AWSへのインフラ移行の事例

"オンプレミス環境で運用しているシステムのAWSへの全面移行に取り組んでいます。コンセプトを伝えれば、最適な環境のサーバーインフラを実現してくれるサーバーワークスは欠かすことのできないビジネスパートナーです。"

2016.11.28 掲載

「人材・教育」「不動産」「情報通信」という3つの事業を展開する株式会社ワールドホールディングス(以下、ワールドホールディングス)では、グループのサーバーインフラをAWSへと全面移行する方針を決断。サーバーの設定やサービスの監視をサーバーワークスがサポートしています。株式会社ワールドホールディングス 業務管理本部 IT推進室 室長 田中 恒伸氏および、情報監視室 鶴田 啓介氏に、サーバーインフラ移行の取り組みとサーバーワークスへとサポートを依頼した経緯について詳しく聞きました。

AWSへのインフラ移行の事例

株式会社ワールドホールディングス様

世界に開かれた人と人とのつながりである“絆”を深めるために、「人が活きるカタチ」を創造し続けるワールドホールディングス。日本のものづくりを人材で サポートしている株式会社ワールドインテック(以下、ワールドインテック)を中軸に、「人材・教育ビジネス」「不動産ビジネス」「情報通信ビジネス」の3つのコアビジネスを展開するため、国内外に20社以上の関連会社を統括している。社名の「ワールド」には、世界に向かって羽ばたく企業集団であって欲しい という想いが込められているという。2016年6月29日、東京証券取引所の市場第二部から市場第一部に市場変更を果たしている。

  • この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

目次

グループが共通で使用するサーバーインフラとしてAWSへの全面移行を実施

ワールドホールディングスにおけるAWSの利用状況について教えてください。

ワールドホールディングスでは、グループ各社が共通で利用するサーバーインフラとしてAWSを利用しており、オンプレミス環境で構築・運用してきたシステムの全面移行を進めています。

現時点では、テスト環境や開発環境を含めれば約100台のサーバーを展開しています。その中には、1つのパッケージシステムを事業部ごとに8セット(AP+DB)のサーバーで利用しているシステムもあります。オンプレミス環境であれば、このような運用方法は採用しないかもしれませんが、AWSであれば同じ設定のサーバーを複数立ち上げることも容易です。

その他、AWSにサーバーインフラの移行を進めたことで、次のような成果も上がっています。

・将来的なサイジングを気にしなくて済む
・必要に応じてスケールアウトや追加サーバーの立ち上げが可能
・テスト・開発環境の構築や設定も容易
・必要なときだけ立ち上げれば済む(課金されない)
・基本的にサーバー間の影響がない

すでにAWSで稼働している主なシステムと今後、移行を予定している主なシステムは、次の通りです。

AWSへ移行済みシステム

システム名 システム概要 種類 備考
人材ビジネス
統合管理システム
人材ビジネスにおけるERPシステム パッケージ+カスタマイズ 8事業部それぞれのサーバーで同一パッケージを運用することにより、システム構造の簡素化と障害時のリスク分散を実現している
人材ビジネス
求人サイト
人材ビジネスにおける求人サイトと後方管理システム 社内開発 公開、非公開サーバーをそれぞれ管理
ワークフロー
システム
経費精算(小口、出張、交際費)、債務支払などのワークフローシステム パッケージ+カスタマイズ グループ企業共通システム
ポータル 基幹ポータルグループウエア パッケージ グループ企業共通システム
ファイルサーバー ドキュメント管理 パッケージ グループ企業共通システム
資産管理システム エンドポイントの資産管理 パッケージ グループ企業共通システム
マンション管理業
システム
組合会計、フロント業務、修繕計画などマンション管理会社向けトータルシステム パッケージ

AWSへ移行予定のシステム

・不動産賃貸管理システム
・不動産顧客管理システムなど

ITインフラの「事業継続性の確保」と「運用コストの最適化」を目指し、クラウドへの全面移行を決断

なぜサーバーインフラをAWSへ全面移行しようと考えたのでしょうか。

グループとしてビジネスが拡大し、さらに成長を果たすための事業インフラの一つとして、ITインフラの「事業継続性」と「運用コストの最適化」を目指した決断でした。
全面移行という点に関しては、オンプレミス環境とクラウド環境を併用するとなれば二重管理となってしまい、導入効果が薄れてしまうだけでなく、かえって負荷が増えることになりかねないことから、全面移行という決断を下しました。

「事業継続性」について詳しく教えてください。

大前提として災害発生時における「事業継続性」という目的があるのですが、たとえば、当グループの主力業務と深く関わる人材ビジネスシステムにトラブルが発生すれば、取引先や全国で働く従業員にまで被害が広がり、事業が拡大する中、その影響は計り知れません。
しかし、オンプレミス環境でサーバーインフラを冗長化したり、遠隔地でのDR(ディザスタリカバリ)環境を自社だけで整備したりするのは限界があります。コストはもちろんですがシステムの構築や運用にかかる負荷も膨れ上がってしまいます。また、新規でシステムを構築する際はまだいいのですが、既存システムの冗長化となるとより大きな工数とコストがかかる可能性があります。
クラウド環境、すなわちAWSであれば、ハードウェアの導入や故障を心配することなく、強固で信頼性の高いサーバーインフラやバックアップ環境を利用できます。そのため、運用負荷を減らしながらシステムの信頼性や冗長環境を整備でき、事業継続性を高められると判断しました。

「運用コストの最適化」についてもお願いします。

単純にハードウェアを持たなくて済むこと、追加や削減が容易にできることがコストの最適化につながります。クラウドであればシステムのサイジングを最適化でき、状況に応じてスケールアウトやスケールインができるので、将来的な拡張を見越したオーバースペックな仕様でサーバーなどを導入するイニシャルコストの負担も軽減されます。
また、「事業継続性」で話をした内容と重なる部分もありますが、冗長化対策やセキュリティ対策などもシステムの選定や購入が不要となり、サービスとして必要な機能を必要なスペックで導入でき、保守用のパーツの確保や故障時のコスト負担もなくなるなど最適化はもちろんですが、サーバーインフラ運用・保守に関わるコスト削減が見込めます。
さらに、データセンターでの運用コストも不要となります。当社の場合、一時期データセンターも利用していたのですが、コスト負担が大きく、保守・運用に不便さも感じていたため、すべて引き上げて自社での管理を行っていたという経緯もあります。

グループ会社のシステム環境を確認し、重複などによる無駄を洗い出しながらAWSへの移行を実施

クラウド環境へ全面移行することに対して反対意見などはありませんでしたか。

当初は、グループの主軸であるワールドインテックの中だけで話でしたので舵が取りやすい場面もありましたが、途中からグループ全体でということになりましたので、グループ会社の中には納得できない担当者もいたかもしれません。
しかし、逆にこれまで見え難かった各グループ会社のシステム環境を確認でき、重複などによる無駄を洗い出して改善する良い機会だと捉えました。その過程で、クラウド集約化のメリットを説明すれば理解は得られると考えました。

なぜ、AWSを採用したのでしょうか。

2013年頃からAWSの調査を開始しました。他のクラウドサービスと比較検討しながらも、時間が経過するにつれて国内におけるAWSの実績(事例)が急増し、さらにはAWSに関する情報も数多く見られるようになってきたことで、AWSに対する信頼度は増すばかりでした。
最終的には、「セキュリティー」「事業継続性」「オフィス基盤の強化」「管理システムの強化」「トータルコスト」という5つのポイントをベースにAWSの採用を決めました。各項目の詳細は、次の通りです。

【AWSの選定ポイント1】セキュリティー

世界有数のIT企業である米国アマゾン社が運用しており、国内外の大企業や政府機関なども採用していることから、セキュリティーに関しては自社で整備するよりも高いレベルのサービスが利用できると考えました。

【AWSの選定ポイント2】事業継続性

「セキュリティー」と同様、米国Amazon社が提供する基盤なので、信頼性や安全性が高いと判断しました。

【AWSの選定ポイント3】オフィス基盤の強化

最先端かつ世界標準レベルのクラウドサービスを採用することでオフィス基盤の強化、引いては競争力の強化につながると判断しました。

【AWSの選定ポイント4】管理システムの強化

サーバーインフラを一元化すれば、その保守・運用も一元化することができます。その結果、管理体制の効率化や強化をはじめ、利用状況の分析によるサイジングの最適化を図ることができると期待しました。

【AWSの選定ポイント5】トータルコスト

ハードウェアの導入・運用コストだけでなく、ワールドワイドで標準的な技術であるAWSを採用すること。さらにはサーバーワークスのようなクラウドインテグレーターのサービスを活用することで、属人化や人材育成コストの負担を無くし、トータルコストを大幅に削減できると考えました。

サーバーワークスによる分析で、AWSの利用コストを約2割削減

ワールドホールディングスにおけるAWSの活用に関して、サーバーワークスはどのような役割を果たしているのでしょうか。

AWSにおけるサーバーインフラの設計・構築と稼働監視、およびトラブル発生時の初期対応をお願いしています。特にサーバーの設計・構築に関してはこちらからの指示に従って作業してもらう受け身の対応ではなく、アプリケーションベンダーと技術的な仕様要件を詰めてもらったり、サーバー環境のコンセプトを伝えて最適な仕様やサイジングを決めてもらったりと、能動的な対応をしてもらっています。

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株式会社ワールドホールディングス
業務管理本部 IT推進室
室長 田中 恒伸氏

サーバーワークスへサポートを依頼するメリットとは。

AWSの専門家としてサーバーの設計や構築を安心して任せられること、そしてスピーディーな対応が期待できることはもちろんですが、サーバーの構築に関するドキュメントを残してもらえたり、スケールアウトや拡張をする際も最適化なサイジングや仕様を提案してもらえたりするのも大きなメリットです。

また、稼働後のサーバーの利用状況を分析してもらい、サイジングの最適化に関するアドバイスや提案をもらってしています。先日サイジングの分析と調整を依頼したときは、利用コストを約2割削減することができました。アプリケーションベンダーは余裕を持った仕様を提示してきますので、インフラ設計・運用側からの視点で、客観的に利用状況を分析してもらえるのはとても助かっています。

サーバーワークスは営業担当者が技術的に明るく、安心して任せられる

なぜサーバーワークスのようなクラウドインテグレーターのサポートが必要なのでしょうか。

自社内にAWSに関する知識やノウハウがないというのがクラウドインテグレーターの手を借りる最大の理由ですが、アプリケーションベンダーにおいてもAWSなどのクラウド上でシステムを稼働・運用した実績が少ない中で、インフラの最適化やシステムの安定稼働を実現するためにはどうしても専門家の知識や経験が必要となります。

また、クラウド環境への移行はスピーディーに進めていかなければなりません。極端な言い方をすれば、クラウドへの移行が遅れれば遅れるほどサーバー運用に関するメリットを享受できるタイミングが遅れていきます。

一方、AWSに詳しい人材を社内で育成していては、時間もコストもかかります。しかも、AWSに関する技術は専門的な部分も多く、進化も速いのでそれを完全に追随するのは容易なことではなく、あっという間に技術が陳腐化してしまうこともあります。

そのようなことに時間と手間とコストをかけるのではなく、サーバーインフラに関してはAWSとクラウドインテグレーターに任せてしまうことで、これまでのオンプレミス環境とは比較にならない、柔軟性やスピード感を実現するほうがメリットが大きいと考えています。

さらに言えば、サーバーインフラに関してはクラウドインテグレーターに任せることで、特定の人材でなければサーバーを設計・構築ができないという属人化も解消できます。そのような状況だとベンダーにロックインされてしまうと考えるかもしれませんが、クラウドというインフラのオープン性や特性を考えれば、クラウドインテグレーターはもちろんAWSでさえ、いつでも他のサービスに切り替えることが可能ですので、そのような問題は生じないと考えています。

なぜサーバーワークスにサポートを依頼しようと考えたのでしょうか。

サーバーワークスは福岡県内に拠点があるクラウドインテグレーターとして、アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社より紹介してもらいました。実際に会ってみると、営業担当者が技術的に明るく安心して任せられると直感的に感じました。

また、正直なところ、もしサーバーワークスにサポートしてもらい不満や問題点があれば、他のクラウドインテグレーターを探せば良いという気持ちもありました。結果的には、サーバーワークスへの信頼が揺らいだり、他のクラウドインテグレーターに変えたいと思ったりしたことは一度もありません。

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株式会社ワールドホールディングス
情報監視室
鶴田 啓介氏

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サーバーワークスへの評価と今後の期待

サーバーワークスへの評価をお聞かせください。

サーバーワークスは技術力が高く、対応がスピーディーなだけでなく、アプリケーションベンダーや当社を上手くリードしてプロジェクトを進めてくれます。また、そのための情報共有ツールやコミュニケーション環境も用意してくれるので、すべての打ち合わせややり取りに直接関与していなくても、プロジェクトの進行状況や課題を俯瞰で把握できるようにしてくれます。

では最後に、サーバーワークスへの要望や期待があればお聞かせください。

AWSを本格的に活用する上で、既存のセキュリティーポリシーやIT統制ポリシーと上手く合致していない部分も見られます。様々な企業のクラウド運用に関わる中で、AWSに適したポリシーの策定や監査法人との情報共有に必要な資料やアドバイスをもらえると助かります。

AWSへのシステム移行はまだ道半ばで、移行完了後も新しいシステムの構築や運用の最適化は継続していかなければなりません。最新の情報や技術を常に把握してくれていて、必要なときに必要な情報を提供してくれる存在がいるという安心感は何物にも代えがたいものです。これからもビジネスパートナーとして、強力なサポートに期待しています。

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株式会社サーバーワークス 大石 良(左)、小室 文(右)

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