新たな価値を創造する情報システム部門への変革を目指し、AWS上でのトレーニングでPoCを内製化するための人材を育成

"サーバーワークスのアジャイル開発トレーニングで新しい技術を身につけ、 新しい価値を創造できる情報システム部門への変革を目指します。"

2020.02.17 掲載

(※写真左から)情報システム部
OA・ネットワークグループ マネージャー 関根 亮 様
デジタルイノベーショングループ マネージャー 瀧田 美喜子 様
ガラスグループ マネージャー 後藤 薫 様

基幹システムインフラのクラウドへの全面移行を2014年より開始したAGC株式会社(以下、AGC)。2018年11月には全ての基幹システムをAWSへ移行完了されました。AGCでは、AWSを基幹システムのインフラとして利用するだけではなく、クラウドネイティブなアプリケーションの構築にもチャレンジしています。そのチャレンジを行うチームを「アジャイル開発センター」と呼び、2017年からサーバーワークスがサポートをしています。AGCにおける取り組みとサーバーワークスのサポート内容について詳しくうかがいました。

事例のポイント

お客様の課題
  • 新たな事業価値の創造に向けたデジタルの知見の獲得
  • クラウド技術を活用した事業部門への貢献
  • 内製でPoCを実施するための人材の育成、ノウハウの習得
課題解決の成果
  • サーバーワークスのトレーニングによるAWS上でのアプリ開発、プログラミング手法の習得
  • アジャイル開発の手法を使った内製によるPoCの実施
  • 開発プロジェクトを円滑に運営するためのノウハウの習得(属人的な開発手法からの脱却)
  • 情報システム部の約4分の1のメンバーがAWS認定技術者資格を取得
新たな価値を創造する情報システム部門への変革を目指し、AWS上でのトレーニングでPoCを内製化するための人材を育成

AGC株式会社様

100年以上前に、国産板ガラスの製造に挑戦して以来、モノづくりの強みを活かした独自の素材・ソリューションを提供。2018年7月1日に、旭硝子から「AGC株式会社」に商号を変更。100年以上にわたる技術革新の歴史の中で培った世界トップレベルの技術を強みに、「ガラス」「電子」「化学品」「セラミックス」の事業領域で新たな価値創造に挑戦しています。また、5G通信に向けて窓を基地局にするためのガラスアンテナの開発など、新規事業の開拓にも積極的に取り組んでいます。

  • この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

目次

現在行っている取り組み

 アジャイル開発センターの取り組み・体制を教えてください。

AGC株式会社様

企画グループ
デジタル・イノベーションチーム
マネージャー 瀧田 美喜子 氏

アジャイル開発センターのミッションは、「先端デジタル技術の活用・導入を通じて、AGCグループの新しい価値創造に貢献すること」です。
これまで私たち情報システム部門は、基幹システムなどの構築・運用を通じて事業部に貢献してきました。2014年からはじめた基幹システムのクラウド移行により削減できるようになった工数を、クラウドの技術をもっと活用することに充てて事業部に貢献すべく、2017年からこの取り組みをはじめました。内製開発できるリソースもノウハウも、社内に持っていない私たちでしたが、「PoC(Proof Of Concept:概念検証)までは自力でできるようになること」を当初から目標としており、これを達成することで事業部からの相談に迅速に対応できるようになると考えました。

アジャイル開発センターは情報システム部門内で、新しいことに挑戦したいメンバーでチーム横断的に構成されています。メインの業務を持ちながら参画し、「週に1度の半日」を活動の目安としています。

 サーバーワークスに依頼した業務を教えてください。

AWS上でのプログラム開発トレーニングをお願いしています。週1回のペースでサーバーワークスへ出向き、トレーニングを受けています。

トレーニングといっても決まったカリキュラムはありません。ハンズオンで手を動かしながら、実際にアプリケーションを構築していきます。2週間から3週間を1クールとし、「今回のリリースはここまでやろう、この改善をやろう」と決めています。メンバー皆で黙々と作業する時間や、講師に質問する時間など、サーバーワークスにはフレキシブルに対応いただいています。

トレーニング以外では、SlackやBacklogを使い、サーバーワークスへの質問や課題管理を行っています。チームメンバーはアプリ開発やプログラミングだけでなく、コミュニケーション手段やプロジェクト管理手法も全てが新しい体験ということもあり、驚きの連続でした。

前回からの変化

2017年に貴社のお取り組みをお聞かせいただきました。その後の変化はいかがでしたか。

AGC株式会社様

OA・ネットワークグループ
マネージャー
関根 亮 氏

2017年は1チーム4名でしたが、取り組みが拡大し、現在は2チーム10人で活動しています。

初年度は、AGC横浜テクニカルセンター(旧 京浜工場)内に設置された、自社製品のinfoverre®というデジタルサイネージに「アプリを使って何か面白いコンテンツを表示できないか」という取り組みからスタートしました。サイネージには、工場内のお知らせや、センサー情報を活用した会議室の空き状況を表示することにしました。

参加したメンバーはそれまで、自分たちの手を動かし開発するという機会はほとんどなく、この取り組みを通じて初めてプログラミングを経験したため、システム開発の大変さを痛感しました。このような私たちでも、サーバーワークスに開発のポイントやコツを指導いただくことで、何とかシステムを構築することができました。

infoverre®のPoCはアジャイルで開発し、作っては試しの連続で高速に改良していきました。その中で、ユーザー側でコンテンツを変えられるようにして欲しいという要望や、ベースカラーが真っ黒のinfoverre®に実際に開発した真っ白な画面を写したところ、デザインになじまず「あれ?」と落胆することもありました。「物理的な状況は現場に行ってみないとわからない」という学びは大きかったです。

 貴チームではPoCはどのような位置付けなのでしょうか。

PoCは、基本的にユーザー部門からの要望を案件化しています。最近は、私たちからも「このような機能を入れてみませんか」という改善提案するケースも増えています。

活動当初からのルールは、「PoCで使ったものは必ず捨てる」こと。PoCで終わったから失敗という考えではなく、PoC終了後、きちんと本番で使えるものを開発することが重要だと位置付けています。

本番サービスの適用には、セキュリティの設計や運用周りの設計など、PoCで開発したものと仕様や開発体制が変わってくる部分もあります。本番サービスに向け、開発フェーズで丸投げにせず、「一緒に考え、きちんと作りきる」ということをやっていくつもりです。

 なぜ貴社ではPoCを重視しているのでしょうか。

私たちとしても経験を積まないと、費用の精査や開発作業の境界線などが曖昧になり、プロジェクト運営に懸念が生じます。採用される技術を理解し、その後の発注、本番環境での作業もきちんと中身を理解して協業する必要があります。知見がないままでは「Webアプリを作ったことがないので丸ごとお任せ」、「クラウドの技術が良く分からないからお任せ」となってしまい、本当に価値のあるサービスが提供できないと考えています。こうした理由から、PoCの取り組みを重視しています。

取り組みの効果

 今回の取り組みについて効果はいかがでしょうか。

AGC株式会社様

ガラスグループ
マネージャー
後藤 薫 氏

教育・スキル面では、チームメンバーが新人に教育できるレベル感となりました。また、情報システム部員のうち23名が「AWSソリューションアーキテクトアソシエイト」というAWS認定技術者資格を取得しており、この中には情報システム部の部長と企画のリーダーも含まれています。資格数を増やすことを目標にしているわけではありませんが、資格を取ることが当たり前になりつつあります。情報システム部門には100名が所属しているので、部員の4分の1近くがAWSを理解していることになります。そのため、会話の中でも当然のようにクラウド用語が飛び交うようになりました。

PoCの活動とは別にサーバーワークスに依頼したAWSの座学教育も、現在の資格取得状況に大きな影響を与えたと思います。AWSは膨大にサービスがありますが、その中から当社に必要なサービスについての教育をリクエストし、カリキュラムを作成いただきました。

カリキュラムは社内業務に適用できる基礎的な内容もありますが、AWSの最新技術についての内容も盛り込まれています。サーバーワークスが最新技術をキャッチアップし、我々にわかりやすく教えていただいている点も助かっています。AWSの最新技術は、私たちが直接使えるものではないかもしれませんが、「このような機能がある」と知っていると、ユーザーから相談があった際に、「あの機能を使えるのでは」という話ができる可能性があります。最新技術を知っておくことも重要なポイントです。

 3年活動されてサーバーワークスへの評価はいかがでしょうか。

アジャイルでのプログラム開発アプローチを学び、AWSの知識の幅も広げられたと感じています。サーバーワークスの開発の進め方を学んだことで、属人的な開発から脱却できました。これも、独学ではなく外部で学んだ大きな効果といえるでしょう。

私たちはシステム開発業務をアウトソーシングして外部に一任するのではなく、自社でハンドリングをしていきたいと考えています。しかし、全てのシステム開発業務を自社内で進めていくための体制をすぐに整えることは非現実的でした。そこで、せめてPoCの部分だけでも自分たちの力で着手できるようにしたいと考えたのです。

既にAWSで数多くの開発をし、知見を保有しているサーバーワークスのフォローのもと、アジャイル開発センターの活動ができたことは我々にとって非常に有益な経験でした。

今後の展開/サーバーワークスへのリクエスト

 今後の活動について教えてください。

今後は、会社が新しいデジタルの技術を使い、新しい価値を提供していく流れに関われるようになりたいと考えています。

AWSの新しいサービスが発表されても、「どう使うか」という現実的な部分に落とし込むことは難しいです。新しい技術を使ってくれる人に紹介し、「こんなことに使ってみたい」という話に繋がらないと結局、新技術の活用は広がりません。
最近、情報システム部門のメンバーでAmazon Connectというクラウド型コンタクトセンターのサービスの勉強会を実施しました。勉強会に参加したメンバーからは、事業部門に紹介したら面白そうだと、好評でした。ユーザーから一足飛びに「コールセンターをなんとかしたい、じゃあAmazon Connectだ」という発想はなかなか生まれないと思います。私たちは新しい技術を紹介できるように最新の情報を日々キャッチアップし、事業部に還元することで、「情報システム部に相談すれば何とか解決するかもしれない」と事業部に頼ってもらえる関係性を築いていきたいと思っています。

 今後のサーバーワークスへの期待をお聞かせください。

これまでの3年間、どの1年も同じといったことがなく、毎年新しい悩みに直面しています。サーバーワークスも変わり、私たちも変わり、社会も変わり、変化のスピードが早くて大変ですが、切磋琢磨しながらその1年の関係を毎年築いて、結果的に継続ができれば嬉しいです。来年も違うチャレンジを、その次の年も違うチャレンジをサーバーワークスとともに繰り返していけたらと考えています。当社のパートナーとして今後も支援いただければと思います。

AGC株式会社様

写真左2名と右1名はサーバーワークス社員

▼前回(2017年11月)のAGC様事例記事ではAWSへの基幹システム全面移行から、アジャイルでのプログラム開発などさまざまなお話をお聞きすることができました。 以下リンクより、ぜひご一読ください。
https://www.serverworks.co.jp/case/agc.html

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