Amazon Connectで構築した自動音声予約システムによってオンデマンドバスの24時間予約を実現。地域の利用者の利便性向上に貢献
ネクスト・モビリティ株式会社様
2019年3月に設立。AI活用型オンデマンドバス「のるーと」の運行事業、および全国の事業者、自治体向けのオンデマンドバスソリューションの提供事業(オペレーションの仕組みの提供、運行体制の構築支援、車両の提供など)を通じて、持続可能で利便性の高い新たなモビリティの可能性を追求している。
2019年から福岡市東区のアイランドシティエリアで自社運行を開始したAI活用型オンデマンドバス。2023年11月時点で当社のオンデマンドバスシステムを採用したエリアは全国で22カ所あり、2023年度中には34カ所を越える予定。
お話を伺った方
- 橋場 友秀 氏
- ネクスト・モビリティ株式会社
運行支援グループ マネージャー
事例のポイント
Before
お客様の課題
- オンデマンドバスの電話予約利用者の利便性向上
- 営業時間の制約を受けない電話予約システムの整備
- 有人対応オペレーターの負荷軽減、業務の効率化
After
課題解決の成果
- 24時間対応の自動音声予約の実現
- オペレーターの負荷軽減、業務効率の向上
- 競合他社との差別化、サービスの付加価値の向上
- 配車システムとのAPI連携ほか、他エリアへのサービス展開のノウハウの獲得
導入サービス
Index
オンデマンドバスの利便性を高める自動音声予約システムの導入を検討
日本国内におけるバスやタクシーといった交通機関は現在、利用者の減少やドライバー不足といったさまざまな問題を抱えており、効率的で持続可能な公共交通サービスの再構築が大きな課題となっています。この中で注目を集めているのが、利用者が希望する日時や場所に合わせて運行する「オンデマンドバス」です。運行支援グループ マネージャーの橋場友秀氏は次のように話します。
「こうした社会課題の解決に向けて、ネクスト・モビリティが2019年から福岡市東区のアイランドシティエリアで自社運行を開始したのが、AI活用型オンデマンドバス『のるーと』です。2020年からは、運行事業者、自治体、各種法人向けのオンデマンドバスソリューション事業も開始し、システムの提供、運行体制の構築支援などを行っています。2023年11月時点で当社のオンデマンドバスシステムを採用したエリアは全国で22カ所あり、2023年度中には34カ所を越える予定です」
「のるーと」の使い方は簡単です。利用者は専用アプリまたは電話を使って、まず出発地と目的地を指定し、次に乗車人数、乗車希望日時を指定すれば、予約は完了。あとは予約した時間に指定した乗り場で待つだけです。
配車依頼の大半は専用アプリからですが、電話からの予約も一定の割合で発生します。しかし、24時間予約可能な専用アプリに対して、電話予約はオペレーターによる有人対応となるため、受付時間に制限があります。そこで同社が検討を開始したのが、24時間対応が可能な自動音声予約システムの導入です。
「のるーとの利用者はスマホが苦手な高齢者層が多く、エリアによって20%~50%が電話予約です。予約は当日の朝や雨が降った日などに集中することが多く、営業時間外でつながらない、回線が混雑して予約ができないといった声も聞かれました。一方、オペレーターの増員はコスト面で現実的ではないことから、まず自社運行しているアイランドシティエリアで試験的に自動音声予約システム を導入することにしました」(橋場氏)
海外製の配車システムとのAPI連携が可能なAmazon Connectを採用
「のるーと」の運行に最適な自動音声予約システムの調査を開始したネクスト・モビリティは、複数の候補の中からAWS のAmazon Connectの採用を決定しました。その決め手について、橋場氏は「新たな自動音声予約システムは、当社が利用している海外製の配車システムとのAPI連携が必須だったのですが、それを実現できるのがAmazon Connectでした」と話します。
もう1つの課題となったのは、導入パートナーの選定です。Amazon Connectの導入実績を中心に評価した中で、AWSの高度な知見、営業担当やプリセールス担当の要件の理解力、また迅速な提案力が際立っていたのがサーバーワークスだったといいます。
「サーバーワークスさんは初期段階からきめ細かなヒアリングシートを使って要件を掘り下げるなど、プロジェクトに対する意欲や本気度が他のベンダーとはまったく異なりました」(橋場氏)
こうしてサーバーワークスをパートナーに迎えたプロジェクトは2021年11月にキックオフ。2022年9月には開発を終了し、10月からアイランドシティエリアで24時間対応の自動音声予約を開始しました。プロジェクトの過程では、自動音声予約の機能だけでなく、キャンセル機能、予約の確認機能、オペレーターへの転送機能など新たな要件が加わりましたが、そこでもサーバーワークスと優先順位付けを行いながら課題をクリアしていきました。
「プロジェクト開始から6カ月後の2022年5月には、アイランドシティエリアより規模の小さい壱岐南エリアでPoCを実施し、さまざまな改善を行うことができました。高齢者が多く電話利用率が高いエリアにおいて早い段階でPoCを行えたことには大きな意義がありました」(橋場氏)
技術面での最大のポイントとなったのは、Amazon Connectと配車システムのAPI連携です。海外製の配車システムならではの難しさがある中、サーバーワークスは電話をかけた利用者がシステムからの応答を待つ時間に不安にならないように音楽や「しばらくお待ちください」などアナウンスを流すなどの工夫を施しながら、システムの完成度を高めていきました。
「自動音声予約サービスの開始後も、サーバーワークスさんには当社内で問題を解決するためのAmazon Connectのエラーログの集約や、サービスを新エリアに横展開する際に必要な電話番号の追加マニュアルの整備など、さまざまな支援を継続してもらっています」(橋場氏)
24時間対応の自動音声予約によって業務の効率化とコスト削減を実現
2023年11月現在、自動音声予約サービスを導入しているエリアはアイランドシティのほか、宗像(福岡)、喜多方(福島)の3エリアで、2024年には1エリアが加わる予定です。アイランドシティは有人のオペレーター対応を廃止して自動音声予約に1本化していますが、宗像と喜多方では24時間の自動音声予約受付と平日のオペレーター対応のハイブリッドで運用しています。
「アイランドシティは95%がアプリ予約でしたので、自動音声予約1本に切り替えました。これによりオペレーターの配置が不要となり 、業務が効率化しています。
宗像市エリアにおける電話予約についても 、徐々に自動音声予約の比率が増え、オペレーターの負荷軽減やコスト削減に貢献できています」(橋場氏)
経営的な視点においても、現時点で24時間の自動音声予約に対応しているオンデマンドバスは少なく、今後は全国の運行事業者、自治体などに「のるーと」を提案する際の武器になることが期待されています。
サービスの利便性を高める新機能も追加し自動音声予約の対応エリアを拡大
ネクスト・モビリティでは、今後も「のるーと」の新規導入エリアを中心に電話予約の自動化を拡大し、運行事業者や自治体などでのコスト削減や人的リソースの有効活用に貢献していく考えです。
また現在運用中のシステムに関しても、利用者の利便性をさらに高めるために、乗車予約の履歴活用機能や、頻度が高い運行経路の登録機能などの追加を検討中です。橋場氏は「こうした新機能の追加においても、サーバーワークスさんには引き続き支援をお願いしたいと考えています」と期待を寄せます。
「暮らしの移動を、いつまでも、もっと便利に」をミッションに新たなモビリティの可能性を追求するネクスト・モビリティの事業に、Amazon Connectは今後も大きな価値を提供していくはずです。
プロジェクトメンバーのコメント
サーバーワークスの持つAmazon Connect、API、Webアプリケーションの3つの技術をフル活用した今回のプロジェクトについては、提案段階から成功を確信していました。とはいえ、海外製のAPIならではの難しさもありました。例えば、Amazon ConnectからAPIを介してバックエンドのコンピューティングリソース(AWS Lambda)を立ち上げると、APIの仕様によってレスポンスの待ち時間が発生し、電話口で何秒かの「無音」状態が発生してしまいます。その間、サービスを利用するお客様は不安になってしまいますので、ネクスト・モビリティ様と何度も相談を重ね、APIの仕様を確認してバックエンドにリトライをかけたり、リクエストを受け付けたら「お待ちください」というアナウンスを繰り返したり、音楽を流したりと、お客様にストレスを与えない工夫をしながら、満足のいく電話受付システムを開発することができました。
アプリケーションサービス部 ディベロップメントサービス2課 内村 和博
Web アプリケーション・インフラエンジニア/プロジェクトマネージメントの実務経験後、サーバーワークスへ入社。
Web サービスの AWS 移行技術支援、DB EOL に伴う AWS 移行支援、機械学習を用いた Web サービス機能開発支援、Amazon Connect を用いたシステム開発支援などの案件にPMとして従事。
今回のAPI連携は、カナダのライドシェアアプリを提供するスタートアップが提供するAPI(Spare's Open API)で、仕様書もすべて英語で書かれていたことから、最初はやはり「おっ」となって戸惑いました。なおかつ、今まで経験したAPIとはちょっと異なるため、これまでの私たちが蓄積してきたノウハウがそのまま使えず、実際にAPIにリクエストを要求しても、どのタイミングでどのデータが返っているかがわかりません。フローも複雑で、想定とは異なるデータが返ってくることもありました。そのため、ネクスト・モビリティ様にもさまざまな質問をさせていただきましたが、非常に迅速なレスポンスをいただけたことで、開発を停滞させることなくスピーディにプロジェクトを進行することができました。
サービス開発部 サービス開発課 水垣 岳志
主に Amazon Connect 案件やサーバーレスアプリケーション開発案件に従事。Python と Git が好き。好きなAWSサービスは AWS Lambda・Amazon CloudWatch
AWSからネクスト・モビリティ様の案件を紹介いただいた際、チーム内では「この案件はAmazon Connectの使い方としてユニークだから、絶対に獲得しよう」と盛り上がったのをよく覚えています。プリセールス担当とも連携しながら、ネクスト・モビリティ様への最適な提案に向けて何度も議論を行いました。今回、プリセールスのメンバーが九州の所属で、九州の営業課としっかりコミュニケーションを取ることができたのも貴重な経験でした。今後ご支援させていただく機能追加の要件に関しても、このメンバーでネクスト・モビリティ様を支援していけたらと思います。
アプリケーションサービス部 営業課 濵原 徹平
医療機関向け病院情報システムのソリューション営業を経験後、2020年にサーバーワークスへ入社。AWSの移行支援、利用促進などの営業として経験を積み、現在は主に Amazon Connect に関する営業に従事。
趣味はスニーカー集め。集めて終わりでなく履きつぶします。
私自身、営業課内でAmazon Connect専任担当を勝手に名乗り、サービスの普及に力を入れてきました。しかしながら、Amazon Connectというとコールセンターのイメージが強く、大規模導入という先入観を持っているお客様も多くいらっしゃいます。そうした中で、小規模ながら電話受付業務を効率化するためにお使いいただいているネクスト・モビリティ様の事例は、Amazon Connectの価値を高めるだけでなく、多くのお客様の参考になると考えています。現在のビジネス環境では音声電話のプライオリティが低くなりつつあるものの、電話自体をゼロにすることはなかなかできません。電話の利便性を残しながら、コストをかけることなく運用する点においてこそ、Amazon Connectの価値が活かせると思います。
アプリケーションサービス部 営業課 丸山 麻衣子
Amazon Connect 専任チーム / Amazon Connect 専任担当
職種のボーダーラインなく、Amazon Connectでもっとはたらきやすくなるための活動を遂行。
Amazon Connect界では通称YouTubeの人
※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
選ばれる3つの理由
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提案力とスピード- 導入実績
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