズにきめ細かく対応できるのも、Amazon Connectの柔軟性の高さがあってのことです。

また決算発表後やAWSの障害などで、代表電話への着信が一時的に増えることもあります。そういった場合にも物理的な電話機を増やすことなく、すぐにサポートする人を増やし対応できます。Amazon ConnectならIVRで最新情報の読み上げも容易に実現でき万が一の災害時などにも、タイムリーな情報発信を代表電話に組み込むことができます。

Amazon Connectは確かに便利ですが、実際の運用では不足するものもあります。たとえばコールセンターなどでは、相手に聞こえないようにスーパーバイザーがオペレータにアドバイスを行う「ウィスパリング機能」が必要ですが、Amazon Connectにはその機能がありません。しかしSlackと連携すれば、チャットで同じような機能は簡単に実現できます。実際にAmazon ConnectとSlackを連携させたことで、Amazon Connectの機能を拡張し電話対応の質の向上が図れることが分かりました。電話対応の質が上がれば、定着率が低いと言われるコールセンタースタッフの離職率の抑制などにもつながるでしょう。

社内でAmazon Connectを実践したことで、電話業務に対してリアリティのある提案ができるようになりました。自社で実際にこうしている、利用している人はこんな印象を受けているといった会話ができ、提案先となる現場担当者との会話もかなりスムースに行えます。今後もよりAmazon Connectを使い込んでいき、これから利用される人がよりイメージが湧く提案をしていきたいです。

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