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サイロ化したデータの一元化と全社的活用を加速しデータドリブンな顧客理解に基づくアクションを可能に

サイロ化したデータの一元化と全社的活用を加速しデータドリブンな顧客理解に基づくアクションを可能に

株式会社フェリシモ様

2025年に創業60周年を迎える通販企業の株式会社フェリシモは、データのサイロ化を解消し、変化に強いデータドリブンな事業運営を実現するため、全社的なデータ活用環境の整備を進めてきた。その一環として、200名近いオペレーターが対応する自社のコンタクトセンターにZendeskを導入。メインチャネルである電話対応を24時間IVRの機能を実装した Amazon Connectとの連携により効率化すると共に、チャネルごとに分断されていた情報が一元化され、問い合わせ状況やその対応状況、顧客の声が可視化されたことで、今後のデータ活用に新たな可能性が見え始めている。

お話を伺った方

岡山 昌浩氏
クラスター本部 定期便統括部 CS部 部長
村尾 結乃氏
クラスター統括本部 CS部 コンシェルジュグループ コンシェルジュチーム
山下 直也氏
ビジネスプラットフォーム本部 IT推進部 部長
米澤 武氏
同本部 同部 基幹システムグループ 主任
楯 研人氏
IT推進部 インフラ基盤グループ 係長

Zendeskソリューション導入の背景と課題

「しあわせ社会学の確立と実践」を経営理念に掲げる株式会社フェリシモは、1965年の創業以来、Webおよびカタログでの接点を中心としたダイレクトマーケティング事業を展開。「ともにしあわせになるしあわせ」をコアバリューに、事業性、独創性、社会性を同時実現する活動を通じて、永続的なしあわせ社会を創造することを目指している。毎月1回、オリジナル商品を中心としたファッション、雑貨、手作りキットやおうちレッスンなどのさまざまな商品をお届けする定期便事業のほか、昨今は、長年培ってきたノウハウやリソース、プラットフォームを活かした新規事業、さらには神戸のシンボルとされる「神戸ポートタワー」の運営事業を手がけている。

時代の変化と共にチャネルが多様化し、より深い顧客理解と洞察を通じたエンゲージメントの強化が求められるなかで、同社は2018年頃より全社的なデータ活用の動きを加速。部門ごとにサイロ化したシステムの見直しを進めるにあたり、コンタクトセンターが独自に構築、運用してきたシステムも変革の対象となった。

ビジネスプラットフォーム本部 IT推進部 部長の山下氏は、こう振り返る。

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「当社は長年、スクラッチ開発であらゆる業務システムを独自に構築してきたのですが、全社的なデータ活用の視点で考えると、それを維持し続けることがかえって足かせになりつつあると感じていました。本来ならスクラッチシステムが最も柔軟性に優れエンハンスもしやすいはずなのですが、当社は事業会社ですから、開発のためのリソースを潤沢に持てない現実もあります。そこで、足りないものを作るという発想から、業務をシステムに合わせていくFit to Standardへと、考え方を変えることにしました。」

こうした全社的なデータ活用を推進する動きが背景にある一方で、コンタクトセンター業務を支えるシステムそのものも、次のような課題を抱えていた。

<課題1>
CSの業務と並行でシステムの開発要求や運用管理に対応していくのは、人材の育成や人的リソースの確保という観点から非常に厳しい。
<課題2>
当初から電話対応の仕組みはCTIシステムで構築していたものの、メール対応システムは後付けで構築したため、メールなど複数でのお問い合わせ・比率があがってきており、顧客対応の履歴が一元管理できない。
<課題3>
大量の商品、多様な販売形態、関連する複数の販促策やキャンペーンの実施など、コンタクトセンターとして把握しておくべきことが多岐にわたり、現場のオペレーターの学習負荷が高い。

クラスター本部 定期便統括部 CS部 部長 岡山氏は、「電話は電話、メールはメール、というように管理の仕組みが分断されていて、顧客対応の履歴情報をチャネルごとに確認することはできても、一元管理できていない状態でした。しかも、メールでの対応履歴は手作業でCTIシステムに入力していました。2つのシステムを行き来しながら確認するくらいなら、とオペレーターのディスプレイを2台体制にして解決を図ったほどです。」

Zendeskが選ばれた理由

同社の課題を整理すると、システムやチャネルごとに分断された情報を一元管理し、よりデータドリブンにアクションできる環境が必要だったと言える。そこで、2021年頃から解決策を求めて製品選定に向けての情報収集を始めた同社は、約1年をかけて検討を進め、Zendeskの導入を決定した。

Zendeskが課題1~3を解決できるツールであるのはもちろんのこと、コスト面の要件に見合っていたこと、社内に存在する既存システムとの親和性が高いこと、分析機能が充実していることなどを総合的に評価した上での決断である。
もちろん、スクラッチシステムからクラウドサービスに移行することで、機能改修や運用管理から人的リソースを解放し、本来業務に集中できる環境を実現する狙いもあった。これまではCS部門が主導で旧システムを導入していたため、外部の開発会社の手を借りないと改変のニーズに素早く対応できない上に時間がかかる現状があり、CS部門の「自分たちで運用できるような基盤に差し替えたい」という声に応えたものである。

Zendesk導入の効果

Zendesk導入の一番の目的は、複数チャネルをまたいで顧客に関連する情報を一元的に管理できるようにすることで、顧客満足度を高めることにあった。同社は、AWSが提供するクラウド型コンタクトセンターサービスAmazon ConnectとZendeskを連携し、メインチャネルである電話対応をCTIシステムによる既存環境から移行。この部分を支援したのが、AWSの豊富な導入実績とノウハウを持つサーバーワークスであり、Zendeskパートナーであるエクレクトとの協業により、それぞれの強みを活かした次世代コンタクトセンターの構築を実現した。Zendesk、エクレクト、サーバーワークスの3社の組み合わせはすでに事例も数多く、安心感もあった。

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さらに同社は、メール、Webフォーム、FAX、手紙など、複数チャネルで寄せられる問い合わせのすべてをZendesk上に集約。基幹システムとZendeskを連携することで、オペレーターは顧客情報を参照しながらスムーズに問い合わせに対応できるようになっている。

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ZendeskとAmazon Connectの連携イメージ

「当初の狙いどおり、一元管理できるようになったことが大きいですね。オペレーターが意識的に情報間の関連付けをする必要がなく、必要な時に必要な情報を素早く取得でき、業務の生産性と同時に顧客対応の質の向上も図れます。ゆくゆくはこれが、お客様にとってのエフォートレスな体験につながっていくことを期待しています」と岡山氏。
「同じお客様が異なるチャネルで問い合わせをされるケースもあります。以前は、対応が完了したチケットでないと履歴情報を確認できず、オペレーター間で何度もやりとりを重ねて正確な状況を把握しなければなりませんでした。Zendesk導入後は、受付と同時に自動的にチケット化されるので、問い合わせの発生状況や進捗状況が一目瞭然です。次にやるべきことが明確で、特定のフォームにおけるオペレーター1人あたりの業務効率が約10%向上しました。」

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Zendesk Exploreでの問合せ状況自動集計

さらに同社は、同じ問い合わせ内容への回答や対応履歴の管理を効率化する「メール一括送信・履歴登録アプリ」、FAXや手紙などの紙の運用を簡素化する「チケット一括表示・印刷アプリ」などを使ってZendeskの機能を拡張。業務に合わせたカスタムアプリを付加することで運用の改善を図っている。

今後の展望

ビジネスプラットフォーム本部 IT推進部 インフラ基盤グループ係長 楯氏は、「まだまだZendeskの機能を十分に使い切れていません。FAQページの充実や、新しいチャネルの開拓、導入効果を分析して迅速に改善につなげていく取り組みもこれからです。一気にはできないので、優先順位を見極めつつ段階的に進めていく計画です」と語る。ひとまず現行業務のZendeskへの移行をメインとしたファーストステップを経て、同社が次に向かうのは、いよいよ顧客満足度の向上を目指したデータ活用のフェーズである。

「各部門と連携して問題解決にあたるために、Zendeskを情報共有の基盤として活用していくだけでなく、Zendeskを社内のあらゆるデータソースが集まるデータハブ環境につなげることで、全社規模での可視化が進んでいくと考えています。これにより、さまざまな場面で部門間を横断したコミュニケーションや迅速な改善への取り組みが活発化するはずです」と山下氏は期待を覗かせる。

長期的な戦略のもとで着々とデータ連携やデータ統合が進むフェリシモ。かつてCS部門に閉じていたシステムは、Zendeskへの移行を機に全社的なデータ活用を可能にし、顧客関係を強化する上で欠かせない基盤となりつつある。

「Zendeskを情報共有の基盤として活用していくだけでなく、あらゆるデータソースが集まる社内のデータハブ環境につなげることで、全社規模での可視化と顧客理解が進み、さまざまな場面で部門間を横断したコミュニケーションや迅速な改善への取り組みが活発化するはずです。」

山下氏からのコメント

※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

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